『Dangal (原題)』 (2016) ニティーシュ・ティワーリー監督

Thu, January 26, 2017 14:02:12 Theme: 洋画 タ行
 
『きっと、うまくいく』のアーミル・カーン主演による「スポ根+親子・姉妹愛」物。実話に基づく作品であり、国際レベルの女子レスリング選手を育て上げた父と2人の娘の物語。非常に評価の高い作品であり、確かに分かりやすい面白さだった。
 
才能に恵まれながら家庭の経済的事情でレスリングを諦めなければならなかった男が、彼の夢を託すべく、息子を得ようと「妊活」するところから話は始まる。しかし、息子にレスリングで金メダルを取らせるという彼の夢は、4人目まで全て女の子が生まれた時点で諦めざるを得ないと思わせた。しかしある日、長女と次女が近所の男の子と喧嘩をし、彼らをボコボコにしたのを知って、彼女たちに一度は諦めた夢を託すことを決意する。嫌がる娘たち、嘲笑する周囲の人々、女子選手を相手にしないレスリング関係者など、数々の困難にもめげず、彼は信念を貫こうとする。
 
最初は嫌がっていた娘たちが、あることをきっかけに練習に励み、草レスリング試合で男の子をなぎ倒していくのは、コメディ系スポ根ストーリーの王道パターン。前半は、坊主刈りの少女たちがかわいく、スクリーンの中の彼女たちを思わず応援したくなる。
 
後半は、ギアがぐっと切り替わり、彼女たちがナショナル・チームの強化選手となり、父親との確執を乗り越えて、国際試合で優勝するお話。前半のコミカルさは控え目となり、シリアスかつ感動系。涙しない人はいないだろう。つまり一粒で二度おいしい展開となっている。
 
そうした分かりやすい面白さのほかに、隠れた社会的メッセージが込められているのが、この映画の良いところ。彼女たちは父親に強制され、あまり女の子がやりたがるはずもないレスリングを無理やりやらされて、何とか練習をサボろうといろいろ画策する。そして、14歳という同じ年頃の知り合いの少女の結婚式に出席した時のこと。彼女たちは結婚する少女に散々、父親が横暴であることを愚痴るのだが、少女は彼女たちのことをうらやましいと言う。なぜなら、彼女は顔も知らない男のところに嫁に行かされ、子供を作らなくてはいけない。それに比べれば、彼女たちは親から自分の子供として尊重され、期待されているとその少女に言われショックを受ける。以降、彼女たちはどんなに厳しい特訓にも泣き言を言わなくなり、率先して練習に励むのである。つまり彼女たちは、未成年少女の強制的な結婚という社会の因習が存在する男尊女卑の差別に対抗する象徴であり、虐げられた女性たちのヒーローなのである。だとすれば、この映画が本国インドで熱狂的に支持されているのも分かる気がする。
 
前半のレスリングの試合の様子は若干子供だましだが、後半のそれは相当リアルでありかなりの迫力。多分、レスリングに馴染みの少ない国の人にはそれほど受けないかもしれないが、そこは日本人、女子レスリングがお家芸とあって自分はかなり楽しめた。レスリングをモチーフに親子鷹+姉妹愛が描かれているとあって、浜口親子や伊調姉妹はこうだったのだろうかと重ねて観た。
 
そしてアーミル・カーンの肉体改造が半端ない。前半では42歳の設定であり、後半は52歳の設定なのだが、その体重差は実に25Kg。撮影時には、後半を先に撮り(クランク・インの時にはぶよぶよ)、撮影期間中にシェイプ・アップかつ筋肉隆々にしたというもの。役者魂のなせる業だろう。
 
2時間41分と長尺だが、それが全く苦痛にならないほど楽しめた。ボリウッド映画侮るべからず。インドのレスリング映画と聞けば相当地味に聞こえるが、騙されたと思って観てほしい作品。
 
★★★★★★★★ (8/10)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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