昨日、チェンマイ市内のパヤップ大学でジャズのコンサートがあった。
UNIT ASIA 」という日本人とマレーシア人、タイ人からなるユニットによるアジアツアーの最終日だ。
入場無料ということだったので、バンドのギタリストを誘って一緒に見に行った。
会場はパヤップ大学のホール。何でも音楽学科みたいなのもあるということで、
結構本格的なホールだった。1,000人ぐらいは入るのかな?


ステージ


開演前のステージの様子。
そして、ドラムは元T-SQUAREのドラマー、則竹裕之さん!
則竹裕之さん
■ 則竹 裕之 (ドラムス)
1964年生まれ。神戸大学在学中の85年「THE SQUARE」に加入し、プロデビュー。

開演前にドラムをチェック。

ドラムセット

セットはタム1つ、フロアタム1つにスネアの基本3点セットにクラッシュシンバル3枚、
シズルつきライドシンバル1枚。足元はツインペダルにパーカッション用のペダルが一つ。
比較的シンプルなセットと言えよう。

則竹さんはドラムマガジンで顔を見たことがあるだけで、実際にプレイを見たことも聴いたことも無かった。
もちろん彼のプレイを目当てに行ったのだが、いや~凄かった。
テクニックがまず半端じゃない。
叩けないものは無いんじゃないかという感じ。
正確無比なストローク、リズムキープ。
アイデア豊富なフレーズ。
その全てが教科書に出てきそうな優秀なもの。
ドラムソロの場面ではシンバルスタンドの留めが甘くなり、シンバルが傾いたままになってしまう。
しかしそれでも足でリズムキープしながら自らスタンドを手で締める。
カッコいい。
その直後スティックを落としても、流れを止めることなくソロを構成してしまった冷静さと
それを体現するテクニックは驚異としか言いようが無い。


だが・・・だがあえて言わせてもらうと、正直少し物足りない点も感じた。
それは、人間的なグルーブ。
則竹さんのプレイは、完璧すぎるのだ。
彼はCASIOPEAの神保彰とドラムだけでユニットを組んでいるのだが、
神保さんも同じようなプレイスタイル。
譜面どおり完璧、しかし人間的なグルーブというよりは機械的な響きを感じた。
それはそれで音楽的に悪いわけではないし、非常に安定感のあるプレイなのだが、
自分のストライクゾーンからは少しずれる。
やはりボンゾのようにリズムが揺れていて、否応なしに体ごと持っていくドラマーが自分は好きだ。
聴きながら、ああここボンゾなら叫びながらアウトしていくんだろうな~何て思ってた。

自分のプレーも大学時代には真っ直ぐなプレイで揺れが少なかったのだが、今は結構おいしい
グルーブを叩けるようになった。
それは、体型が変わって少し太ったことが大いに関係する。
大学時代は常に50キロを切るガリガリっぷりだったのが、今や60キロを少し下回るだけ。
昔より10キロも増えている。
それがプレイにも表れ、同じビートを叩いても重く揺れているように聴こえる。

則竹裕之さん 44歳 身長170cm、体重54kg。  や、やせすぎ~!
タイマイ     35歳 身長163cm、体重58kg。  ちょwwwおまwwwwww

ちょっと体重を分けてあげますから、そのテクをちょっと分けてください(;^_^A

もちろん、体重だけでグルーブが出るということではない。
呼吸なり、その音楽の解釈なりでずいぶんと変わるものなのだ。
同じビートを、同じフレーズを叩いてもこれだけ差が出る。
だからこそ、ドラムは面白い。


また、メンバーの中で秀逸だったのが、サックスのタイ人。
コー・サックスマン
■ コー・ミスター・サックスマン (サックス)
1973年9月13日生まれ。タイのノンタブリー県在住(バンコク近郊)、チュラロンコン大学出身。

申し訳ないけれど日本人のメンバー以外はどうせ寄せ集めで大したことの無いミュージシャンだろうと
期待していなかったのですが、いや~驚いた!
彼がバンドの中で一番輝いていました。
ギターの日本人とのソロの掛け合いをする場面でも、完全に食ってました。
もう誰がバンマスなのかわからないくらい。
途中MCを思い入れたっぷりに語りすぎて白けましたがwプレイでは完全にバンドを引っ張ってましたね。
彼、日本でも通用します。
いや、あれだけ吹ける人は日本でも少ないと思う。
それほど素晴らしいプレイでした。


まぁ勝手なことを書かせてもらいましたが、
久々に凄いドラム、これぞプロというドラムを聴かせてもらいました。
そしてタイにも素晴らしいミュージシャンが眠っているんだなということがわかりました。
世の中、広いね!



そしてサプライズ!!

終演後の則竹さん

終演後、オーディエンスのサインに応じる則竹さん。
このタイ人の少年にサインをねだられたのですが、ペンのインクが出なくなっていたので
英語で説明して他のペンを借りるようにと言っていたシーンです。
とても丁寧にゆっくりと語りかける様子が、すごく印象的でした。
この直後、自分も最接近遭遇!

タイマイ「あの~すみません・・・日本人ですけど」
則竹さん「あ、はい。いいですよ」(サインをする)
タイマイ「自分もチェンマイでバンドをやっていて、ドラムをやっているんですよ」
則竹さん「へぇ!そうなんだ!」(サインしながらもちょっと目を丸めて驚く)
タイマイ「今日はびっくりしました。シンバルが落ちてきた時、どうでした?」
則竹さん「ああ、そうだね。落ちてきちゃって・・・大変だったよ(笑)」
タイマイ「(笑)どうもありがとうございました」

見かけ通り、とってもいい人でした(#⌒∇⌒#)ゞ
ステージに出てくる際にも、タイ人風にワイ(手を合わせるポーズ)をしていたり、
こうして一人一人にきっちりと対応してくれる。
なるほどこういう人だからあんなにきっちりとしたドラムが叩けるんだな。うん。
タイマイ、あんまりきっちりしてない人なので、きっちりとドラムが叩けません!
でも、自分の好きなドラマーのほとんどが、きっちりしてない人なんだよな~。

まあ世の中、いろんなドラマーがいるということで。
則竹裕之さん、ありがとうございました。
またタイに来てくださいね~


「ありがとう」

こちらこそ、ありがとう!


注:関係者の方、もし写真掲載に問題がありましたらご連絡くださいませ。
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マイルスを聴いてね<2>

テーマ:
素足


友人から、マイルスをお店で流したいけど・・・という話があった。
そこで今いろいろとマイベストを組んでみているが、何しろ多作なマイルスのこと。
なかなか自分の納得のいくものができないでいる。
で、やはりアコースティック期とエレクトリック期に分けるのがよいなと思った。
エレクトリック期、それは60年代終盤に発表された『Bitches Brew』が本格的な
幕開けであるが、70年代のものは濃い~ので、とてもじゃないけど店では
流せそうにない。
そこで80年代以降の作品を聴いていたのだが、遺作となったこのアルバムに
再び驚かされた。

Doo-Bop/Miles Davis
¥741
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リマスターじゃない方の値段の安さにも驚いたw
初めて見た時、ジャケットにも驚いたもんだ。

しかし一番驚かされるのは、マイルスがいわゆるラップ・ミュージックの
リズムを自分の音楽にしてしまっていることだ。
ジャズの4ビートから始まり、ロックの8ビート、ダンスの16ビート、
様々なビートをマイルスは追い求め、自らの表現の幅を広げていった。
その最後に残されたこの作品は、その後の彼の旅路を想像させて余りある。
進化し続けたマイルス・ミュージック。
それはこの作品が発表された1992年からすでに16年もの時が経った現在の耳にも
刺激的に響く。
まぁ、ラッパーがもうちょっとセンスが良かったらよかったのに、とは思うが。
「マーイルス デイビス!」とか叫ばないで欲しいww寒いからwwww

とにかく、以前聴いた時よりもっと刺激的に響いてきたアルバムだ。
マイルスのアルバムにはそういう作品が多い。
だから、一生つきあえる。

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マイルスを聴いてね<1>

テーマ:
先日マイルスのことを書いたが、やはり皆さんマイルスの名前は知っていても、作品そのものに
手を伸ばす機会に恵まれていないのではないかと思います。
ということで、ちょっとシリーズ的にマイルスの音楽をご紹介したいなと思います。
「マイルスを聴け!」という刺激的なタイトルの本がありますが、こちらはソフトに「聴いてね」ということで、
まずは第1弾。

超初心者向け マイルス超定番ご紹介♪

マイルスって名前は知ってるし、ジャズっていうじゃん?
でもぶっちゃけ何から手をつけていいかわかんな~い
そんなあなたに、ハズレなし、これだけは押さえておきたい超定番作品をご紹介。

カインド・オブ・ブルー+1/マイルス・デイビス
¥1,632
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やっぱりこれでしょう。
ジャズというジャンルにおいて、この作品を超える作品は無いとまで言う人もいます。
自分もマイルスに触れた最初期はこのアルバムを中心に聴いていました。
以前に記事も書いています。(こちら
いろいろな雑誌やネットでの「名盤100選」に必ずと言っていいほど挙げられるこの作品。
ジャンルを超えた人類の誇るべき財産でしょう。
緊張感あふれる中に、各人のミュージシャンシップがしのぎを削る。
二度と再現できない、奇跡の演奏です。

リラクシン/マイルス・デイヴィス
¥1,619
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マイルスの作品の中で、いわゆる「マラソン・セッション」と呼ばれる一連の作品があります。
「Walkin'」「Workin'」「Steamin'」「Relaxin'」と、どれも「~ing」で統一されたタイトルであり、
その全てが素晴らしい作品です。
その中でもこの「Relaxin'」は、文字通りメンバーが皆リラックスして演奏している
様子が伝わってきます。
マイルスが指笛でいったん演奏を止めたり、「好きなように演奏していいよ」なんて言う
様子も聴き取ることができる。
ところでこのマラソン・セッション。なんとほぼ全てが一発録り。
レコード会社との契約を一気に済ませるために立てられた企画だったようですが、
普段ジャズクラブで演奏しているのと同じ、ありのままの音楽を収めたものです。
それがジャズ史に残る定番作品として残ってしまうというのも凄い話ですね。


同じジャズでも、これほどまでに空気感が違うのかと、
この2作品を聴けばお分かりになるかと思います。
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WAIT FOR YOU ~Premium Edition~/エリオット・ヤミン
¥1,980
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このアルバムを手に入れて聴いてみた
これがデビューアルバム?
こんな才能がついこの前まで埋もれていたなんて・・・
アメリカのスケールの大きさということなのか
それとも才能があっても芽が出ない者がどれだけいるのかという証明か

それにしても彼の魅力
それは歌のうまさを誇張することなく、歌そのものを伝えていること
それは木山裕策に通じるもの

わかったぞ
歌が上手いから売れたんじゃなくって
歌を伝えたい心があるから売れたのだ
ただ上手い人ははいて捨てるほどいるが
本当に伝える歌を歌える人は少ないのだ

だから、私たちは感動するのだろう

エリオット
木山さんに

WAIT FOR YOU~今の僕にできること~(DVD付)/木山裕策
¥1,721
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さて、ヤミンさんのこのアルバム。内容に触れてみよう。
木山さんの「home」のカバーを目当てで買ったのだが、やはりデビュー曲であり1曲目に位置する
「Wait For You」の楽曲の素晴らしさ、ボーカルの説得力には感動させられる。
歌の意味をしっかりと伝えるボーカルだ。
3曲目にシングルカットされた「One Word」。素晴らしい曲だ。
4曲目まで素直に聴ける。そして5曲目の「Movin' On」。
これこれ!この歌唱だよ。アメリカン・アイドルで披露して絶賛されたスティービー・ワンダーばりの
テクニックとグルーブ溢れる歌いまわし。リズムの乗り方が優れていて、鳥肌モノ。
こいつ、何で今までアマチュアだったんだ・・・?

7曲目のドラムがいいなぁ~と思ってライナーを見ると、氷室京介も起用しているJosh Freeseだった。
氷室のアルバムでは主にヘビーかつスピーディーなドラムを叩くJoshだが、こういう歌モノの
バッキングも上手いね。スネアの音とか、モロおいらの好み。

そして12曲目はダニー・ハサウェイのカバー「A Song For You」
レオン・ラッセルの手によるこの楽曲だが、恥ずかしながらここで聴くまで知らなかった。

I've been so many places in my life and time
I've sung a lot of songs and I've made some bad rhymes
I've acted out my life on stages with ten thousand people watching
But we're alone now
and I'm singing this song to you

いままでの人生 いろいろな場所に行ってきた
いろんな歌を歌い いろんな間違いもやってきた
1万人が見る前で 人生をさらけ出したこともある
でも今は君と二人きりで この歌を君に歌っている

この歌い出しからして、彼のたどってきた人生そのものである。
歌にこれ以上ないほど魂が込められている。
彼自身のテーマ曲のようだ。

But now I'm so much better
and if my words don't come together listen to the melody
Because my love is in there hiding

でも今は前よりずっと良くなったよ
この言葉が信じられないなら、このメロディを聴いて
そこに愛が隠れているから

このフレーズ、ぐっと胸に来た。
エリオットが歌うと、こんなにも説得力がある。
そうだよね。病気に負けそうになって自暴自棄になった時期もあるんだよね。
でも、それを乗り越えたからこそ、この歌が歌えるんだよね。
1万人の前でも、たった一人の愛する人の前でも。

あかん、書いてて泣きそう。
実際この曲を車で聴いてて泣いてしもうた。
こんな歌を歌える人、なかなかいないよ。

人生を込めた歌を歌うエリオット。
そして木山裕策さん。
この二人のコラボは必然だったような気がする。
最初は「いかにも」という感じで戦略的な香りを感じていたけど、実際にモノを聴いて考えが
180度変わった。
音楽を売るために仕掛けることはいろいろあるけれど、その仕掛けの中に人の心を込めることが
できるんだ。この二人を結びつけたエイベックスの現場の方に、敬意を表したい。



笑顔のコラボ



蛇足:エリオットのアルバム、Premium Editionに入っている
    プロコル・ハルムの「A Winter Shade of Pale」。
    このドラムはおいらの方がもっとグルービー&エモーショナルに叩けるぜ!