Crying Over You

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12月6日。

この日を覚えている人はどれくらいいるのだろうか。

2日後にせまるあの世界的アーティストの死に隠れて、この日はあまり注目されていない。

しかし私にとっては忘れられない日だ。


1988年12月6日、私の注目していたバンドのメンバーの一人が急死した。

そのバンドとは

The Traveling Wilburys
Traveling Wilburys, Vol. 1

ジョージ・ハリソン、ボブ・ディラン、ジェフ・リン、トム・ペティ、そしてロイ・オービソンによるスーパーバンド。

亡くなったメンバーとは、ロイ・オービソンである。


彼のことは当時全く知らなかった。

しかし、シングル「Handle with care」のプロモビデオに映る彼の姿は、とても印象的だった。

層々たるメンバーの中で、一人なんだか浮いてる。

失礼ながら、とてもおっさんくさいのだ。

しかし、アルバムの中で聴かせる彼の歌声にはぶっ飛んだ。

とてつもない伸びやかな高音。歌い上げるスタイルがすっかり廃れてしまった中で、古めかしくも新鮮なそのボーカルスタイルに私は注目せざるを得なかった。


そんな中、突然の訃報だった。

私にとって一つまた、12月の悲しみが増えた。




ここで、ロイのプロフィールを紹介。

roy

Roy Orbison

1936年4月23日米国テキサス出身。88年12月6日、心臓発作のため死去。


哀愁溢れるヴェルヴェット・ヴォイスで60年代に多くのヒット曲を放ったロイ・オービソン。「オー・プリティ・ウーマン(後にヴァン・へイレンがカヴァー)」や「キャンディ・マン」といったロックンロール・ナンバーもヒットを記録したが、名曲の大半はバラードにあるといっていいだろう。繊細なストリングスをバックに、私生活の悲劇をそのまま投影したような苦悩に満ちた歌詞を、哀しみを帯びた声を駆使して歌い、「オンリー・ザ・ロンリー」や「クライング」といった誰にも模倣できない美しいポップ・ミュージックを創りあげたのだ。


80年代に入るとサントラへの参加やカヴァー曲のヒットにより再び注目を集め、88年にはボブ・ディラン、ジョージ・ハリソン、ジェフ・リン、トム・ペティらと覆面バンド、トラヴェリング・ウィルベリーズを結成、燻し銀のロックンロールで多くのポップ・ファンを魅了した。しかし同年、久々のカムバック・アルバムを残し、突然の心臓発作で他界してしまう。彼の歌と同様、最後にもう一度ポップス・ファンの心を悲しませて、この世を去っていった。


彼の遺作が、1989年に発表されている。

Roy Orbison
Mystery Girl

これにはなんとU2のボノも参加している。Traveling Wilburysの面々も参加した、豪華なアルバムだ。

結果的に遺作になってしまったが、彼の魅力が世界中に再発見されつつあった時期に、華々しくカムバックしようとしていた彼の魂が感じられる。


ブルース・スプリングスティーンは言った。「ボブ・ディランのような歌詞とフィル・スペクターのようなサウンドでレコードを創りたかった。そして何よりもロイ・オービソンのように歌いたかったんだ」・・・。


彼のように歌える者は、今後出てくるのだろうか。

彼の歌の中で一番好きな「Crying」を聴きながら、そんなことをふと思った。

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