『ありがとう、トニ・エルドマン』 (2016) マーレン・アーデ監督

Fri, February 10, 2017 15:32:19 Theme: 洋画 ア行

 
昨年のカンヌ映画祭の最大の話題は、前評判が非常に高かった『Toni Erdmann(邦題:ありがとう、トニ・エルドマン)』がコンペティション部門無冠で終わったことだった(かろうじて国際映画批評家連盟賞を受賞)。そして年末のヨーロッパ・アカデミー賞では主要5部門(作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞、主演女優賞)を独占。ゴールデングローブ賞の外国語映画賞ではノミネートすらされず、今年のアカデミー外国語映画賞の候補の一つである。
 
今年のアカデミー外国語映画賞の候補作は、本作以外に以下の4作品『Land of Mine (邦題:ヒトラーの忘れもの)』 『The Salesman』 『A Man Called Ove (邦題:幸せなひとりぼっち)』 『Tanna』。後者2作は未鑑賞だが、前者2作品との比較で、なぜこの作品がカンヌを取れなかったか分かった気がした。観て面白いし、いいなあとは感じるけれども、その面白さを高尚な映画言語で説明しずらいのがこの作品である。鑑賞済みの候補作の中では、自分自身この作品が一番好きだけれども、この作品がアカデミー賞を取ることは考えにくいと感じた(アスガル・ファルハーディー監督の『The Salesman』は、彼がアカデミー外国語映画賞を取った『別離』に及ばないという理由で、今年の外国語映画賞は『Land of Mine』と予想する)。
 
この物語は、父親と娘の愛情物語。娘は国際コンサルティング・ファームに働くキャリア・ウーマン。母親と離婚した父親は老犬が唯一の同居人だったが、その犬が死に、海外勤務の娘を突然訪れるところから話は始まる。仕事のプレッシャーから父親を疎みながらも週末を共にし、その彼が去って「障害最悪の週末だったわ」と友人に語る娘。しかし、帰国したと思った父親は娘のことが気がかりで帰っていなかった。そして突如、娘が友人といるその場に現れ、娘の友人には、他人をよそおって「トニ・エルドマンだ」と名乗るのだった。
 
娘につきまとう父親に、観客は驚き、娘に同情して一緒にイラつくはずである。しかし、疎まれながらも、人前では他人の振りをしてまで一緒にいようとする父親の姿に徐々に観客は引き込まれていく。そして映画が終わる頃には、みんな父親のファンになっているという作品である。
 
先に述べたように、『Land of Mine』や『The Salesman』のような高尚な映画ではないが、実に人間味にあふれたキャラクターがスクリーンにいる、愛すべき作品である。とにかく、じわじわ来る滋味が感じられる作品。
 
しかし、邦題の『ありがとう~』というのはどこから来るのだろう。邦題のセンスの悪さをあげつらうのは初めてではないが、観てほしいと思っているのかどうか本当に疑問に感じる邦題が多すぎる。
 
★★★★★★ (6/10)
 
 
 
 
 
 
 
 
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