パンツが乾いた太陽君は父、重光に連れられて倉庫のような場所にたどり着いた。

 

ニコニコ笑いながら扉の前に立った重光は

 

父「さぁこれが未来の家だよ」

 

と言いながら倉庫のボタンを押すと大きな扉が開いた。

 

工場の中を見た太陽君の目ん玉は飛び出しそうになった。

 

太陽「父ちゃん、やべーよ、これやべーよ!まじでやべーよ!これ、落ちてきたの?ね、いつ落ちてきたの?」

 

父「太陽、落ち着け。落ちてきたんじゃないよ。これは父ちゃん達が作っている家だよ」

 

太陽「イエーーーーーーーーーーーー!????」

 

父「あぁ」

 

太陽「これがイエーーーーーーーーーーーーーーーーー?????」

 

父「あぁ未来の家だよ」

 

太陽「まじで父ちゃん?これ、どう見てもUFOじゃんかよ~」

 

太陽の前にはインターネットで見たことがあるピッカピカに光った銀色のUFOのような物体があったのです。

 

父「太陽、見てな」

 

そう言うと重光はスマホを取り出し、画面をクリックした。

 

太陽「なんだよ!父ちゃん!ちょっと父ちゃん!やっぱこれUFOじゃんかよ~!浮いてんじゃん」

 

そうです。家がほとんど音もたてずに浮いたのです。

 

父「そうなんだよ。未来の家は浮くんだよ」

 

太陽「なんで浮くの?浮く必要あるの?」

 

父「これでもう地震の心配がないんだよ」

 

太陽「そうか?」

 

父「父ちゃん達は家を浮かすことを考えたんだ。するとねUFOみたいだななんて思ってね。それで気づいたんだよ。今まで人間はUFOを未来の飛行機のようなものだと思っていただろ?でもね、そうじゃないあれは飛行機じゃなくて家だと思ったんだ」

 

太陽「UFOが家?」

 

父「そうなんだ。つまり未来は飛行機という概念がどんどんなくなって家ごと移動出来るようになるんだよ。これ見てごらん」

 

太陽「なに?」

 

太陽は重光のスマホを覗き込んだ。

 

父「例えばここに明日の朝の日の出の時間と富士山の頂上って入力するんだ。すると明日、目が覚めると家が富士山の頂上まで移動していて朝、最高の景色の場所で人は目を覚ますことが出来るんだよ」

 

太陽「父ちゃん、夢みたいな話だな」

 

父「今まで夢は夢で終わってたことがいっぱいあった。でも、人工知能のおかげで父ちゃん達が想像出来るものは本当に現実になるようになったんだよ」

 

太陽「凄い時代だね」

 

父「まさに思考は現実になる世界がきたんだ。だから、人間の役割は人に指示されて動く時代は終わる。それはロボットがやってくれる。一人一人が自分の意思で動き出す時代。これから大事なのは想像力なんだよ」

 

太陽「想像力?」

 

父「そうだ。どうすればみんな幸せになるか?という想像力だ」

 

太陽「うん」

 

父「太陽、これからは理想を想像してゆくんだよ。それは必ず形になるからな」

 

太陽「うん、理想を想像してゆくんだね」

 

太陽は「理想」って言葉になんだかワクワクした。