September 26, 2005 07:19:22

最後の日曜日

テーマ:diary

St. Nicholas 最後の日。

なぜか、全てが美しく見えた。

ステンドグラスから射しこむ秋の光。

祈りながら生きていく人たち。

緊張していたことも、疑ったことも、苦しかったことも、

美しいと思えた。

泣きそうだったのは、去るからではなくて、

感謝で一杯だったからだと思う。

本当はありがとうと言って、みんなを抱きしめたいくらいだったけど、

私は小さすぎる。


帰り道、素敵なことがあった。

いつもなら、人が近付くと、すっとんで木に隠れてしまう野生のリスが、

今日は逃げずに、さわらせてくれた。

思ったより柔らかな毛並み。

小さかったから、もしかするとまだ子どもだったのかもしれない。

猫みたいに、警戒しながらも、なでられると気持ち良さそうにしていた。

赤い木の実を食べていた。


まぶしい秋晴れの空の下で、

不安で一杯でも美しい世界。


September 26, 2005 07:11:58

[英]人間の染色体21番をマウスに移植

テーマ:news

先週は、マウスに人間の染色体21番を移植することに成功したというニュースがありました。

昨年は、マウスの染色体を人工的に三本にして、ダウン症発症のメカニズムを探る研究がレポートされています。


■http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/3760504.stm ”Down's syndrome theory shattered”(BBC 22Oct2004)
しかし「ダウン症的」と言えるマウスにはならなかったそうで、BBCは、この研究結果は、染色体の21番だけをダウン症発症の源とする長年の仮説を否定したと、伝えています。

ここで、たてられた「ダウン症発症の源は、三番目の21番染色体を構成する遺伝子と、その他の遺伝子の複雑な関係にあるという」仮説が、今回、人間の染色体をマウスに移植する研究へとつながったと思われます。というのも、人間の染色体はマウスよりも多くの遺伝子を含むので、より複雑な構造の解明が可能と考えられている模様だからです。BBCによればこうして造られたマウスは、記憶の問題や心臓の欠陥など人間のダウン症を似た症状を示しているそうです。ダウン症協会は基本的に研究を歓迎すると述べていますが、同時にこの研究がすぐにはダウン症の治療につながらない点も指摘しています。


■Chromosome Transplant in Mice could Provide Clue to Down's syndrome illnesses(Guardian, 23 Sept, 2005) http://www.guardian.co.uk/life/science/story/0,12996,1576716,00.html
■Down's syndrome recreated in mice (BBC22Oct2005)
http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/4268226.stm
▼Q&Aはこちらhttp://news.bbc.co.uk/1/hi/health/4274230.stm
▼BBCのテレビニュースにリンクに以下から飛べます。
http://newssearch.bbc.co.uk/cgi-bin/search/results.pl?scope=newsukfs&tab=news&q=mice+chromosome&go.x=40&go.y=9


目下上がっている批判は、この研究が動物と人間と境界を侵食するというもののようです。
新聞記事には載っていなかったのですが、このような研究を規制する法律がイギリスにはないのでしょうか?
Human Genetic AlertのDavid King 博士は、社会の中に、このような研究が認められるか否かという議論がないのは心配だと述べています。
http://www.wired.com/news/medtech/0,1286,68972,00.html?tw=rss.TOP


以下の研究者の発言が印象的でした。
Guardianでの、研究者の以下の発言が印象的です。


By adding the chromosome, we have mice that show nearly all of the characteristics of Down's syndrome in humans," said Dr Fisher. "It means we can tease out the genes that give rise to the different aspects of Down's syndrome, because we know we've got the right genes in there."


この研究の科学的な可能性が本当にどれくらいあるのか、別の意見が聞きたいところです。
人間の21番染色体×人間のその他の遺伝子≠人間の21番染色体×マウスのその他の遺伝子とは、科学の世界ではならないんでしょうか?


September 04, 2005 07:38:22

Philosophy Now

テーマ:perspective

大学のスーパーで、「Philosophy Now」という薄っぺらい雑誌を発見。

思わず購入。
これが結構面白い哲学入門雑誌だった。

高校生にも読めるくらい簡単というのが味噌。

哲学は難しくなきゃいけないわけじゃない、という「哲学」を感じる。

今号の特集は「エンパシー=共感」。
一体人は他人に共感することができるのだろうか。この問題にはじめて取り組んだのは、デービッド・ヒューム(David Hume)だそうだ。

ヒューム曰く、人は他人の痛みを見ると自分も痛みを感じるので、他人の痛みも取り除いてやりたいと思う、それが「共感」するということ。

そして彼は「共感」こそが倫理の基礎と論じた。

これに対し、「人間の条件」の中でハンナ・アレントは「人間が絶対に理解しあえないのは、その痛みである」と述べていたなあと思い出した。

開いてみると、次のようなくだりがある。


"Indeed, the most intense feeling we know of, intense to the point of blotting out all other experiences, namely, the experiences of great bodily pain, is at the same time the most private and least communicable of all" (Arendt, 1998:50-51).


興味深い。


「女性の倫理学」を提唱しているPurdyは「かわいそうだから産まない方がいい」という「未来の人間に対する愛」に基づく議論を展開している。

ちなみに私はPurdyの議論が本当に好きじゃない。

実は功利主義的思想から「障碍のある命は堕ろせ」と言っているのに、その思想を「未来の人間に対する愛」とか「女性の倫理学」とかいうことばで隠そうとする(としか思えない)、その偽善的な態度が嫌だ。

これで騙されると思うなんて、女性なのに女性をばかにしている。

でもこういう議論をする人は結構いて、ハリスなんかもその一人だ。

まあそれはとにかく、これは未来の人間の痛みへの「共感」に基づく倫理と言えるんじゃないかと思ったのだ。

とすると「共感」は、生殖における人間の質の選択と関る重要な概念と言えるかもしれない。


「共感」というと、一般的には聞こえが良いし、「あなたに私の気持ちなんてわからないわ」なんていうと、ニヒルなエゴイストだと思われる。

だけど、実は共感を前提に行動することは結構危険なんじゃないだろうか。

アレントは次のようにも言っている。


"Because of its inherent worldlessness, love can only become false and perverted when it is used for political purposes such as the change or salvation of the world" (Arendt, 1998:52).


もっとよく読みたいと思う。
公共の場において他者の存在を認めるということは、「共感」することではないとアレントは言っている。
ここに重要な何かがあるはずだ。


あ、「Philosophy Now」の宣伝のはずだったのに、思い切り脱線してしまいました。
本題はまた今度。


September 04, 2005 07:33:23

ステップフォード・ワイフ: Stepford Wives

テーマ:critique

ニコール・キッドマンが大好きなので、前々から見たくてたまらなかった作品 。キッドマンの美貌目当てだったのに、その内容に衝撃をうけてしまった。こ、これは…。
監督曰く、古き良きハリウッド映画の手法を取り入れた映像、美しい女優群、そして思わず大笑いしてしまうコメディー。にも拘らず、これは痛烈な現代(アメリカ)社会批判になっている。特に、完璧を目指すと、キャリア・ウーマンとシンデレラ(バービー人形?)という、二つの相反する理想像の間で分裂してしまう現代の女性の姿がよく描かれているなあと、私などは思った。そして、ある一つの完璧な「理想像」に固執するとこんなこと(秘密)になってしまうわけで。こんな形では、あり得ないとしても、技術としては不可能じゃない世界に私たちが近付いているということが、この映画を現代を代表する作品にしていると思う。これはそういう作品として見るべきだと思った。


だんだんみんな本気になってるんです。人間の能力を拡大したいと必死な人たちがいるんです。でも、私は思うんです。人間の能力の拡大を必要としているのは、今すでに能力の限界を感じている分野だと。ですから、やるならまず、お医者さん、弁護士さん、裁判官などなどから、お試しになってはどうでしょうか。
特にお医者さん。優しい笑顔と最高の頭脳でお願いしますよ。
と言って、各国の医学界が賛成するでしょうか?
できないんじゃないでしょうか?
なぜか?
その答えとキッドマンの涙には関係がある。


September 04, 2005 07:30:45

先週のニュース

テーマ:news

■Population Screening and Genetic Testing, 2005 http://www.bma.org.uk/ap.nsf/Content/Populationscreeninggenetictesting
▼現在宣伝されている遺伝子検査を含むスクリーニング検査についてBMAが注意を促すレポートを発表した。
関連ニュース↓
●Screen near you(The Times 27AUG2005)
http://www.timesonline.co.uk/printFriendly/0,,1-210-1750550,00.html
●Doctors know best (The Guardian 25AUG2005)
http://www.guardian.co.uk/leaders/story/0,,1555765,00.html
●Beware private tests, BMA warns (The Guardian 24AUG2005)http://www.guardian.co.uk/uk_news/story/0,,1555090,00.html

○New era of cheap gene maps(The Times 05Aug2005)
http://www.timesonline.co.uk/printFriendly/0,,1-2-1721433,00.html
一回120万ポンドかかる遺伝子解析のコストを550ポンドにまで減らすことができるとの報告。これによりオーダーメイド医療の実現にまた一歩近付く。

■Scientists sidestep stem cell dispute (23Aug2005 Guardian)
http://www.guardian.co.uk/life/science/story/0,12996,1554533,00.html
▼アメリカの科学者が開発した、成人細胞とヒト胚幹細胞を合成して新たな細胞を作る技術についての解説。その展望、そして最近のヒト胚幹細胞研究について。

■How much animal testing is done?
http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk/4177200.stm
▼英国の500人の学者、科学者、医師が医学研究に欠かせない存在として動物実験を支持する宣言に著名した。これは、今週、実験用のハムスターを繁殖していた会社、Darley Oaks Farmが、過激派動物愛護団体から嫌がらせ(祖母の遺体を墓から持ち去るなど)に耐えかね、事業を閉鎖すると決めたことをうけて。動物実験の数は1970年から減っていたが、1990年よりまた徐々に増えている。これは、1990年からはじまったHGPで解読された遺伝子の実際の機能を調べるために、動物の遺伝子を操作する実験が行われるようになったためと考えられる。今年はじめ、政府は動物実験を減らすことを目的とするセンター、"three R's" を開設した。

●Guardianの記事:http://www.guardian.co.uk/life/science/story/0,12996,1555808,00.html
●"three R's (Fund for the Replacement of Animals Medical Experiments) http://www.frame.org.uk/index.htm
●Research Defence Society http://www.rds-online.org.uk/pages/news.asp?i_PageID=1964&i_ToolbarID=6
●Declaration on Animals in Medical Research 2005
 http://www.rds-online.org.uk/upload/docs/Declaration%202005.pdf


 その他
 ■HGCレポート"Choosing the future"の中間報告が発表されていました。
 http://www.hgc.gov.uk/UploadDocs/Contents/Documents/Analysis%20of%20responses%20to%20the%20HGC%20consultation.pdf
報告はコンサルタント会社People Science and Policy Ltdによって作製されました。
分析の最終報告は今年終わりに予定されています。

■Designer babies fear is misplaced, says Winston
http://leisure.scotsman.com/home/headlines_specific.cfm?articleid=3334
2001年の記事ですが、3000万ポンド(約60億円)がNHSの遺伝学関連サービスに使われ、1000万ポンド(約20億円)がgenetics knowledge parksの設立に使われることが決まったことを伝えていたので紹介します。

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