2010-03-11 08:57:38
民法 第372条(留置権等の規定の準用)
テーマ:民法物権第372条(留置権等の規定の準用)
第296条、第304条及び第351条の規定は、抵当権について準用する。
重要度:4
メモ書き:
(1)296条は不可分性の規定、304条は物上代位性の規定、351条は物上保証人の求償権の規定。
(2)不可分性:抵当権者は、被担保債権の全額の弁済を受けるまでは、目的物の全部について抵当権を行使できる。
(3)物上代位性:抵当権者は、目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、抵当権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
(4)(3)の差し押さえは誰がしなければならないか。
A説:抵当権の効力は、当然に価値変形物に及び、差し押さえは債務者の一般財産に購入するのを防ぐ趣旨である。従って誰が差し押さえても良い(特定性維持説)。
B説:抵当権者に法が特に認めた制度であり、その権利を主張するためには自ら差し押さえなければならない(効力保存要件説)。
判例は、抵当権者自らが差し押さえなければならないとする(最判平13・10・25参照)。
(5)判例:
1. 抵当権者は、物上代位の目的である債権が第三者に譲渡され、その対抗要件が備えられた後であっても、その債権を差し押えて物上代位権を行使することができる(注:抵当権は登記によって公示されているから債権の譲受人も後から差し押さえがあることを予測できるというのが理由のようです。同様の事例で公示のない先取特権の場合は結論が異なるので注意)(最判平10・1・30)[17-14-ウ]。
2. 抵当権に基づき物上代位権を行使する債権者は、他の債権者による債権差押事件に配当要求をすることによって優先弁済を受けることはできない(最判平13・10・25)。
3. 抵当家屋について火災保険契約が締結されている場合に、抵当家屋の焼失により抵当家屋所有者が保険金請求権を取得したときは、この保険金は代位物に該当し、抵当権の効力はこれに及ぶが、その保険金請求権につき抵当権者の差押え前に第三者が転付命令を得てしまったときはこの限りでない(大連判大12・4・7)。
(6)出題過去問の番号:[62-8-2, 4-13-ア, 4-19-イ, 8-15-3, 9-12-エ, 17-14-イウ, 18-15-イ, 20-15]
(7)過去問:
1. 建物を目的とする抵当権の抵当権者は,その建物の賃料債権が譲渡され,第三者に対する対抗要件が備えられた後であっても,その賃料債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。
→○[17-14-ウ]
2. Aは,その所有する不動産につき,債権者Bとの間で抵当権設定契約を締結したが,その登記をしないうちに,この不動産をCに売却して所有権の移転登記をした。Bは,AのCに対する売買代金請求権を差し押さえて,これに対し抵当権を行使することができる。
→○[4-13-ア]
3. AはBに対し,自己所有の土地に抵当権を設定した後に,その土地上に建物を建築した。Bの抵当権の効力は,Aが地上建物の焼失により取得する保険金支払請求権には及ばない。
→○[62-8-2]
4. 建物所有者が建物に抵当権を設定した後に,建物が朽廃したため新たに建物を築造した場合には,抵当権の効力は新たに築造した建物に及ぶ。
→×[4-19-イ]
5. 第三者が抵当権の目的物である不動産を毀損し,これが不法行為となるときは,抵当権者は,不動産所有者の有する損害賠償請求権に物上代位することができる。
→○[9-12-エ]
(8)追記:
判例付六法には、物上代位の判例が沢山掲載されています。また答練でも物上代位できるかという問題が出ていると思います。難しかったように覚えています。ほどほどにしておきたいところです。





