タイ経済は落下中 <08年第4四半期成長率▲4.3%> | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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 2月23日にNESDB(国家経済社会開発委員会)が発表した08年第4四半期・実質国内総生産(GDP)成長率(速報値)は前年同期比▲4.3%となりました。タイのマイナス経済成長は「アジア通貨危機」以来。

 タイ経済のマイナス成長(08年第4四半期)は、生産が(年率換算)22.3%に縮小したことが大きな要因。特に、世界不況の影響で主要輸出品目の電子部品、自動車部品などが大きく減退したのが響きました。また、農産物の価格低迷も農業国タイにはネガティブに作用。加えて、政治混迷による第4四半期のスワンナプーム空港の閉鎖。これも投資家心理の悪化を通して観光業や海外直接投資に悪影響を与えました。

 一方、政治混迷も昨年末の空港開放で一段落。アピシット新政権も発足して経済政策が打てるようになったのは好材料。しかしながら、公共投資などの景気刺激策だけでは輸出依存型経済のタイ経済はなかなか好転しないと思われます。

 先進国経済の不況で2009年も輸出は低迷継続見通しであり、海外からの直接投資増もほとんど期待できない状況にあります。

 こうした状況のなか、タイ政府は2009年経済成長率を若干のプラスと甘い予測をしています。一方で、民間調査機関のカシコーン・リサーチ・センター(KRC)は2009年経済成長率を▲(マイナス)1.5%からプラス0.2%の成長と予測。これはタイ政府がきちんと経済促進政策などを実行に移すことが前提であり、もし実行に移すことができなければ更なる悪化を招くとのこと。
 また、ムーディーズ社はタイ・2009年経済成長率を▲(マイナス)2.4%と予測しています。
 
 2009年は「戦後最大の不況の年」となりそうです。

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 アジア各国の経済成長率推移グラフ(年ベース、IMF予測、タイの2009年のみムーディーズ社予測、グラフをクリックすると拡大できます)
 このグラフを見る限り、現時点でタイはアジアで世界不況の影響を最も受けている国と云える。

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 タイの経済成長率推移グラフ(四半期ベース、NESDA)

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