TERUのブログ

つれづれに


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みなさんは「チバニアン」をご存じだろうか?

 

チバという語感から「千葉県」を想像されたとしたら、まずは正解。

 

となると、千葉の山奥で目撃された、なぞの原人であろうか? 雪男とか狼男みたいな、いわゆるUMA(未確認動物)。

 

それは不正解(笑)。

 

じつは千葉にある「地層」がその「正体」なのだ。

 

サッパリ意味がわからん!

 

と怒られる前に書きます。

 

日本で発見された地層が、国際的な地球史の区分名に採用されるかもしれない。というお話をこれからしようと思うのですよ。

 

ほら、恐竜が住んでた時代の「白亜紀」とか「ジュラ紀」とか聞いたことあるでしょ。アレですよ、アレ。地球史の区分名って。

 

地球史って、まずは古生代、中生代、新生代というふうに、大きく区分されます。その「代」の中に「紀」の区分がある。

 

たとえば恐竜のいた中生代でいうと、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀に分かれてる。

 

問題の千葉の地層は、古生代からさらに新しい、新生代に区分されます。

 

新生代はですね、古い方から「古第三紀」、「新第三紀」、「第四紀」の順に区分され、さらにこの「紀」の中に細かい区分が設けられています。

 

一番新しい「第四紀」。この中には「更新世」と「完新世」という区分があり、さらにその中に細かい区分が……

 

もう、なにがなんだかわかんない。図に書いてみましょう。

 

 

これでもまだわかりにくい(汗)。

 

ともかく!

 

新生代の第四紀、更新世の中期ごろの地層の細かい区分として、日本の千葉が候補に挙がっているのですよ、はい。

 

えーと、話は前後しますが、この区分には、その時代を代表する「地層」を「模式地」として決めることになってます。

 

模式地の正式名称は、「国際標準模式層断面とポイント(GSSP)」です。

 

その模式地に選ばれますとね、「ゴールデンスパイク」という認定プレートが地層に打ち込まれるんでございますよ。

 

Wikipediaより転載(上の写真)

 

ほら、こんなふうに。

 

ちなみにWikipediaにあった写真は、「エディアカラン」の地層。いまから約6億2000万年前くらいの、先カンブリア時代の最後の地層(この地層の上から、顕生代がはじまる)。

 

場所はですね、オーストラリア南部フリンダース山脈にあるエディアカラ丘陵の銀鉛山です。

 

さて。今回認定されそうなのは、上の図にあるとおり、更新世の中期。千葉の市原市にある地層が、模式地の候補に挙がっているというわけです。

 

世界遺産と違って、ものすごーくマイナーな話ですからね。それで観光客が増えるとかいうことではないですけど、まだ日本には模式地がないので、もし選ばれたら、日本ではじめての模式地になるんでございますよ。

 

ちなみに、模式地には、その場所の名前に「ian」をつけるのが習わしなので、もし千葉の地層が選ばれたら、「チバニアン」にあるであろうというわけ。

 

そう。まだ正式決定ではないので、チバニアンは日本の研究グループが勝手につけた名前なんですよ(笑)。

 

じつはこの年代には、もう一つ、イタリアの「モンテルバーノ・イオリコ」という場所が候補に挙がっていて、強力なライバルなのだ。

 

はたして、どちらが選ばれるのか?

 

それは「国際地質科学連合」の会議で決まります。早ければ、今年の秋ごろに結果が出るそうです。

 

みんな、覚えておいてくださいね!

 

 

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NASAの重大発表。

 

新聞はもちろん、テレビのニュースにも取り上げられましたから、ご存じの方も多いと思いますが、科学好き、とくに惑星探査好きのぼくが話題にしないわけにはいかない。

 

アメリカ時間の2017年2月22日(日本時間では23日の午前3時ごろ)、NASAが記者会見を開き、系外惑星にかんする、新たな発見を公表しました。

 

じつはこの記者会見、事前に「重大な発表がある」と予告されていたもので、みんな「なに? なに?」と、興味津々だったのだ。中には、「まさか系外惑星に生命を見つけたか!」という人までいた。

 

では、じっさいなにが公表されたかというと……

 

その前に少し解説。

 

NASAはここ最近、「TRAPPIST-1系」で、太陽系外惑星を調査してたんです。

 

ちなみに、ぼくらは太陽を回る惑星群を「太陽系」って呼ぶでしょ。だから「TRAPPIST-1系」とは中心に「TRAPPIST-1」という恒星がある惑星系ということ。

 

NASAはなぜ、このTRAPPIST-1に注目したかというと、地球に似た惑星があって、さらにその惑星が、生命の存在できる公転軌道(ハビタブルゾーンといいます)を回っていることがわかったからなんです。

 

ハビタブルゾーン。

 

この考え方は、まず生命が存在するには「液体の水」が必要であるという前提を置きます。なぜなら、われわれ人類は、液体の水以外で、生命が誕生する実例を知らないから。

 

もしかしたらもしかして、宇宙のどこかには、水以外から発生した生物がいるかも知れないけど、その可能性は、どうやらかなり低そう。水は当たり前の物質過ぎて忘れがちだけど、じつはとても特殊な物質なんですよ。液体から固体に変わると、体積が増える物質なんて、水くらいなもんです。(水以外の液体が凍ると、ギュッと凝縮して密度が高くなる)

 

その特殊性ゆえに、水じゃないと生命は生まれない。という思いが人類にはつねにあるんですな。それが本当に正しいかどうかはわかんないけど。

 

話がそれた。

 

水という物質は、気体と液体と固体の三つのどれかの状態で存在します。なかでも重要なのは液体の水。生命には液体の水が不可欠だと考えると、こんどは惑星の「温度」が問題になりますよね。

 

具体的には、地球上の海抜0メートル付近では(気圧によって液体の水が存在できる温度は変わるので)、1度から99度の環境になくてはならない。もっと正確にいうと、沸騰しなくても水はどんどん蒸発しますから、99度では高すぎる。最適な環境温度というのは、じつはすごく狭い範囲なのです。

 

快適な温度を保つには、太陽との距離がポイントです。太陽に近すぎれば、水星のように灼熱の世界。遠ければ、火星のように氷の世界。

 

地球はちょうどいい距離にあるんですよ。ちなみに、火星もギリギリなんとかなりそうな距離にあるんですが、なんらかの理由で、地球とは大気の組成が大きく変わってしまい、いまは(表面的には)生命の痕跡がないのでございます。

 

というところまで理解できましたら、さあ、NASAの発表に戻りましょう。

 

いままでTRAPPIST-1系の惑星は3個あると思われていたんです。ところが観測データの分析に誤りがあって、本来は2個ある惑星を1個とカウントしてたのだとか。

 

その結果、TRAPPIST-1系の惑星は一気に6個に増え、さらにその外側に、もう一個発見されて、全部で7個になったのだ。

 

たいへーん!

 

え? なにが大変なの? 太陽系にだって、惑星いっぱいあるじゃん。冥王星を含めれば9個もあるぜ。

 

いえいえ、TRAPPIST-1の驚くべきは、発見された7個の惑星が、すべて「地球型」だったのですよ。

 

しかもですよ、TRAPPIST-1に近い6個の惑星は、質量が地球の0.4〜1.4倍で、半径も0.77〜1.13倍の範囲なのがわかりました。どれも地球にソックリ。中には、本気で地球と双子みたいな惑星もあるかも。

 

がっ!

 

よろこぶのはまだ早い。地球にソックリな惑星があるとはいえ、肝心の恒星であるTRAPPIST-1は、太陽とはまるで違う。

 

質量がですね、太陽の0.08倍しかないんですよ。

 

ちっちゃ!

 

こういう恒星は、赤色矮星と呼ばれます。小さいだけでなく、温度も低いので色が「赤く」見えるから。

 

じゃあ、TRAPPIST-1系に、生命のいる惑星はないのでしょうか?

 

じつは「可能性」はあるんです。

 

さっきハビタブルゾーンの話をしましたよね。よーするに、水が液体として存在できれば、可能性はある。

 

恒星が小さくて温度が低ければ、その分、近くを公転すりゃいいって寸法。そのように見ていくと、TRAPPIST-1系には、ハビタブルゾーンに、3つの地球型惑星がありそうなんです。

 

うん。可能性はあるぞ!

 

というわけで、NASAは以前からTRAPPIST-1に注目していたのですが、今回の重大発表の重大性は、1つの恒星系に、7つも地球型惑星が発見されたこと、それ自体です。

 

もし、こういう恒星系が宇宙にたくさんあるとしたら、ぼくらが思っている以上に、宇宙は生命であふれかえっている可能性もあるわけですよ。

 

ロマンを感じるじゃないですか。

 

ちなみにTRAPPIST-1系に生命がいるかどうかは、今後、発見された惑星の大気を観測することで、さらに新しい仮説が立てられると思います。もし今後の観測で、酸素と水蒸気なんか見つかってごらんなさいよ。光合成ができるレベルの生命がいる期待がマックスです。

 

そんな期待とロマンを感じてもらおうと、NASAはTRAPPIST-1系にある惑星の一つから見た想像図を公開しました。

 

NASA

 

むかしのSF映画のポスターふう(笑)。

 

こういうとこアメリカ人はさすがですよね。日本人なら、いかにも科学でございという絵しか描かないでしょう。

 

これはぼくの邪推だけど、まだ詳細がわからないから、ヘタに科学的であるより、SFふうを装ったほうが、いいと判断したのかも。

 

さらにいうと、TRAPPIST-1系の惑星に生命が育まれていたとしても、人類のような知的生命体がいる可能性は低いのです。なので人類が作った「基地ふう」の絵にしたのかもしれませんね。

 

外の風景を見て、驚いてる子どものシルエットを見てくださいよ。あの子どもこそ、いまの人類ですよね。太陽系外惑星を研究できるようになって約30年。ぼくらは、まだまだ子どもの好奇心で宇宙を見つめている。

 

なーんて意図まであるかどうか知りませんが、彼らのセンスには脱帽です。

 

蛇足ながら(ぼくは生真面目な日本人なので)、TRAPPIST-1に知的生命体は存在しないと思う理由を書いときます。

 

じつはですね、TRAPPIST-1は、太陽系から約39.13光年しか離れていないのです。宇宙スケールでいうと、ホントにご近所さん。もしわれわれと同水準の知的生命体がいたら、十分に「交信可能」な距離なんです。

 

「ハロー」って呼びかけてから返事が返ってくるまで80年かかるけど(苦笑)、そんなの宇宙の広さに比べたら、うちの近くのコンビニに買い物に行くようなもんです。さらに重要なのは、80年なら人類が待っていられる時間だってコト。(1万年後といわれたら、人類はもう地球にいないかも)

 

さらにいうなら、「ハロー」と呼びかけなくても、ぼくらと同水準の惑星なら、自然には発生し得ない電波を出してる可能性があって(人類も人工的な電波をバンバン発してる)、それを観測できるかもしれない。

 

なのに、そういう兆候は、いまのところありません。

 

知的生命体の存在は期待しないほうがいいですな。

 

ちゅーところで、久しぶりの科学記事をおわりまーす。

 

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今日は久しぶりに科学の話題。

 

ここんとこ、軽い(軽すぎ)話題が続いてたんで、うまく書けるかしら。不安(汗)。

 

さて、この時期必ず話題にしなくてはならないのが、ノーベル賞ですよ。そうです。今年も日本人が受賞しました。

 

大隅良典先生が、オートファジーの研究で、ノーベル生理学・医学賞に選ばれたのです!

 

うれしいですねえ。2014年から3年連続ですよ。文学賞の衝撃が強すぎて、ちょっと影が薄くなっちゃったけど(笑)。

 

冗談はともかく。

 

こーなりますと、とーぜん、オートファジーとはなんぞやという疑問が湧くわけです。わたくし物理と天文学はけっこうリサーチしてるんですが、ほかの学問は、そのときどきで話題になった研究を追いかける程度で、オートファジーという言葉も、大隅先生の受賞を聞いて知りました。

 

で、ぼくなりに調べたので、ブログに書かせていただきます。

 

すごく簡単にいうと、細胞が自分自身を食べちゃ現象のことだそうです。オートとはギリシャ語で「自分」という意味で、ファジーは「食べる」って意味だそうです。

 

細胞が自分を食べる?

 

なんか穏やかじゃありませんが、じつはこれ、ぼくらが生きていく上で、ものすごく大事な生理作用なんだそうですよ。

 

というのは、細胞は生きて、いろんな活動をしてますよね。取り込んだ栄養からエネルギーを作って、身体を動かすことができるのも細胞のおかげ、取り込んださまざまな物質を合成して、生きていくのに不可欠な物質を作るのも細胞の働き。

 

という、いろんな活動を通して、細胞の中にはゴミが溜まっていくんですって。

 

そう。そのゴミを食べて分解し、リサイクルできるようにするのがオートファジーの役割なんだそうですよ。もしオートファジーが働かなくなったら、細胞の中にゴミが溜まり続け、やがてその細胞は死んでしまう。要するに、生物として生きていけないわけです。人間ももちろん例外ではない。

 

こーんな重要な働きをしているオートファジーですが、大隅先生が研究をはじめた当時、だれも研究してなかったんだそうです。

 

そう。大隅先生が、たった一人で切り開いた研究分野なのだ。

 

だから今年の医学賞は、大隅先生単独での受賞となったのです。

 

それを知ると、すごくないですか?

 

もうちょい詳しく見ていきましょう。

 

先生は若いころ、ロックフェラー大学の研究員として、最初マウスの受精を研究していたそうです。その後、酵母を使ったDNAの複製について研究をしたのが、オートファジー研究のきっかけとなった、「酵母」との出会いだったそうです。

 

そのロックフェラー大学で、大した成果を上げられなかった大隅先生は、東京大学の理学部に誘われ、日本へ帰国します。

 

このときの指導教官だった安楽泰宏先生に、酵母を使って好きな研究をやりなさいといわれたそうです。ここでは「液胞」の膜を研究したそうです。

 

その理学部に11年在籍して、とうとう大隅先生は、助教授として自分の研究室を持つことになりました。

 

そこで研究をさらに進め……

 

と思うでしょ。ところが違うんだ。

 

それまで研究していた酵母の液胞については、在籍していた理学部の研究室にすべて置いてきたそうです。しかも院生を一人も連れて行かず、たった一人で新しい研究室を立ち上げたんだそうですよ。

 

なぜそれまでの実績を捨てて、そんなことを?

 

大隅先生曰く、せっかく独立するんだから、それを機に、まったく新しい研究をしてみたかったんだそうです。とはいえ、先生は酵母の専門家(?)ですから、あくまで酵母にこだわり、それまでだれも研究していなかった、オートファジーに目をつけたんだそうです。

 

じつのところ、若いころからオートファジーには興味を持っていて、いつか研究してみたかったそうです。独立した研究室を持ったその時が、まさにオートファジーに進む契機だったというわけですね。

 

するとまあ、当時だれも思っていなかった(だからだれも研究しなかった)けれど、オートファジーは、生物にとって極めて重要な生理作用だとわかってきたのです。

 

たとえば、パーキンソン病。原因がハッキリわからず、根本的な治療法もない難病ですが、どうやらオートファジーができなくなったことによる病気ではないかと考えられるようになってきました。

 

細胞の中にはミトコンドリアという取り込んだ栄養分と酸素を使って、エネルギーを作り出す器官がありますよね。このミトコンドリアが古くなると、活性酸素を出して細胞を傷つけてしまうそうです。

 

そこで登場するのがオートファジー。

 

古くなったミトコンドリアを食べて分解してくれます。どうやらこの作用が弱まると、パーキンソン病を発病するらしいのです。もしこの仮説が正しく、かつオートファジーを活性化させる薬が作れたら、夢の「根治薬」が作れるかも。

 

このように、体の中に老廃物(あるいは過剰な化合物)が溜まることで引き起こされる病気はたくさんあって、それらの治療に役立つ可能性がある。

 

またオートファジーは細胞に不可欠な生理作用ですから、逆に止めてしまうことで任意の細胞を殺すことができるかも知れない。

 

殺したい細胞といえば?

 

そう。癌ですよね。一部の癌では、オートファジーを止める薬で治せる可能性もあるといわれています。

 

とはいえ、オートファジーはまだまだ多くの謎に包まれているそうです。正直なところ、オートファジーによって分解されたタンパク質が、そのように再利用されているのか、その肝心なメカニズムもわかっていないそうです。

 

大隅先生自身は、動物の細胞は複雑すぎて、オートファジーの作用を調べるのは大変だとおっしゃっています。シンプルな酵母の研究をさらに進めて、まだ謎に包まれたオートファジーの秘密に迫りたいそうです。

 

生物学。もしかしたら、宇宙の謎より神秘的かも。

 

 

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きのう書いた『9次元からきた男』は、かなり消化不良だったので、もうちょっと突っ込んできたいと思うのです。

『9次元からきた男』では、科学者たちが、ある男を探すストーリーになっていました。その男の名は「ToE」。発音はトーエ。

このブログのタイトルにした、Theory of Everythingの略ですね。日本語にすると『万物の理論』。

そう。『9次元からきた男』の男こそ、科学者が探し求めている「万物の理論」そのものだったのです。しかし、トーエは科学者に捕まることなく、いつもスルスルと逃げていく。

なぜなら、Theory of Everythingは、とーっても難しくて、簡単に人類のものにはならないから。

というストーリーなんですが、小学6年生の姪には、チンプンカンプン。映像で科学者たちがトーエを最初に見つけたカフェ(日本科学未来館にあります)で、ジュースを飲みながら、そういう「お話」だったんだよと解説してはじめて、ああ、そうだったんだと。

小学6年生に、ストーリーが理解できなかったのは、ちょっと問題ですね。トーエが比喩になっていない。ここは清水監督の責任でしょう。トーエという「キャラ」を作りすぎちゃった。

なのでぼくは、キャラとしてではない、Theory of Everythingを、もう一度考え直してみたいと思うわけです。

では、ここからが本題。

ぼくたち人類は、科学という概念を身につけてから、この宇宙(自然)には4つの「力」が存在することを発見しました。

最初に発見したのは「重力」です。原始人も手に持っていた物を「落とす」と、地面に「落ちる」ことは知ってましたが、それを物理として研究した最初の人はガリレオで、彼の研究を理論にまとめたのがニュートン。

このときぼくらは重力を「再発見」したんです。ニュートンの極めて優れているところは、重力はどちらか一方だけが力を及ぼすのではなく、双方が及ぼし合っている「引力」なのだと気づいたところです。

ここが原始人も知っていた重力と、ぼくらが再発見した重力の決定的な違いです。

つまり、ぼくらは地球の重力に引っぱられて地面に張り付いていますが、じつはぼくたち自身も、地球を引っぱっているのです。でも地球に引っぱられるほうが圧倒的に強いので気づかないだけ。

そう。重力は万物が互いに影響を及ぼし合う力。だからニュートンはそれを「万有引力」と名づけました。

ニュートンって天才!

つぎに人類は、電磁気力に気がついた。いや、これもはるか古代から磁石の存在を人間は知っていてたんですけど、19世紀に入って事態は一変しました。マックスウェルという科学者が、「光」と「磁気」そして「電気」は、じつは同じモノのべつの側面を見ているだけだと気がついたんですよ。

光と磁力はまったくべつのモノに見るのに「同じ」だった。これは衝撃的な発見です。

それともう一つ重要な発見は、電磁気力も互いに作用し合う力だとわかったことです。なので人類は、このころから「力」のことを「相互作用」と呼ぶようになっていきます。

さて、その後人類は、ミクロの世界を研究できるようになりました。顕微鏡で細菌を観察するなんてレベルじゃなく、ぼくらの体を作っている「物質」そのものを研究できるようになった。

そう「原子」の登場です。

これまた古代に目を向けると、古代ギリシャの哲学者が早くも「アトム」という言葉を残している。リンゴを半分にして、さらにそれを半分に、またさらに半分に……と続けて行くと、いつか分割不可能な「最小単位」に行き着くだろうと、古代ギリシャの哲学者は考えたのです。

驚くべきことに、その考えは正しかったのです。ただ彼らの欠点は、思いついたのが2000年ほど早すぎて、研究できる装置を持っていなかったことだけ。

そして、物質の最小単位を研究できるようになると、人類はついに「素粒子」を発見します。これこそ、それ以上、分割不可能なモノ。

すると……

それら素粒子や、素粒子が集まってできた原子核などにだけ存在する「力」が2種類あることがわかってきました。科学者たちはそれらを「強い力」と「弱い力」と呼ぶようになったのです。

こうして、この世に存在する「力(相互作用)」が、すべて発見されました。

重力、電磁気力、強い力、弱い力。

この4つ。

でも科学者は満足できない。なぜなら光と電気が同じモノで、電磁気力だとわかったのだから、もしかしたらほかの「力」も、元は同じかもしれない。そう思えて仕方なかったのです。

なので科学者たちは、4つの力を統一することを目指しました。それらをすべて統一できたとき、それは「大統一理論」と呼ばれるはずです。

その理論こそが、Theory of Everything、そう「万物の理論」になるだろう。と思われていたのですが……

これが想像以上に難しい。

いまぼくたちが知っている物理の理論は、大きく分けて2つあります。ひとつは、みんなご存じアインシュタインの提唱した「一般相対性理論」。そしてもう一つは、アインシュタインに比べると知名度が低いボーアたちの提唱した、「量子理論」。

この2つをざっくりいうと、一般相対性理論は「重力」を説明する理論で、量子力学はミクロの世界「素粒子」を説明する理論です。

「重力」と「素粒子」。

この2つの相性は最悪。もー、まったく仲良くできない。

この宇宙を見渡すと、そこは「重力」によって支配されているように見えます。地球が太陽の周りを回るのも重力のせいだし、太陽が銀河系の中にあるのも重力のせい。その銀河系同士が、大きな銀河団を作るのも重力のせい。

これらは一般相対性理論で、とてもうまく説明ができます。

ところが、小さな小さな素粒子たちを見ると、重力の法則とはまったく違う世界があることがわかってきました。

そこは一般相対性理論がまったく通用しいんです。なぜ通用しなくなるかは説明が難しい(ぼくが理解しているかも怪しい)ので省きますが、素粒子を相手にするときは、量子力学という理論で計算するとうまくいくのです。

大きいモノと小さいモノで、扱う理論が違うって、ものすごく気持ちが悪い。どちらも同じ理論で、スッキリ説明したい。なのに、それができないんです。

重力が異質すぎるんですよ。異端児。

じつは、電磁気力と弱い力は統一できそうなんです。強い力もなんとかなりそうな気配がある。でも重力だけは、頑として統一されることを拒むように、科学者に心を開いてはくれません。

本当に重力まで統一する理論が作れるのでしょうか?

多くの科学者は作れると信じています。トーエを捕まえることができると。

でもいまの人類は、「重力」とはなにかという根本的な問いに答えられません。果敢に挑戦したアインシュタインは、重力とは「時空の曲がり(ゆがみ)」だと主張しました。

観測すると、たしかにそのとおりの現象が起こるのです。するとこんど「時空とはなにか」という問いが出てきます。

時間と空間。

こいつは厄介ですよォ。時間も空間も、それこそ原始人だって知っていたはず。でも現代物理学でいう時間と空間は、原始人が感じていたモノとはまったく違う。

ぼくらは長いこと、時間は「絶対に一定」であり、空間も「絶対に一定」だと考えてきました。時計は狂うけど、それは精度が悪いだけで、時間そのものは絶対に狂わない。

空間も常にそこに存在していて、土地の境界線を引き直すように、大きくなったり小さくなったりするモノではない。

だからニュートンのような天才でさえ、時間と空間という「絶対的なもの」こそ、神の作りたもうたもの。と考えていたそうです。

ところがアインシュタインは、ニュートンのいう神さまを葬り去りました。

驚くべきことに、空間は伸び縮みします。空間が伸びれば、そこに流れる時間も伸びる。逆に空間が縮めば、時間も短くなります。

そんなバカな。と思われるかもしれませんが、厳密な観測と実験によって、アインシュタインの主張が正しいことは、なんども証明されてきました。さらに去年、アインシュタインの残した「最後の宿題」と呼ばれていた重力波の観測にも成功しました。重力波とはつまり、空間の伸び縮みが伝わる現象です。

時間も空間も「絶対的」ではなく、観測者のいる場所によって変化する、「相対的」なものだったのです。

極論すると、アインシュタインは重力を「力」から外しちゃったんです。たとえば太陽を回る地球は、じつは真っ直ぐ進んでいるだけなのです。でも太陽の重力で空間が曲がっているから、円を描くように曲がってしまう。ぼくらはそれを「力」と呼んでいるだけなのです。

じゃあ空間を曲げている犯人はなんだ? という疑問が生じる。物理学者は「重力子」という素粒子が存在していて、それが空間を曲げていると考えていますが、その重力子は発見されていません。

このように、重力については謎だらけなんです。

さらに「時間」についても、ぼくらはなにもわかっていない。空間についても、なにもわかっていない。

アインシュタインは、時間と空間は分けて考えることのできない「時空」だと定義しましたが、どうやらその考えは正しい……ということくらいしかわかっていないのです。

現に、多くの物理学者は、時空について「宇宙とはそういうモノだ」と、受け入れているだけなんだそうです。

時間とはなにか?

こんな簡単な問いに――いえ、簡単だからこそ――、答えを出せる科学者はまだいない。だれも答えられないんですよ。

万物の理論ができたら、その問いに答えられるのでしょうか?

ぼくは素人ながら思うのです。アインシュタインによって、時間と空間の考え方は劇的に変わったけれど、それはまだ「変化の途上」なのだと。人類は時間と空間について、さらに革命的ななにかを見つけなければ、万物の理論に到達できないんじゃないかと。

時空こそが「Theory of Everything」なのかもしれません。



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日本科学未来館というのがお台場にありまして、そこで『9次元からきた男』というのを上映しているんですよ。

超ひも理論という、いま理論物理学の世界でも最先端の研究を、科学的な正確さを追求しつつも、一般にわかりやすく紹介しようじゃないかという試み。

それを知ったとき最初に思ったのは……

観たい!

科学好きなら当然ですが(笑)、観たいと思ったのは、監督が清水崇さんだったからといっても過言ではない。

だれ?

呪怨を撮った監督ですよ。呪怨。こわーい。リングで貞子さんにやられたぼくは、ジャパニーズホラーを観ることのできない体質になってしまったので(苦笑)、呪怨は観てないんですけど……

でも、一級の映画監督なのは間違いない。その監督が科学をテーマにした映像作品で、ありきたりな「解説番組」ふうを撮るわけがないという期待。

さらに監修がカリフォルニア大学の大栗博司教授なのも期待度が高い。超ひも理論の研究者としてこれまた一級のお方ですから。

というわけで、ずーっと観に行きたいと思ってたんだけど、この夏休み、やっと姪を連れて観てきました。姪について来てもらったというのが正しい表現だけど。お台場のデックス東京(という商業施設があるのです)で、たこ焼きミュージアムに行く約束をして、やっとついて来てくれたというのが、さらに正しい表現だけど(汗)。

ともかく!

ワクワクドキドキして観たせいか、期待が少し上回ってしまった(苦笑)。そもそも、30分弱の作品ですから、そのボリュームで、最新理論を説明しようというのが無謀かもしれません。

観たあとにWebで調べたら(ぼく、観る前は先入観を持ちたくなくて、あんまり詳しくは調べないたちなんです)、大栗博司教授も、今作は「あらすじ」みたいな作品だとおっしゃっていた。

たしかにそうだなと。超ひも理論の「あらまし」を軽く説明するに終わっています。この作品を観て、興味を持ったら、あとは自分で調べてみてね。という期待が込められているとも受け取れる。好意的に考えれば(笑)。

素粒子の動きを表現した映像などは、ものすごくきれいで、ぼくはもう、ただただその美しさに没入してしまったのですが、理論を理解できるだろうかという点を冷静に考えると、やはりそれは難しい。

30分はキツいと思う。せめて1時間。できれば2時間ほしいでしょうね、映像を作る側としては。

とにかく、説明をそぎ落とすしかない。さらに商業作品の監督らしく、物語仕立てになってるんですけど、それもNHKの子ども番組程度に留めるしかない。最近はNHKの教育番組もクオリティー高いですからね。

それはたぶん、予算の都合も大きかったでしょう。ロケ地はそのほとんどが、科学未来館でした。講堂のシーンから、オフィスや廊下を走るシーンなどなど、科学未来館を歩いていると、あ、この場所、さっき『9次元からきた男』で観た! と気づいて、それはそれで楽しかったけど(笑)。

予算、上映時間、この2つばかりは、清水監督にもどうにもできませんからね。

観たあとに思った。

CG映像は美しかった。息をのむほどに。だからこそ、清水監督がさらに手腕を発揮できる予算をかけた次回作を見てみたい。

できれば「あらすじ」より、もう踏み込んだ「第1話」を。

なんか、消化不良を起こしたみたいな書き方ですが、科学が好きすぎるオッサンの戯れ言と思って、お許しくださいませ。



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今年(2016年)の2月。

重力波が観測されたという、衝撃的な発表が世界を駆け巡りましたが、覚えてらっしゃるでしょうか。忘れたなんていわないで~。

観測したのは、アメリカ、カリフォルニア工科大学のアボット博士。

そのアボット博士が、最初に観測した(現在2回観測されてます)重力波の詳細な分析結果を発表しました。

最初に観測した重力波の発生源は、地球から13億光年離れた場所で起こった、ブラックホールの合体でした。

それぞれの質量は、太陽の36倍と29倍。その2つのブラックホールが衝突して、一つに融合(合体)しちゃったとき、ものすごい重力波が発生して、それが地球まで13億光年もの距離を伝わってきたわけです。

さて、その合体の様子ですが、重力波の分析によると、合体にかかった時間は、たった0.2秒だったそうです。

まさに、一瞬の出来事ですよ。

ブラックホール自体は、どんな大きさを持っているのか、ぼくたち人類はまだ知りません。重力を考える手段を、ぼくらは一般相対性理論しか知らないんです。ほかの理論がない。なのに頼みの綱である一般相対性理論は、光りさえもその重力に打ち勝てないブラックホールには無力なのです。

なので、ブラックホール自体の大きさはわかりませんが、少なくとも質量が、太陽の何十倍もある「天体」であることはたしか。そして、その重力が及ぼす範囲は、太陽系すらすっぽり入るほどのはず。

そんな天体同士が、たった0.2秒で合体しちゃうって、もはや想像を絶する世界ですよ。

そして、この分析が示す、もっとも重要なことは、ぼくらははじめて、ブラックホールを直接「観測」したという事実です。

ブラックホールは、なにしろ光さえ出てこれないので、これまで直接「観測」することはできませんでした。

じゃあ、なんでブラックホールがあることがわかるのか?

それはブラックホールの重力に引き寄せられてガスが吸い込まれるとき、円盤上の渦巻きを作るからです。お風呂の水を流すとき、排水溝に渦巻きができるじゃないですか。あんな感じで。

排水溝と違うのは、吸い込む重力が桁違いに強いこと。あまりに強く引かれるので、ガスの分子同士が激しくぶつかり合って、X線などの強い電磁波を出すんです。それを観測して、「ははーん。これはブラックホールがあるからだな」と推測していたんですよ。

がっ!

今回観測したのは、そうした「間接証拠」ではなく、ブラックホールそのものが出した重力波。まさに「直接観測」したんですよ。

これがどれほど画期的なことか。

宇宙には、電磁波に頼っていては、絶対に解き明かせない(観測できない)謎があります。

たとえばブラックホールの中もそうだし、ダークマターや、ダークエネルギーも、電磁波では観測できない。

そして究極的には、宇宙が生まれた瞬間(そして初期宇宙の状態)も、どんなに遠方の宇宙を見ても観測できない。

でも重力なら、それらを観測することができるかもしれない。

アボット博士の用いた観測装置「LIGO(ライゴ)」は、いまもまだ改良中で、最終的には、最初の装置から比べて、10倍程度の感度になるそうです。(最初より4倍ほど感度を上げる改良が終わってすぐ、重力波を観測できた)

さらに、日本の重力波観測装置も来年には稼働するので、これからいよいよ重力波天文学がはじまります。

宇宙の深遠。その謎のベールがついに剥がされようとしているのだとしたら、なんてすごいことでしょう。

ぼくは1日も早く、ブラックホールの中がどうなってるか知りたい。

いや……そもそも「中身」という概念があるんだろうか?

ああ、宇宙は本当に謎に満ちています。



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ちょいと旧聞ですが、書いとかないわけにはいかない。

そう。113番元素ですよ。理研の森田教授のチームが発見した新元素。

まだ正式決定ではありませんが、それが「ニホニウム」になることが、ほぼ決定。

ちなみに正式に名前が決まるのは、一般からの意見公募期間を経たあとなんだそうで、まだ一年くらい先かと。

いうまでもなく「日本」が由来の名前である「ニホニウム」。

宇宙が作った――つまり自然界に存在する――元素は94番のプルトニウムまでです。95番のアメリシウムから100番のフェルミニウムまでは原子炉の中で見つかった(つまり人間が作った)。

そして101番のメンデレビウムからは、加速器という装置で、人間が計画的に作っているんです。もちろんニホニウムも加速器で作られました。

森田教授のチームは、9年の歳月をかけ、のべ500日間も加速器を動かし、なんと、たった「3個」だけ合成できたんです。

それほど新元素を作るのは難しい。一級の実験装置と、一流の頭脳があつまり、さらに大変なお金もかかる。

そんな苦労までして、いったいなんの役に立つんだ? 

と、よくいわれるみたいですけど、その質問はナンセンス。そこに山があるから登るんだとしか答えられない。もちろん未来には、なにかの役に立つはずだけど(たとえば陽電子の研究は、いまや医療に欠かせない)、いますぐなにかの役に立つとはいえないのです。

膨大な税金を使って山登りかい!

という批判は世界中にあって、いま新元素の合成に挑戦できるのは、アメリカとロシアの合同チームに、ヨーロッパの合同チーム、そして日本のチームだけなんですよ。その中で結果を残して来たのは欧米だけ……だった。去年までは。ついに日本も結果を残すことができました。

新元素の合成に挑戦できる。それは国として、世界で最高峰の科学水準を持ち、かつ非常に高い知的文明を持っていることに他ならない。

いますぐ役に立たなくても、知的好奇心を追求できる国の民であることは、世界に誇れることだと思います。

ニホニウム。

この名が周期表に存在するというのは、そういうことですよ。

森田教授は、さらにつぎの目標に向かって、加速器を改造しているところです。ニホニウムまでは、コールドフュージョン(冷たい核融合)という方法で作られましたが、つぎの目標である119番は、ホットフュージョン(熱い核融合)でなければ合成できないからです。

119番からは、未知の第8周期に入りますから、まさに前人未踏。日本が第8周期に一番乗りしたら、それこそ名誉です。

さらに126番は原子核が安定する「魔法数」なので、もしかすると、超重い元素の割に、比較的長く存在できるかもしれない。もしその性質を研究できたら、ノーベル賞級の成果。

この分野では、まだまだやるべきことが山盛りです。

がんばっていただきたい!



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残念でございます。

そう。かつてない高性能のX線観測機器を搭載して打ち上げられた、天文衛星「ひとみ」さん。

本当に残念ながら、復旧は絶望的のようです。

JAXAは引き続き、復旧に挑むとしていますが、「重大な事態」という表現を使っていることから推察するに、多くは望めそうもありません。

原因はわかっていませんが、内部異常で「分裂」した可能性が高いようです。

分裂かあ……それはもう、地上から制御して直るレベルをはるかに超えている。故障というより破壊ですもんね。

当初、宇宙空間に漂うゴミ(デブリ)と衝突して、破壊されたのではないかとうわさされましたけど、JAXAの調査では、その可能性はなさそうです。

とはいえ、内部異常の原因としては、燃料タンクの異常や、電池の温度上昇による爆発などが考えられるそうですが、いずれも可能性は低いそうです。

じゃあ、原因はなんだ?

X線の観測は、もはや絶望的ですが、故障(破壊?)の原因究明は、しっかりやっていかないといけません。原因がわかんないと、同じことがまた起こる可能性がありますもんね。

宇宙の観測は、本当に難しいってことですよ。NASAだって、冥王星まで観測衛星を送れるようになるまでには、過去に何度も何度も失敗を繰り返し、その原因をひとつひとつ潰してきたわけですもんね。

日本はアメリカに比べて、衛星を打ち上げられる回数が桁違いに少ないので、熟達するのに、どうしても時間がかかるのだと思います。

失敗は成功の母。という精神で、今後もがんばっていただきたい!



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本題の前に、ちょっとお知らせ。

神話エッセイのリクエストをいただいたので、久しぶりに書いてみました。

≫ 英雄か破壊者か(日本神話)

日本神話でございます。スサノオのお話。例によって、神話の矛盾にツッコミ入れまくり。久しぶりに書いたのに、前のエッセイと変わってないってことは、わたくし進歩がないのかも(苦笑)。

さて、それでは本日の話題でございます。神話から一気に変わって、科学なのだ。

日本には「KEKB」という巨大な加速器があります。

高エネルギー加速器研究機構(KEK)が運営する加速器ですな。じつはこの加速器2010年の6月に稼働を停止して、大規模な改造工事を行っていたんですよ。

改造前に行っていたCP対称性の破れを、さらに追求するために、高出力に改造されたのです。

それがやっと終わりましてね。「SuperKEKB」として生まれ変わり、2016年の2月から試験運転をはじめました。

もー、なにをいってるのかサッパリわかりませんよね(笑)。

では解説。

この宇宙は「物資」がたくさんありますよね。ぼくらの体も物質で作られている。

アインシュタインの理論によると、質量とエネルギーは同じなので、物質とはエネルギーが凝縮した姿と考えることができます。

じっさい、加速器でエネルギーを一点に集めると、そこに物質が誕生するのだ。アインシュタインは正しかった。

ところが、誕生するのは「物質」だけじゃなく、ペアになる「反物質」も同じ量だけ生み出されるんです。

物質と反物質。これは電荷が反対になっているだけで、あとは瓜二つの双子のようなものなのです。あるいは、鏡に映った自分。なにもかも、まったく同じに見えるんです。

とっても不思議。

反物質の存在は、イギリスの物理学者ポール・ディラックが1928年(若干26才のとき)に、予言したんですよ。

「宇宙で物質が作られるとき、反物質も同じだけつくられるであろー」と。

予言なんていうと、まるで神のお告げみたいですが(笑)、もちろんそうじゃなく、ディラックは、アインシュタインの一般相対性理論と、量子力学を融合させる理論を考えていて、その過程で、どうしても、そういう結論に達しちゃったのです。

反物質だって?

じつはディラック自身も、そんなものの存在を最初は信じらなかったんだけど、彼が予言したわずか4年後に、アメリカ実験物理学者カール・アンダーソンが宇宙線の中から反物質を見つけちゃったのです。

あるんだ、ホントに。反物質。

ところがですね、理論によると物質と反物質がぶつかると、「対消滅」という現象を起こして、もとのエネルギーに戻ってしまうのですよ。これまた実験してみると、そのとおりだったのです。

ここで大きな疑問が生じる。

宇宙はとてつもなく大きなエネルギーのスープみたいなところからはじまって、そこから物質が作られ、いまぼくらの住む、星々がきらめく宇宙ができあがった。

と考えられますが、物質と反物質が同時に作られ、しかも作られたとたん対消滅してしまうなら、永遠に宇宙は「エネルギーのスープ」のままじゃないでしょうか。

なのに、宇宙は物質で満たされ、反物質は無視できるほど「少量」しか存在しない。

なぜだ?

と科学者は悩みました。

考えられる理由は、たった一つ。

物質と反物質は、鏡に映った自分のように、なにもかも同じに見えるけど、じつは、なにか決定的な違いがあるんじゃないか?

ということを科学者の言葉で「CP対称性の破れ」と呼ぶのです。

「C」は粒子の電気をプラス・マイナス逆にする操作の言葉の略で、「P」は鏡に映したように左右を反転する言葉の略です。

つまり物質と反物質は「CP」がピッタリ「対称」のはずだと考えられてきたけど(電気的に反対で、鏡に映るように左右反対に動くのですから)、それがじつは「破れている」んじゃなかろうか。

と科学者は考えたわけです。

じっさい、物質と反物質には違いがありそうなんですよ。小林誠博士と、益川敏英博士が、部分的にですが、CP対称性が破れていることを1973年に、はじめて理論的に示し、その功績で、2008年にはノーベル物理学賞を受賞しました。

ふむ。どうやら、物質と反物質には違いがありそうですが、小林・益川理論は、それを部分的にしか説明できず、まだまだ完成された理論ではないのです。

ということで、最初の「SuperKEKB」に話は戻ります。

この加速器では、大量の反物質と物質をぶつけて対消滅させ、そのときの振る舞いを子細に調べることで、CP対称性の破れを、より深く知ろうというわけなんですよ。

CP対称性の破れがハッキリすれば、なぜ宇宙はいま、物質で満たされているのかを説明できるようになります。

つまり「SuperKEKB」は、宇宙誕生の謎に迫るために、すっごく重要な実験装置なのです。

大きな成果が出ることを期待したいですね。



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ああ、健康って素晴らしい。すっかり風邪が回復いたしました。

ピークが土日にかけてだったので、病院に行けなかったんですが、今回は根性で(笑)風邪薬を飲まずに治癒。ビバ、免疫力!

まあ、風邪の原因がウイルスだと風邪薬飲んでも、症状が緩和する程度ですからね。抗生物質が効くのは細菌だけ。

ま、それはともかく。

やっと回復したので、難しい話が書けます。なに? 書かなくていい? いえいえ、そんな遠慮なさらず(笑)。

そうです。またまた重力波について書きますよ。覚悟はよろしいですか? では深遠なる宇宙の謎を見ていきましょう。

まず、ぼくらが宇宙を見るとき、なにを見ているのでしょう?

第一の答えは「光」です。もっと正確には「可視光」。つまり人間の目に見える光ですな。だれしも冬の夜空を見上げて、オリオン座を探した経験があろうかと思います。

でも可視光で観測できる宇宙は、ほんの一部分でしかありません。星や天体現象は可視光以外にも、赤外線や紫外線あるいはX線などなど、さまざまな波長の光を出しています。さらには電波と呼ばれる領域まで。

技術の進歩により、人類は電波で宇宙を観測できるようになりました。これにより飛躍的に観測範囲が広がった。さらに宇宙空間に人工衛星を飛ばして、赤外線や紫外線さらにX線なども観測できるようになった。それまで理論上の存在でしかなかったブラックホールなども見つけることができるようになったのです。

それらを総じて「電磁波」と呼びます。可視光も電波も、波長が違うだけで「電磁波」の仲間だからです。

ところが……

頼りの綱である電磁波には、どうしても――理論上――超えられない壁があるんですよ。

現在の宇宙物理学において、かなり有力な仮説は、インフレーションというとんでもい速度で時空が膨張する現象が終わったあと(終わっていないという説もある)、みなさんも名前は聞いたことがあるだろう「ビッグバン」が起こって、いまの宇宙が誕生したということになってます。

ビッグバン。

これがどういう現象か、正直なところハッキリとわかっていません(その理由は後述します)。ですが理論としてはこうです。インフレーションによって解放されたエネルギーが凝縮して、「物質」が生まれた瞬間だろうと。

この時点でもう、なにをいってるかわかりませんが、アインシュタインの有名な方程式「E=MC2乗」は、エネルギーと物質は等価だといっているのです。ぼくらの体を作っている物質とは、エネルギーがものすごく凝縮した状態のことなんですよ。

ともかく。ビッグバンによって「物資」が生まれました。しかしこのときの「物資」とは、ぼくらの体を作っている物質とは違います。原子核と電子がばらばらにされた、スープのような状態だったのです。

このスープの状態が、理論上は約38万年ほど続いたとされています。

問題はこのスープの状態のとき、われわれが頼りにしている「電磁波」もスープの中に混じって、どろどろ状態だった。つまり「見えなかった」んです。もうちょっと正確にいうと、電磁波の元である「光子」が「電子」と相互作用して、遠くへ飛んでいけない状態だったんですよ。

さて、ビッグバンから38万年ほど経って、宇宙が十分に冷えると、原子核が電子を補足しはじめます。やっとぼくらのよく知る「水素」や「ヘリウム」が作られたのです。こうなると光子は電子の呪縛から解放され、外へ飛んでいけるようになりました。このときの光りを「宇宙背景放射」と呼び、ぼくらの観測できる、もっとも古い宇宙の姿なのです。

そうなんですよ。ビッグバン理論が正しければ(どうやら正しそうです)、電磁波での観測は、どんなにがんばっても、宇宙誕生から38万年以降に限られます。

これがビッグバンの正体を詳しく説明できない理由です。理論(仮説)では、さもよくわかったように説明されるビッグバンですが、その姿を観測することができないのですから。

そこで「重力波」。

アインシュタインが予言した時空のゆがみが波のように伝わる現象。この重力波の優れているのは、宇宙がスープ状態だろうがなんだろうが、まったく関係なく、なにものにも邪魔されず、どんな遠方でも伝わっていくところ。

そりゃそうですよね。なにせ時空のゆがみですから。時空そのものが歪んでいるので、そこにある物質もすべて合わせて歪んでいるわけです。それが伝わるんですから、邪魔者があるはずがない。

時空のゆがみは、すなわち「時間の伸び縮み」として観測できます。これまた難しい話は避けますが、一般相対性理論によると、時間と空間は同じなので、空間のゆがみは時間のゆがみと同じです。時間が歪むとはつまり、時計の針が遅くなったり早くなったり(相対的に)見える現象です。

この重力波を観測できると、われわれが理論的に電磁波で見ることのできなかった38万年より前の宇宙を見ることができるはずなんです。それこそビッグバンの瞬間そのものさえ観測可能かも知れない。それがいつ、どんな規模で起こったのか、正確に知る日が来るかも知れないんですよ。

もしそれを知ることができれば、われわれは宇宙誕生の謎に、大きく迫ることができます。

またビッグバン理論では解けない、初期宇宙の温度の揺らぎや、ダークマター、ダークエネルギーの謎も解けるかも知れません。ダークマターはどんな物質とも相互作用しないので、まったく、見ることも感じることもできないのですが、重力にだけは逆らえないのです。

ダークエネルギーはもっと謎の現象で、いまなお宇宙の膨張を加速させている力です。この正体がなんなのか、それなりに説得力のある仮説すら存在しないんですよ。宇宙物理学における超難問の一つ。

これも重力と密接にかかわっているので(ダークエネルギーは、重力に反発する力なんです)、やはり重力波の観測が大きな鍵を握っています。

重力波。

こいつの観測ができるようになるということは、宇宙物理学者にとっては夢のような話なんですね。

観測されたという重力波が、本当に重力波であったかどうか。これからさまざまな研究機関が検証していきます。そして重力波だったと証明された日、ぼくらは「重力波天文学」という新しい学問を手に入れるのです。

ああ、やっと難しい話が書けた。よかった(笑)。

これも健康と、脳にエネルギーを供給するチョコのおかげだな。




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