名古屋刑務所の刑務官による受刑者暴行事件を巡る国家賠償訴訟で、国に8910万円の支払いを命じた25日の名古屋地裁判決(戸田久裁判長)は最高裁判例に沿い、「原告は被告個人に損害賠償を請求できない」として刑務官個人の原告に対する直接的な賠償責任を否定した。一方で、刑事裁判で犯意がなかったとして無罪が確定した1人を含む刑務官5人に「国は賠償請求できる」と認定し、原告に対する間接的な賠償責任に言及する判決となった。

 国家賠償法は公務員が職務上、違法行為で他人に損害を与えた場合、国や地方公共団体に賠償責任があると規定。国などが負った損害は、その公務員に賠償請求できると別に定めている。

 判決は同法に基づいて刑務官ら個人の賠償責任について検討。1952年に北海道で発生した列車妨害事件(芦別事件)で、起訴されたが無罪となった元被告や家族らが起こした国家賠償訴訟で、警察、検察官個人について「公務員個人は賠償責任を負わない」とした最高裁の判例(78年)などを引き合いに結論を導いた。

 一方、訴訟では副看守長だった前田明彦被告(48)=特別公務員暴行陵虐致死罪などで有罪、上告中=ら刑務官5人が「国に対する賠償の義務はない」とする債務不存在の確認を求めていたが、判決は5人の革手錠使用を巡り「違法な職務執行につき、故意または重過失があった」と認定。国は5人に賠償請求できるとした。

 5人のうち1審で無罪判決が確定した元刑務官の男性(33)についても「別の刑務官とともに2人がかりで革手錠のバンドを強く引っ張り、重過失は認められる」と認定した。被告11人のうち5人を除く6人への国の賠償請求権については判断しなかった。【高木香奈】

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