あるマンションに、縁あって入居してくれた おじさん。
「今は、生活保護を受けているけど、昔は羽振りよかったんやで。」
そんな話をしながら、ちょっと高い、美味しいお菓子を買って、
「お世話になったから、食べてな。」って、お土産を持って店にきてくれました。
「窓のヒサシのテントに雨が当たって、うるさくて寝られへんねん。」
大家さんに交渉してみたら、
「過去、30年間、そんなことを言うてきた人はいませんねぇ」
「外す気はありません。」
とのことでしたが、
おじさんが、「この先、梅雨になった時が思いやられる」
「どうしよう・・・」
と、かなり深刻な為、
大家さんも
「退去される時に、再設置費用を負担してくれるのであれば外します。」
と、言ってくれました。
私の仕事は、管理者の言葉を、そのまま、おじさんに伝えればいいのでしょうが、
「かわいそうやなあ」
「生活保護を受けてはるのに・・・」
「私が負担してあげるって、どうなんやろ?」
「お人好しのアホ社長、商売人じゃないわ」って笑われるんやろか?
常識的に言えば、きっと、「必要なし」ってことなんでしょう。
「アマアマ商売」なんて言われても、
この人が満足して、信用してくれたら、それでもいいのと違うかなあ?
ご飯食べさせてもらったら、お礼しても、おかしくないやんなあ?
そんなふうに考えてみました。
クレームに屈するというものではないし、
旧き良き時代の、昔の、「大家と店子」の仲介を仕事にしている私なのだから、
その関係の麗しい部分を提供する大きな心を持ってもいいかな?
今の時代に、そんなことは忘れ去られているのだから、
気にせずに、大家さんの言葉をドライに伝えるだけでいいのかな?
大きな金額だったら、考えないんやろうな。
これって、似非親切なのかな?
迷いまくっている自分に、ちょっと笑ってしまっています。
おじさんと話し合ってみよう。
その時の雰囲気で、その場で、この迷いを解決することにしよう。
そんな結論でもない結論に到達しましたが、
おじさんにこのことを伝えると、アッサリと
「そうですか!そしたら費用は負担しますので、是非外してください!」と、即返事でした。
その上、次の日にまたケーキを持って来て下さいました。
「お世話になったから」と。
結局、私自身がおじさんを助けるどころか、ケーキをごちそうに
なっただけでした。
「地域の人に信頼してもらえる不動産屋」
この言葉、解かりやすい言葉のようで、なかなか難しい言葉です。
これからも、大いに迷いながら考えていこうと思います。
これって、「誠心誠意」を考えることと同じことやんなあ?って思いながら。


