サブタイトルの「The Touring Years」が示すように、ビートルズがツアーを積極的に行っていたデビューから1966年(アルバムで言えば『リボルバー』のレコーディング時点)までの彼らの活動を映像に収めたもの。

 

コンサート・ツアーの演奏だけではなく、その当時半年に1枚のペースでリリースされたアルバムのレコーディングや彼らの日常の映像もふんだんに加えられている。

 

デビュー前のハンブルグでの下積み時代(映画ではスチュアート・サトクリフやピート・ベストには触れられていない)、小さな映画館のトイレ横の窓のないコンクリートの壁に囲まれた用具庫で寄り添って過ごした4人が、そのわずか3年後にはニューヨークのプラザホテルで1フロアを借り切るまでになる。そのジェットコースターに乗ったかのような狂騒の日々の雰囲気がよく伝わってきた。

 

彼らがデビューから成功を収めることができたのは、レザージャケットとジーンズを脱ぎ捨て、テーラーメイドのスーツにし、おそろいのマッシュルームカットにしたというビジュアル面の寄与が大きかったと思うが、そこには労働者階級出身の彼らではなく、上流階級出のマネージャーであるブライアン・エプスタインの影響が大きかったことがよく分かった。

 

ビートルズが半世紀を経ても愛されている理由は『リボルバー』以降のアルバムの音楽的深化があったから(つまり、『リボルバー』以前のアルバムだけでは、今のビートルズの評価はなかったと信じている)。そして、スタジオに籠ることになる大きな理由が、殺人的なスケジュールのツアーが彼らを疲弊させたからである。そうした「ビートルズがなぜいまだに愛されているのか」の一つの答えの鍵がこの作品に表れているのは興味深かった。

 

この映画では、ポップでキャッチ―な初期の楽曲がふんだんに聞ける。そして、彼らが1966年のサンフランシスコでのコンサートを最後にツアーをやめた後の唯一のライブと言えば、伝説的な「ルーフトップ・コンサート」なのだが、その模様が映画の最後に収録されていることもよかった(その映像を含む映画『Get Back』がDVD化されていないだけに)。

 

有名人(ウーピー・ゴールドバーグやシガニー・ウィーバー)らが子供時代にファンで、彼らのコンサートに行ったという話はどうでもよかった。挿入された有名人のインタビューのなかで唯一価値があったのは、エルビス・コステロ。

 

ビートルズ・ファンであれば当然観ているだろうが、もし見逃していたのであればマストの作品。

 

★★★★★★★ (7/10)

 

『ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK』予告編