「3S」で赤字脱却 見学者が後を絶たない町工場 | 介護職員のお勉強ブログ♪

「3S」で赤字脱却 見学者が後を絶たない町工場




拡大写真
整理・整頓・清潔で生産革新を実現し、見学者が後を絶たない枚岡合金工具の工場=大阪市生野区(写真:産経新聞)
 整理、整頓、清潔を推進する「3S活動」。基本的な経営改善策だが、従業員に徹底するのは容易ではない。これを導入して赤字体質を脱却し、見学者が絶えない町工場として知られるのが、金型メーカーの枚岡合金工具だ。

 中小企業が集積する大阪市生野区。枚岡合金工具の事業所は一見、どこにでもある町工場だ。しかし、足を一歩踏み入れるとびっくりする。金型製作に使う工具や道具類は整理整頓され、床はピカピカ。いたるところで従業員から「こんにちは」と元気な声がかけられる。

 「3Sの目的は会社をきれいにするだけではない。最終的には人材育成だから」と古芝義福社長は説明する。

 3S導入に踏み切ったのは平成11年。当時社長だった古芝保治会長が、勉強会で京都にある工場を訪れたのがきっかけだ。3Sが徹底された工場で働く従業員の生き生きとした姿を見てカルチャーショックを受け、すぐに経営コンサルタントを紹介してもらった。

 3S導入を目指していた複数の企業と手を組んで研究会を立ち上げ、社内に導入した。しかし、本格的に進み始めたのは2年後のことだ。研修で同社を訪問した松下電器産業(現パナソニック)の管理職から、3S活動が称賛されたことで一気にモチベーションが高まった。

 口コミやマスコミで工場が紹介され始めると、活動に磨きがかかった。見学後に金型製作を注文する顧客もある。生産性、業績が向上し、赤字体質を脱却した。若い社員の定着率も高まり、社内に活気が生まれてきたという。

 現在までに訪れた見学者は約5400人。外国人の見学もある。製造業のライン担当者はもちろん、旅館、美容室、介護、遊技場のほか、教員も訪れる。

 当初、工場見学会は無料で実施した。しかし「真剣味がない人もいる。お金をいただき、しっかり勉強してもらおう」(古芝社長)と有料にしたが、見学者はいまも絶えない。今や見学会は「3Sによる生産革新コンサルティング」というビジネスに育っている。

 3S活動の中では、図面や文書のファイリングシステム「デジタルドルフィンズ」も独自に開発、導入した。現場に散在する図面や文書、帳票類を一元管理する仕組みで、ATM(現金自動預け入れ機)のように簡単に登録・検索できるのが特徴。工場見学者から「このシステムは売れるよ」といわれ、一般に販売を始めたところ売れ行きは上々という。

 現在の3S活動の完成度について、古芝社長は「45点」と手厳しい。「3Sにゴールはないし、学ぶことは多い」。3Sをてこにした枚岡合金工具の進化はまだまだ続きそうだ。

■会社概要

本社   大阪市生野区巽中2の7の22

     (電)06・6758・2001

資本金  1000万円

設立   昭和25年4月

事業内容 冷間鍛造部品用金型や冷間圧造工具の設計製造など



※この記事の著作権は、ヤフー株式会社または配信元に帰属します
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101106-00000587-san-bus_all