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高橋徹也 official Blog


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高橋徹也です。

 

いよいよこの週末は明日より名古屋〜京都へ音楽の旅。友人でシンガーソングライターの山田稔明くんと初のツーマンツアーです。先日、セッション・リハーサルとライブ内容についての打ち合わせを兼ねて山田くん宅へ。普通のツーマンライブでは味わえない内容になるかと思います。楽しみです。

 

慌ただしくミーティングを終えて、自宅に戻ってからはひたすら物販用CD-Rの準備。これはさながら「母さんが夜なべして手ぶくろ編んでくれた〜」な状態でした(笑)そしてようやくこのセルフ・ライナーノート原稿も書き上げました。記憶を辿るように過去の曲を回想する作業もなかなか面白かったです。すでに購入いただいた方も、これからの方も、これを読んでCD-Rアルバム3枚に興味を持っていただけたら嬉しいです。

 

それでは、前置きはこの辺にして本題のセルフ・ライナーノートへ行ってみましょう!名古屋〜京都ツアーにも限定数にて販売いたします。どうぞよろしく。

 

2月25日(土) 名古屋 喫茶モノコト
『音楽と音楽 〜 山田稔明と高橋徹也』
18:00開場 19:00開演
前売¥3,500円 当日¥4,000 +1drink
出演:山田稔明/高橋徹也

☆喫茶モノコト~空き地~
名古屋市千種区内山3-28-1ちくさ正文館書店2F
070-6411-7531
*大須モノコトではなく千種区ちくさ正文館書店2階に
新しくオープンした新しいスペースです。

 

2月26日(日) 京都 恵文社 COTTAGE
『コーヒーと音楽』とカレーな京都
live:高橋徹也/山田利明
coffee:庄野雄治(アアルトコーヒー)
curry:夜長茶廊
開場17:00 開演18:00
予約¥3,500 当日¥4,000 +1drink

※THANK YOU!SOLD OUT!
当日券等については直接会場までお問い合わせください

☆恵文社 COTTAGE(コテージ)
〒606-8184 京都市左京区一乗寺払殿町10  恵文社一乗寺店 南側

 

 

illustration / あおいもなか

 

 

高橋徹也『a distant sea / 遠い海』
2016 / TVCDR-3 / 1,500(tax-in)

 

1. 美しい人
2. The Orchestra
3. ブラックバード
4. 真夜中のメリーゴーランド
5. 雪原のコヨーテ
6. 対岸
7. 夏の出口
8. 大統領夫人と棺
9. 夜明けのフリーウェイ
10. 星の終わりに
11. 別れの朝 歓びの詩

 

 

『a distant sea / 遠い海』に寄せて


そもそもの始まりは「美しい人」という名のワルツだった。

 

その時点での持てる全てを出し切ったアルバム『ある種の熱』を作り終えた後、空っぽになった自分から最初に生まれた曲が「美しい人」だった。何かをリセットしたかったのかもしれないし、何かを忘れないようにと思ったのかもしれない。そんな遠い記憶を辿るような三拍子の歌だった。舞台は海。誰もいない海。たまに自分でも笑ってしまうが、これほど多く海の歌を作っていながら、まったく海の男的イメージが定着しない歌手も珍しいものだなと思う。でも考えてみれば、実在しない海の景色を歌っている訳だから、それは当然のことかもしれない。

 

記憶が正しければ、この「美しい人」に続いて「サンディエゴ・ビーチ」という、これまた一筋縄では行かない海の曲を作ったはず。二曲ともに当時影響されまくっていた作家ヘミングウェイの描く海からインスパイアされたものだ。とにかくこの時期から自分の頭の中に、はっきりと海にまつわる様々なイメージが芽生えていったことだけは覚えている。

 

だが結果的にそこから新しいアルバムの制作に入るまで、約七年という長い歳月を費やしてしまった。それはなぜだったのか。正直なところ自分でもわからない。これはもう時のいたずらだとしか言いようがないこと。ただひとつだけはっきりしているのは、その時間が決して無駄ではなかったということだ。それに尽きると思う。この時期に浮かんだいくつもの曲やイメージは着実にライブで育まれ、その後のアルバムへと昇華していった。突然の嵐の如く『大統領夫人と棺』は生まれ、やがて始まりと終わりが重なり合う『The Endless Summer』へと流れ着いた。

 

長い前置きになってしまったが、始まりの歌「美しい人」で垣間見た遠い海の風景は、いつしか導かれるようにしてストリングス・ライブ「遠景の音楽」シリーズへと発展していった。素晴らしい弦アレンジを施してくれたsugarbeansこと佐藤友亮。三人の優秀な女性演奏家、矢野小百合、今井香織、田中詩織との幸運な出会いにも恵まれ、このライブは実現し現在も続いている。途切れることのない弦の響きと、寄せては返す波の音。いつか見た誰もいない海は、結局のところ完成することのない一枚の絵のようなものだったのかもしれない。だからこそこのライブ録音にもささやかな役割があるのだろうと、今はそう願っている。


 

illustration / あおいもなか

 

 

高橋徹也『TETSUYA TAKAHASHI』
2016 / TVCDR-2 / 1,000(tax-in)

 

1. ストレンジャー
2. One Light
3. 意外な人
4. スウィング
5. 怒りを込めて
6. ナイトフライト
7. 音楽
8. inner garden
9. ユニバース
10. 花火

 

 

『TETSUYA TAKAHASHI』に寄せて


ここに収められた多くの曲はサード・アルバム『ベッドタウン』に続く次回作のために着手していた自宅デモ音源である。結果的に2014年にリリースされたお蔵入りアルバム『REST OF THE WORLD』のプロトタイプという言い方もできるであろう。一般的にデモ・テープ制作というと、あくまで曲のメモ程度の位置付けだが、自分の場合はどの曲においても完成形としてこの作業を行っていた。デジタル機器、ハードディスク・レコーダーが急速に普及する中、当時自分が使用していたのはなんと8トラックのカセット・マルチレコーダー2台。まさにアナログの極みと言える録音環境の中で、楽器の音色やアレンジはもちろん、マイクのセッティング、録音からトラックダウン、マスタリングに至るまで、自分の思うままに作り上げた音源だ。この時期の代表曲とも言える「ユニバース」を筆頭に「One Light」「ストレンジャー」「意外な人」「音楽」「花火」など、思い入れの深い曲も多い。そして今回の再販にあたり新たに「ナイトフライト」を収録したことで、より一層セルフタイトル・アルバムに見合う濃密な内容になったと感じている。

 

1. ストレンジャー
改めて考えるとこの曲はサードアルバム『ベッドタウン』に収録されている「シーラカンス」の続編と言えるかもしれない。どちらの曲も「僕」と「僕ではない誰か」という二層的な視点で描かれている。「シーラカンス」と異なる点は、「僕」自らが意識的にその危うい闇の中へ足を踏み入れようとしているところか。シビれるような場所へと。

 

2. One Light
この曲はロイ・エアーズを始めとする1970年代のクロスオーヴァー、フュージョンなどを意識して作ったインストゥルメンタル。コーラスパートについてはデヴィッド・ボウイのアルバム『LOW』からインスピレーションを得た。案外こういうインスト曲の方が自分の内面をより濃く表しているのかもしれない。

 

3. 意外な人
当時の高橋バンドでギターを弾いていただいたダーツ関口さんや、レコーディングでお世話になったフィッシュマンズ茂木欣一さんから刺激を受けて書いた曲。自分が幼少期に肌で感じた郊外の街並みや夕暮れ時の切ない気持ちが反映されていると思う。実家ソングのひとつ。

 

4. スウィング
これは普段自分が感じていることを素直に書いた歌詞だと思う。「REST OF THE WORLD」収録ヴァージョンでは歌詞を一部変更した経緯がある。「絶え間なく続く僕の言葉は/口から出た順に死んでゆく」の ”死んでゆく” という部分を ”色褪せる” に変えている。文字に起こしてみるとシリアスなイメージが強すぎるかなという結論。

 

5. 怒りを込めて
怒っている人の歌が案外好きだ。声を荒げず冷静に怒っているのはもっと良い。この曲もそんなイメージで書いた。ただ同時に、怒りを動機として作る曲の限界も知っているつもり。要は全てがリアクションであるということ。何も生み出してはいない。自分の中から自然と湧き上がる衝動や歓びとはまた少し違うものなのだ。

 

6. ナイトフライト
サードシングル「チャイナ・カフェ」のカップリング曲としてリリースされた曲の自宅デモ音源。優劣を付けるつもりはないがこのデモ音源を凄く気に入っている。その理由は ”部屋の力” にあると思う。当時まだ実家に住んでいた頃、カセットレコーダーを相手に日々デモ制作に明け暮れていた。午前中に作業を始めて、深夜になると仕上がった新曲をカーステレオで聴きながら車を走らせる。その繰り返し。小さな部屋と世界が繋がっているような感覚があった。この曲を聴くとそんな当時のことを強く思い出してしまう。

 

7. 音楽
何度もレコーディングの話がありながら、結局バンド演奏での音源化は叶わなかった一曲。テーマが大きい分、ちょっと大事にし過ぎてしまったかなという思いはある。最終的に歌とピアノのシンプルなデュオ編成でレコーディングしてリリースされた。これはバンド演奏を想定したデモ音源。

 

8. inner garden
偶然鳴らしたアナログ・シンセのオートアルペジエーターを録音して、友人の小佐野直樹さんがアンビエントなギターをダビングしてくれた。ソニー時代のラストシングル「愛の言葉」カップリング曲「the garden」のテーマ・メロディを引用しているため、このようなタイトルを冠した。アルバムの中で意外と重要な存在になっていると思う。

 

9. ユニバース
この曲ほど何度もレコーディングしたものはない。自宅デモも含めると計4ヴァージョンが存在する。それは当時の自分にとってこの曲がどれほど重要だったかを物語っている。それぞれのヴァージョンに違った良さがあるが、この曲を歌う歓び、鮮度という点でこのデモ音源に勝るものはないと思う。つまるところ自分にとって作曲とは衝動であり鮮度。それは時間と共に失われてしまうが、同時に形を変えて生き続けるものでもある。

 

10. 花火
滅多なことでは泣かないたちだが、この曲を聴くと決まって涙が出そうになる。たぶんそれは自分の核心に迫る歌だからだと思う。ゆっくりと流れて行く一日や季節。変わり行くものと変わらないもの。そうした無数の時間軸がこの曲の中で重なり合うような気がしてならない。




illustration / あおいもなか


高橋徹也『太平洋』
2016 / TVCDR-1 / 1,000(tax-in)

 

1. La Noche Pacifica
2. in the mood
3. サマー・クルージング
4. 紅茶
5. もっとぎゅうっと
6. 国際人は電話をしない
7. グッドバイ グッドバイ グッドバイ
8. リンゴひとつ分の魔物
9. いつだってさよなら
10. 太平洋

 

 

『太平洋』に寄せて


1996年。デビュー・アルバムをリリースした後、次回作に向けて最初に思い付いたテーマがこの『太平洋』だった。それは自分のフェイヴァリット作家のひとり、サマセット・モームの短編小説「太平洋」から強く影響を受けたアイデアだった。CD-Rには収録されていないが、デモ・テープの制作過程で「雨宿り」「美少年」「カントリー・ライフ」「こっちを向いてよ」「夜空に願いをかけるなら」「カラーフィルム」「パスタ パスタ パスタ」「時間」など、未発表曲も多数存在する。結果的にセカンド・アルバムは『夜に生きるもの』というモンスターを描いた全く別の作品になったが、同時進行でこのような海にまつわる物語が存在していたことは自分としても興味深い。もし時計の針を1997年に戻して、この『太平洋』をレコーディングしていたとしたら、今の自分はどうなっていただろう。ふとそんなことを考えてしまう。それから長い間、自分の心の中で眠っていた『太平洋』にまつわる物語は、形を変えてその後のアルバムにも大きな影響を与えてきた。仮に自分の作品群をひとつの航海に置き換えるなら、この『太平洋』は忘れることのない青春を過ごした滞在地、港のような存在だと言えるであろう。


1. La Noche Pacifica

これは確か映画『黒いオルフェ』かなにかを見ていて、劇中音楽の一節から発想を得た記憶がある。そして異国感というテーマも根底にあると思う。自分は海や公園、広いところに行くと自然と走り出したくなる衝動があって、その感覚を歌にしていたのかなと今は思う。

 

2. in the mood
弾き語りも含めて近年まで一度もライブで歌ったことがない曲だった。理由は簡単。歌詞の青臭いラブソング感に照れてしまうからだ。ただ今は一周まわってそんな青臭さがたまらなく好きになっている。曲調は自分なりの山下達郎っぽさを表している。

 

3. サマー・クルージング
これはスタイル・カウンシル初期の名曲「LONG HOT SUMMER」に憧れて書いた曲。あとはマービン・ゲイとかニューソウル系の影響も出ていると思う。これもずっとライブで歌う機会がなかった曲だが近年になってようやく演奏してみた。意外と良かった。

 

4. 紅茶
さすがに30年以上曲作りをしていると歌詞の中に現在は使われていない固有名詞などが出てくることがある。この曲の中にも登場する ”ビデオ” という単語がそれだ。ビデオという響きは詩的な表現になり得るが、DVDやブルーレイではなんだか現実的すぎて味気ない。2017年ビデオ問題。

 

5. もっとぎゅうっと
俺にも可愛いところあるぞ、と思われたい時にうってつけの曲。というのは冗談。タイトルは当時たまたま読んでいた梶井基次郎の短編に出てくるフレーズをそのまま使ったと記憶している。結局、梶井基次郎の小説にハマることはなかったが、この曲については生みの親と呼べる存在だ。

 

6. 国際人は電話をしない
これを作曲した当時はまだ携帯電話が普及する前で、歩きながら電話をしている人がいるとけっこう珍しい光景だった。街ゆく人すべてが携帯、携帯、携帯。そんなイメージと筒井康隆のSF小説を重ね合わせて作った曲。アレンジは大好きな英国スカ・バンド、ザ・スペシャルズのセカンド・アルバムを意識した。

 

7. グッドバイ グッドバイ グッドバイ
この曲の舞台はたぶん新宿だと思う。当時まだ実家住まいだった頃、レコーディングやリハーサルが長引くと終電を逃して家に帰れないことがあった。そんな時、駅前のハンバーガー・ショップで始発電車が走るまで無為な時間を潰す。自分でも初めて気付いたがこれはノンフィクションだったのだ。

 

8. リンゴひとつ分の魔物
宗教観とも関わってくる話だが、海外においては、”私” と ”あなた” という二者の視点の他に ”もうひとつの視点” という意識、概念があると聞く。特定の信仰心を持たない自分や日本人一般にとっては本来なじみのない感覚だ。この曲はまさに自分と他人以外の存在を思考する歌だと思っている。それぞれが感じるリンゴひとつ分の ”何か” について。

 

9. いつだってさよなら
セカンド・アルバム『夜に生きるもの』に収録されたワルツ・バラードになる前のオリジナル・アレンジ・ヴァージョンがこちら。アップテンポで軽快なリズムによって、かえって切なさが増しているところも面白い。これこそ音楽の醍醐味だ。

 

10. 太平洋
冒頭の序文にも書いたサマセット・モームの短編小説『太平洋』からインスパイアされた一曲。希望や不安に満ちているこの世界。僕や君、彼や彼女を明日へと駆り立てる衝動、そして情熱。それはきっとそれぞれの小さな太平洋の中で静かに眠っている。嵐が来る前の静けさのように。

 

 

『不在の海』illustration / あおいもなか

 

 

 

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