今日8月29日はマイケル・ジャクソンの誕生日。
朝から彼の映像をずっと見ている。
歌良し、曲良し、ダンス良し、ステージ良し。
全てがこんなにハイレベルに完成されているアーティストは他にいない。
彼本人はまさかあんな形で世を去ろうとは思いもしなかったことだろう。
しかし、彼は天命を全うしたのだろう。
人の寿命はたぶん神様が決めていることだろうから。

彼の素晴らしい生命に、感謝。



黒人アーティストとしての壁を破った記念すべき曲とビデオ、そして80年代を代表する
アルバムのタイトル曲。




肌の色の違いなんて関係ないということを明るい曲調と各地の民族舞踊を取り入れた
(タイも2番目に出てくる)前半部分と、アメリカのストリートで白人主義的メッセージが
書かれた車のフロントガラスや店の窓を破壊する過激な後半部分が対照的。
マイケルがこんなに激しく人種差別への怒りを持っていて、黒人であることの
プライドを持っていたとは知らなかった。
マイケルはしなやかな黒豹でいつづけたかったのだ。

Rest In Peace &
Happy Birthday

天国には黒も白も
色さえないはずだよね
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マイルスを聴いてね<2>

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素足


友人から、マイルスをお店で流したいけど・・・という話があった。
そこで今いろいろとマイベストを組んでみているが、何しろ多作なマイルスのこと。
なかなか自分の納得のいくものができないでいる。
で、やはりアコースティック期とエレクトリック期に分けるのがよいなと思った。
エレクトリック期、それは60年代終盤に発表された『Bitches Brew』が本格的な
幕開けであるが、70年代のものは濃い~ので、とてもじゃないけど店では
流せそうにない。
そこで80年代以降の作品を聴いていたのだが、遺作となったこのアルバムに
再び驚かされた。

Doo-Bop/Miles Davis
¥741
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リマスターじゃない方の値段の安さにも驚いたw
初めて見た時、ジャケットにも驚いたもんだ。

しかし一番驚かされるのは、マイルスがいわゆるラップ・ミュージックの
リズムを自分の音楽にしてしまっていることだ。
ジャズの4ビートから始まり、ロックの8ビート、ダンスの16ビート、
様々なビートをマイルスは追い求め、自らの表現の幅を広げていった。
その最後に残されたこの作品は、その後の彼の旅路を想像させて余りある。
進化し続けたマイルス・ミュージック。
それはこの作品が発表された1992年からすでに16年もの時が経った現在の耳にも
刺激的に響く。
まぁ、ラッパーがもうちょっとセンスが良かったらよかったのに、とは思うが。
「マーイルス デイビス!」とか叫ばないで欲しいww寒いからwwww

とにかく、以前聴いた時よりもっと刺激的に響いてきたアルバムだ。
マイルスのアルバムにはそういう作品が多い。
だから、一生つきあえる。

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マイルスを聴いてね<1>

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先日マイルスのことを書いたが、やはり皆さんマイルスの名前は知っていても、作品そのものに
手を伸ばす機会に恵まれていないのではないかと思います。
ということで、ちょっとシリーズ的にマイルスの音楽をご紹介したいなと思います。
「マイルスを聴け!」という刺激的なタイトルの本がありますが、こちらはソフトに「聴いてね」ということで、
まずは第1弾。

超初心者向け マイルス超定番ご紹介♪

マイルスって名前は知ってるし、ジャズっていうじゃん?
でもぶっちゃけ何から手をつけていいかわかんな~い
そんなあなたに、ハズレなし、これだけは押さえておきたい超定番作品をご紹介。

カインド・オブ・ブルー+1/マイルス・デイビス
¥1,632
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やっぱりこれでしょう。
ジャズというジャンルにおいて、この作品を超える作品は無いとまで言う人もいます。
自分もマイルスに触れた最初期はこのアルバムを中心に聴いていました。
以前に記事も書いています。(こちら
いろいろな雑誌やネットでの「名盤100選」に必ずと言っていいほど挙げられるこの作品。
ジャンルを超えた人類の誇るべき財産でしょう。
緊張感あふれる中に、各人のミュージシャンシップがしのぎを削る。
二度と再現できない、奇跡の演奏です。

リラクシン/マイルス・デイヴィス
¥1,619
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マイルスの作品の中で、いわゆる「マラソン・セッション」と呼ばれる一連の作品があります。
「Walkin'」「Workin'」「Steamin'」「Relaxin'」と、どれも「~ing」で統一されたタイトルであり、
その全てが素晴らしい作品です。
その中でもこの「Relaxin'」は、文字通りメンバーが皆リラックスして演奏している
様子が伝わってきます。
マイルスが指笛でいったん演奏を止めたり、「好きなように演奏していいよ」なんて言う
様子も聴き取ることができる。
ところでこのマラソン・セッション。なんとほぼ全てが一発録り。
レコード会社との契約を一気に済ませるために立てられた企画だったようですが、
普段ジャズクラブで演奏しているのと同じ、ありのままの音楽を収めたものです。
それがジャズ史に残る定番作品として残ってしまうというのも凄い話ですね。


同じジャズでも、これほどまでに空気感が違うのかと、
この2作品を聴けばお分かりになるかと思います。
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枕元のマイルス

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枕元のマイルス
昨日は朝から出かけて疲れたので夕方ちょっと休んでいた。
その枕元にあるものをちょっと皆さんに見てもらいたいなと思ったので公開。

まさにマイルス漬け。
iPodからミニスピーカーで再生するのは「Milestone」「'58 Sessions」「At Newport 1958」。
半世紀前の音源だが凄くクリアな録音で驚かされる。
当時ジャズのレコーディングはポップスより数段上のレベルにあった。

聴きながら読むのは「マイルスを聴け!」「マイルス・デイヴィスの真実」「マイルス・デイビス自叙伝」。
それぞれ、海賊盤を含む全てのマイルス作品レビュー書、関係者や本人へのインタビューからあぶりだしたマイルスという人間像を描いた伝記本、マイルス本人が晩年全てを自分の言葉で語った奇跡の自伝。
どれも濃厚に、マイルス・デイビスを伝えるものだ。

大学時代にはジャズやフュージョンを演奏しているライブハウスでバイトしていたが、ジャズにはほとんど走らずロック系ばかりを追いかけていた自分。当時を知る皆は今の自分に驚くかもしれない。
しかし、マイルス・デイビスの音楽は単純なジャンル分けを鼻で笑うかのような多様な音楽性を花開かせている、人類が残すべき財産である。
こんなミュージシャンは恐らく21世紀には出てこないだろう。
戦争でも起きて全てが吹っ飛ばない限りは。
それくらい、彼のやってきたことは傑出している。

しかし彼はこういう。
「その時その時で一番カッコいい音楽を求めてきただけだ」と。
でもその姿勢がカッコいいんだよなぁ。
数年前に自分がやっていたことを全てひっくり返すんだから・・・
ロックだよ。彼の生き様は。
スタイルだけでスピリットの無いロック・ミュージシャン全てにマイルスを聴け!と言いたい。

では、記事中のブツを。

Milestones/Miles Davis
¥1,173
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トニー・ウィリアムズがマイルスに、「すべての人が聴くべきジャズの名盤」と評し、
マイルスが「ホントか!?」と驚いてレパートリーにタイトル曲を加えたという逸話がある。
’58 Miles Featuring Stella by Starlight/Miles Davis
¥4,821
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た、たけぇ!でも自分はネットで(ry
アット・ニューポート1958/マイルス・デイビス
¥1,700
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マイルス観光気分


マイルスを聴け!〈Version 7〉 (〔双葉文庫〕)/中山 康樹
¥1,680
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※自分が持っているのは1つ前の版。これで十分。

マイルスを聴け! (〔双葉文庫〕)/中山 康樹
¥2,400
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※最新版になって価格が高騰
マイルス・デイヴィスの真実/小川 隆夫
¥3,990
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マイルス・デイビス自叙伝〈1〉 (宝島社文庫)/マイルス デイビス
¥840
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※記事写真は文庫じゃない方。

マイルス・デイビス自叙伝〈2〉 (宝島社文庫)/マイルス デイビス
¥840
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すべての音楽ファンにマイルスを聴くことをお勧めします。




You're Miles Away...

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返事したいコメントやアップしたい記事があるけれど、この記事を優先させてもらいます。

Miles Away...

1991年9月28日、今から17年前の今日、Miles Davisは65年の生涯に幕を閉じた。
「ジャズ」という音楽の枠にとらわれない彼の音楽活動は、歴史に名を刻む。
今も彼の音楽に触れるたび、彼のトランペットの音を聴くたびに、彼の表現したかった
ことの深さ、重さ、大きさに言葉を失う。



You're Miles Away...
But Music Still Stays On 2008.9.28 Thaimai

Four & More / Miles Davis

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Four & More/Miles Davis
¥971
Amazon.co.jp

これは凄い。凄いものを聴いてしまった。
ジャズが退屈な音楽だなんていう先入観をお持ちの方は、ぜひ聴いて欲しい。
何をって、ドラムだよドラム!
このアルバムはライブ盤だが、ドラマーはデビューしたて何と17歳でマイルスに抜擢された
トニー・ウィリアムスである。
このドラムが凄い凄い。
1曲目の「So What」から飛ばしまくる飛ばしまくる。
テンポは彼がマイルスバンドに入ってからというもの、早くなるいっぽうだったという。
その若さがマイルスにも刺激を与え、とてつもないフレーズを吹きまくっている。
それに触発されてトニーも煽る煽る。

彼のプレイの特徴は、ポリリズムを多用すること。
ポリリズムとは、一定のリズムの中に異なるリズムを絡ませることで、相当なリズム感がないと
元のリズムを見失ってしまう。
それは他のメンバーにとっても同じで、注意しておかないと置いてけぼりをくらう。
しかしこのバンドにはロン・カーターがいる。ハービー・ハンコックがいる。
20世紀のジャズ・シーンに大きな足跡を残す彼らのプレイは素晴らしい。

ロン・カーターは飛ばしまくるトニーに遅れず、グルーブを強固なものにしている。
ハービー・ハンコックは裏拍を意識した効果的なバッキングで、サウンドに豊かさを加えている。
これでサックスがジョン・コルトレーンなら最強なのだが、すでにこの時点でマイルスの元から去り
リーダーとして自身のバンドを率い、「A Love Supreme(邦題:至上の愛)」をはじめとする
ジャズ史に燦然と輝く優れた作品を発表していた。
ジョージ・コールマンがこの時点ではサックスとして参加しているのだが、トニーは彼の堅実すぎる
プレーが好きではなかったという。
しかしこのバンドのサウンドには彼が適任だったのではないか。このアルバムを聴くにそう思わされる。
なぜならグルーブから外れることなく、味わいのあるフレーズを吹きこなしているからである。
後にトニーはフリージャズの影響を強く受け、プレイにもその要素を強めていくのだが、
ここではジョージ・コールマンのプレイにそのトニーの若さは中和され、ジャズというフォーマットの
中でのバンドサウンドの完成度を高めているのだ。

マイルスも自叙伝で「史上最高のドラマーになる可能性があった」と最大級の評価をする
トニー・ウィリアムス。
自分も名前は聞いたことがあったが、ちゃんと音源を聴いたことがなかった。
それを後悔した。
彼のプレイにはアイデアがたくさん詰まっており、聴けば聴くほどイマジネーションを刺激される。
難しいことをやっていながらテクニックにおぼれず、ハードにグルーブさせることができる。
ハード、という表現をしたが、まさにこのアルバムでのトニーのプレイはそんじょそこらのハードロック・
バンドが百光年彼方にかすんでしまうほどである。

実際、自分はこのアルバムをジャズとは思っていない。
「ロック」として聴いている。
体でリズムを感じ、ドラムのキメのフレーズに思わず体が反応する。
特にあのバスドラ。ジャズでこんなにバスドラで煽っているのを他に知らない。
レッド・ツェッペリンが好きな人にはぜひ聴いて欲しい。
ボンゾもトニー・ウィリアムスからの影響を受けているに違いない。
ツェッペリンはジャズ的なインプロビゼーションをロックに取り入れていることは言うまでもないが、
そこにジミー・ペイジが監督としてバンドを導いているので、フリーになりすぎず楽曲として完成されている。
ここにマイルスとの共通性を感じる。

マイルスはトニーの加入後、徐々に既存のジャズのスタイルからの脱皮を図る。
しかしそれはフリージャズへの傾倒ではなく、あくまでも1つの楽曲あるいはアルバムとして
完成された形を伴ってのものであった。
先立って紹介したKind of Blueにしても、Bitches Brewにしても、マイルスは最低限のルールを設けて
ミュージシャンに最大限の、いやそれ以上のプレイをさせるよう導いている。
フリーなように聴こえる楽曲の構成も、実はクライマックスにもっていけるように緻密に計算されている。
これに関してはまた別の機会に別のアルバムを紹介して説明することにしよう。

さてトニー・ウィリアムズに話を戻すと、マイルスは様々なミュージシャンを起用してきたが
「何で練習しないんだ」と食って掛かったのはトニーだけだったと語っている。
すなわちトニーの力量がマイルスが練習しなければならないほどの高いレベルだったことと、
トニーがマイルスの音楽に対する情熱をさらに炊きつけ、その後の革命的な音の変遷に
向かわせたということを如実に表している。

このアルバムは、マイルスがジャズという枠からトニーというエンジンを得て飛び出そうとしている、
その瞬間を捉えたものである。

このライブと同日に録音されたのが、このアルバムである。

My Funny Valentine/Miles Davis
¥1,054
Amazon.co.jp
自分も名前だけは知っていた名作中の名作。
こちらはバラードおよびスローナンバーで固められている。
ここでは打って変わってバッキングに徹するトニー。
マイルスは即興とは思えない美しいメロディを奏でる。
激しく過激な面と静かで優しい面。
マイルス自身、双子座であるがゆえにそうした二面性を持っていると語っている。
それが彼の音楽をここまで表情豊かなものにしているのだ。

とここで臨時ニュース。
たった今、嫁さんがシャワー前に一言。

「はっきり言うけど、ジャズが好きじゃない」

キタコレ。((((((ノ゚⊿゚)ノ



取り乱しました。
記事にちなんでMy Funny Valentineをかけていたら・・・
マイ・ファニー・オヨメサンでした。

とにかく、わからんやつにはわからんのがジャズだあああ!!!


グダグダやなぁこの記事・・・


前回ご紹介したBitches Brewに続いて私がハマったのが、
『Kind of Blue』である。


Kind of Blue/Miles Davis


マイルスをAmazonで検索すると真っ先に出てくるのがこの作品である。
1959年、Bitches Brewから遡ること10年前に発表された。
ジャズにはいろいろなスタイルがあるが、この作品は「モード」と言われる手法を用いている。
モード・ジャズとは自分もよくわからないが、それ以前の「ハード・バップ」というスタイルとは違い、

アドリブの自由度が増し、演奏者の手腕がより明確になるものであるらしい。

詳しくはこちら

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%BA


こんなお題目を聞いてもなんのこっちゃわからないが、とにかくこの作品は尋常じゃない。
何が尋常じゃ無いかというと、その緊張感溢れるサウンドである。

1曲目からレコーディング・スタジオ内の張り詰めた空気が伝わってくる。
このアルバムのレコーディングは、ほとんど1発録りで行われたという。
モードという新しい演奏スタイル、しかもミスの許されない状況。
曲そのものも、わずかな時間を使ってマイルス自身がモチーフとなるフレーズとモードの
設定を決めて作られたもの。事前のリハーサルなど皆無に近かったという。
 
そんな中、マイルス・バンドのミュージシャンは見事な演奏をしてのける。
皆凄腕のミュージシャンであるが、まさに全員が「Play The Song」している。
すなわち、ミュージシャンとしての腕を見せびらかすようなエゴイスティックな演奏ではなく、
曲そのものを生かすためのプレイに徹しているのだ。
ジョン・コルトレーンの生真面目さあふれるプレイ、

ビル・エヴァンスの華麗かつツボを抑えたピアノ。
そしてジミー・コブの堅実で決して目立たない、シンプルに徹したドラムプレイ・・・
結果、スタジオ内でこれ以上無い化学反応が起こり、二度と再現できない名演が収録された。
 
このアルバムは今なおジャズの古典としてゆるぎない地位にあり、他の追随を許さない。
時の試練に耐えうる、人類の残した無形の文化財とも言える素晴らしい作品だ。
 
並のミュージシャンであれば、ここまで手放しで各方面から迎えられる作品を作ってしまうと、
その後に作る作品がこれを超えられるかどうかと悩み、結局超えられないまま
過去の栄光にぶら下がってしまうのが関の山である。
 
しかしマイルスは違った。 「Kind of Blueは失敗作だ」とまで言い放ち、
新たな方向性を模索し前進し続けていったのである。
そこに私は「ロック」を感じる。
この10年後に全く異なる方向性でありながら名盤として確固たる地位を築く
Bitches Brewを生み出したという事実も感慨深い。
そしてこの2枚の名盤に浸っていると、ある共通性に気づく。
それは、作品を包むオーラである。
トランペットを吹いていない時でも、マイルスのオーラが常に感じられる。

 

Kind of Blueの緊張感、Bitches Brewの高揚感は、
クールに全体を見渡す「目」あってこそ実現したものである。
ミュージシャンのエゴをコントロールする指揮官、マイルスの目である。

最近Youtubeでマイルスのライブ映像をよく見るのだが、トレードマークの大きなサングラス越しに
ミュージシャンのプレイをじっと見守るマイルスの姿が常にある。
バンドはマイルスのその目によって、あらぬ方向に行くことが無い。
軟体動物のように形を変えながらも、「Play The Song」し続けるのだ。

 
晩年マイルスは、とりわけ「余計な音を出さないこと」をメンバーに留意させていたという。
どれだけ技巧のあるミュージシャンでも、エゴイスティックなプレーは曲を壊してしまう。
数限りないセッションやライブをこなしてきたマイルスだからこそ、その点に重きを置いたのだろう。
 
実際、マイルスのソロは技巧を見せ付けるプレーはさほど無い。
もちろん上手いし、おたまじゃくしを小節内にたっぷり振りまくこともできる。
しかしあえてその方向には行かず、ここしかないという場面でシンプルだが印象的なフレーズを
プスッと吹く。
マイルスをコピーしたトランペット奏者によると、ペットを吹ける人なら誰でも吹けるフレーズが
マイルスにはよくあるという。
しかしそのフレーズを生み出す能力、楽曲に対する深い理解力、
ミュージシャンが出す音を的確に見極める能力。
それが万人が真似できないマイルスの力なのである。
マイルスの能力はある種オーケストラの指揮者的なものであり、プロデューサー的なものでもある。
そして幾多の試練を乗り越え、スタイルをものの見事に変貌させながらも優れた作品を
産み続けてきたその生き様が、カリスマ的なオーラを彼にまとわせたのだ。

彼の周りには、優秀なミュージシャンが集う。


ドラムのトニー・ウィリアムズ、ジャック・ディジョネット、

キーボードのチック・コリア、キース・ジャレット
ギターのジョン・スコフィールド、マイク・スターン、

ベース兼コンポーザーのマーカス・ミラー。


いずれもその後の音楽シーンを席巻する凄腕のミュージシャン揃いである。
しかし彼らがマイルスのバンドに所属しなかったら、これほどまで後世に名を残すミュージシャンに

なれただろうか。
それはマイルス・バンドにいたという事実がいわゆる「ハクをつけた」という訳だろうか。
早弾きなどのエキセントリックなテクニックに優れていたからだけであろうか。
私はそうは思わない。

 
テクニックをいかに音楽的に生かすのか。

スタイルにこだわらず、いかに音楽的に進歩していけるのか。
そんな優れたミュージシャンシップを、彼らはマイルスのオーラに触れ受け継いだのだ。

 

去る9月28日はマイルスの没後16年目の命日であった。
マイルスの持つオーラは今も、師事したミュージシャンたちにより受け継がれている。
しばらくは私も、そのオーラに浸っていたいと思う。

マイルスに最近ハマっている。
ロックをほとんど聴いていない。
しかしちっとも物足りなさを感じない。
それはマイルスのたどった音の変遷があまりにも多彩で、一つの枠に収まっていないから。

彼の作品を紐解くごとに、新たな音との出会いがあり、刺激に溢れている。

 
一般的に「ジャズ」というと渋くて大人しい音楽というイメージがある。
そして「ジャズを聴いている」などと言うと、枯れてしまったのではないかと思われたりする。
しかしである。そもそもジャズという言葉は、もともと「セックス」を意味するスラングだというのである。
性的興奮や刺激を感じさせる音楽、もともとジャズはそういう音楽であったのだ。
そして私がマイルスのジャズに感じるのは、まさしく「刺激」そのものである。

マイルスの活動は50年代から90年代まで、実に40年にわたるものである。
そしてマイルスの音はジャズの枠に収まらず、フュージョンから晩年はヒップホップにまで接近した。
そこには新しい時代を切り開いていこうとする貪欲なミュージシャンシップ、そして頑固なまでに
自分の信じる音を追求しようとする姿勢を感じる。
そんなマイルスに私は「ロック」を見る。

 
実際、エレクトリック・マイルスといわれる60年代末~70年代中期のマイルスは、
ロックを導入し、ジャズのイディオムから全く外れた音楽性に走っていた。
60年代後期に彗星のごとく表れたジミ・ヘンドリックスからの影響を隠さないマイルス。
残念ながら予定されていた共作はジミの突然の死により実現しなかったが、
ジョン・マクラフリンというこれまた不世出のギタリストをバンドに迎え入れ、
エレクトリック・ピアノ、シタール、タブラーなどといったジャズとは縁の無かった楽器を導入し、
インプロビゼーションに重きを置いた音楽を奏でていった。
そこでは演奏者が己の持つ個性をぶつけ合い、混沌とした音を発していた。


自分が一番初めにマイルスのエレクトリック作品を聴いたのは、このアルバム


Bitches Brew/Miles Davis

 

このアルバム、知らなかったが名盤中の名盤である。

発売は1969年。まさに60年代から70年代へと猛烈に音楽シーンが動いていた時である。

ビートルズに代表されるポップなロックから、レッド・ツェッペリンなどのインプロを多用する

ハードロックへと、リスナーの趣向はどんどん変化していった時期だ。

そしてクラシカルな「様式」や「形式」にとらわれたジャズは、どんどん時代遅れとなりつつあった。

その例外が、マイルスだった。


とにかく一度このアルバムを聴いてほしい。

発売当時は評論家をして「ジャズは終わった」と言わしめたこの作品。

今聴くととんでもなくアグレッシブでグルーブに溢れていて刺激的である。

「ロック」でもあるし、ミュージシャンたちは「ジャズ」の精神に溢れてもいる。


冒頭で「ジャズ」は「セックス」の隠語だったと書いたが、別の意味もある。

それは「スイングできる、踊れる音楽」という意味である。

聴いて自然に体が動く音楽がジャズである。

このアルバムを聴くと、精神が高揚し、肉体にも影響を及ぼす。

じっとしていられなくなるのだ。

車を運転しながら聴くと、とてつもなくハイになれる。

しかしどこかで覚めた精神を感じられるので、危険な運転にはならない。

自分にとっては特別な音楽である。

ドラッグのように中毒性のある音楽である。


演奏しているミュージシャンも相当ハイな状態にあったに違いない。

もしかしたらドラッグをキメながら演奏したのかもしれない。

それぐらいクル音楽だ。

ロックのみならず、ヒップホップやテクノを聴いている人たちにもぜひ

触れてほしいものである。

きっと「マイルス中毒」への一歩を踏み出せる。

Deep Yellow ~ 水野 哲

テーマ:

deep yellow


最近サンプルとして水野哲さんご本人からいただいたアルバム「Deep Yellow」。

気に入ってけっこう聴いています。


入手してから1週間以上たってしまいました。

仕事もちょっと落ち着いたのでやっとレビューがかける!

1曲ずつ感想を書いていきましょう。


1.Shout in the space ~宇宙に叫べ~

 アルバムの1曲目を飾る強力なナンバー。

 メロディにかぶるギターのフレーズが印象的。

 ボーカルも洋楽的な節回しが板についていて、安定感がある。

 後半はブルースハープの味付けが効果的。


2.肩の上のFly ~肩の上の蝿~

 ギターのイントロから気だるく語るように歌いだすところは、ジョン・レノンの影響を強く感じる。

 単語の並べ方も、Give Peace A Chanceのように聴く者のイマージネーションを掻き立てる。

 アウトロのカオス状態の中で響くベースラインが好きだ。


3.Big Boy, Mountain ~死ぬんじゃないよ~

 アルバムのハイライト。

 60年代のフラワームーブメントの真っ只中に放り込まれたかのような錯覚を受ける。

 これもギターのバッキングが出色の出来。

 右チャンネルで鳴り響くリフは、ビートルズのI Feel Fineのようなセンスがある。

 またアコースティックギターのカッティングもさりげないが素晴らしい。凄くリズムをわかっている人だ。

 ベースラインも美味しい。マッカートニーの遺伝子を受け継いでいるかのようだ。

 最後、ドラムだけになるパートでは、複雑なリズムをグルーブを保ちながら叩く力量の高さを感じる。

 個人的に一番好きな曲。


4.VOICEそらら ~Do The Right~

 アバンギャルドな曲。リズムパターンが面白い。


5.Present Life (Acoustic Version) ~至福の生活~

 この人の歌にはパワーがある。歌詞カードで読むよりも、聴くほうが何倍も説得力がある。

 金金金・・・かねやん滑って カーネギーでShout!

 これ読んでなんやねん?と思ったのですが、聴いてみるとあっ、なるほど!

 とわかりました。

 訳わかりませんか?聴かないとわからんとです。はい。


6.Rocket (Instrumental) ~弦楽四重奏~ ~星屑-飛行船~

 なんでこんな曲が録音できるの??

 誰がスコア書いたの????

 テーマとなっているメロディがいい。


7.LARGO

 哀愁漂うナンバー。ファルセットを効果的に使ったメロディは日本人離れしている。

 この人の声、いくら感情を込めても決して感傷的にはならないという特長がある。

 ある種の普遍性を感じるのだ。

 この曲はデモのようなラフな仕上げではあるのだが、それがかえっていい雰囲気をかもし出している。


8.天神, Blue ~青~

 ギターの弾き語りで聴かせる、アルバムラストの曲。

 一発録りならではのライブ感が味わえる。

 荒削りなメロディtと歌であるが、聴いていると風景が浮かんでくる。

 私にはこんな風景であった


   大きく緩やかな川の流れを見下ろす堤防沿い

   一人たたずむと 真っ青な空に 白い鳥が一羽

   何事もないように 羽を広げている

   飛ぶことさえ忘れた私たちの ちっぽけな出来事を

   知らぬがごとく



子供の頃から芸能界で活躍されていた水野哲さんのプロフィール
Johannes(ヨハネ)のHNで書かれているブログ

ご本人からのコメント。


12/28 Johannes

ホントに嬉しいです。m(__)m
感謝感激です!

ちなみにアコ・ギターとハープは、私が演奏してます。リズムに関して褒めてもらえたので良かった!JOHNが、好きで始めた音楽という事もあるのですが、リード・ギターではなく、リズム・ギターという、ポジションに拘ってきました。今はあまりそんな区分けはないのかも?ですが・・・あっ!そうか、タイマイさんはドラマーですからね!リズムやBEATが聴こえるのだと思います。

自分の、ブログでも今度、自分なりにも解説してみます。その時は、TBお願います。

素晴らしい解説と紹介、どうも、ありがとう。m(__)m