2009年10月05日

エコロジー・省エネルギー・そして空間の「マテリアリティ」

テーマ:デザインの輪郭

今、新しい実験住宅の建設を進めています。
次世代の省エネルギー基準に合致した高断熱住宅なのですが、単なる高断熱ではありません。

地下1階地上三階建てなのですが、地下1階と1階は、外断熱コンクリート造による高断熱とし、2階・3階は内断熱木造による高断熱仕様としています。

断熱性能を上げること自体は技術的にはそんなに難しいことではありません。ただ、単純に高断熱・高気密にしてしまうと、自然環境からは隔離された、箱に閉じこめられたような開放感のない空間になってしまいます。

したがって、日射や通風、それから蓄熱性や空気の循環を総合的に考慮しつつ、周辺環境との関係を積極的に取り入れた住宅のあり方を模索し、それを実現しようとしています。

設計の過程で、エコロジー住宅について考えを巡らせていく中で、「マテリアリティ」というコンセプトに行き着きました。

現代の建築は、工業生産品に囲まれています。それは、大量生産され、 品質も高く、均質な表面を持っています。その工業生産品としての均質さが、言ってみれば「人工的」な素材感となってしまうのですが、これ に囲まれた空間というのは、フラットで人間味が薄く、陰影にとぼしく、情感が乏しい実はとっても気持ち悪いものなのです。

触感的なアウラや空間的な奥行きが乏しく、そこで長い時間過ごすのがとても苦痛に感じます。代表的な例がマンションや建売住宅の空間かもしれません。

この実験的住宅では、そういった空間の奥行きを獲得しようと、「マテリアリティ」についても、いろいろと試行錯誤をしています。「鉄」という素材、「コンクリート」という素材、そして「木」。さらに「光」や「風」の質感を「空間のマテリアリティ」として取り込みたい、そんなことを考えながら、試行錯誤を続けています。

詳しくは、また続編でお知らせします。(田島則行)

2009年01月29日

三次元空間のを設計すること...:欠かせない模型での検討

テーマ:デザインの輪郭
tele-designのブログ

設計を進めるとき、模型を数多くつくる設計事務所とまったく作らないところとあるそうです。特に工務店や売り建て系の事務所であれば、模型を作るのはほぼ皆無のようですね。

一方、我々は設計を進めるときには模型を数多く作ります。それはプレゼンテーションと言うよりは、スタディ検討のための模型を作ります。

たとえば、住宅であれば基本設計時には100分の1の大きさの模型を作ります。この段階ではかなりラフな模型になります。ボリューム検討から始まって、徐々に建物の壁や輪郭や開口部がデザインされていきます。当然ながら、敷地周辺の建物のボリューム模型も作り、周囲の家との位置関係や日照や通風などの検討も行います。

実施設計の段階になると50分の1の模型を作り、間取りや階段や開口部や屋根などのデザインを行いながら、模型を作り上げていきます。途中で何度も部分的に作ったり壊したりしながら修正を加えていきますので、毎週のように変化していきます。

工事が始まりますと、30分の1の模型をつくったり、あるいはディテール検討用の部分模型を10分の1や5分の1で製作したりもします。特注で窓枠を製作する場合などは、窓枠の納まりを検討するための模型も製作したりするのです。

もちろん、プロジェクトによって作る数は変わってきますが、こういった模型を使って打合せをすることによって、クライアントも空間やデザインの様子が把握でき、図面だけではわからない立体的な工夫が一目で理解できるようです。

そういう我々も、図面だけでは見落としがちな部分が模型を使うからこそ、検討がスムースに行えます。

そもそも、我々の作り出す物は3次元あるいは時間軸をともなった四次元のデザインです。歩きながら感じるシークエンスや日照が1日を通して東から西へと動く中で感じる時間感覚を大切にする上で、こういった模型での検討は必要不可欠なものです。

困ったことと言えば、こんな感じで常に模型を作っていると、どんどん増えてしまい倉庫がいくらあっても足りない、ということぐらいでしょうか...。どの模型も愛着がありますが、時折、倉庫の大掃除で古い模型や痛んでいる模型を破棄しなければいけないのが、とっても残念です。

といいつつ、今日も新しい模型が続々と作られてきます...。(田島則行)


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2008年11月13日

デザインフィロソフィー:枠のディテールと空間と・・・。

テーマ:デザインの輪郭
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今日は、枠のディテールの話をしたいと思います。
「枠」にまつわるディテールは、建築の工法の中では重要な役割を果たします。違う素材と素材がぶつかるところとか、あるいは違う面と面がぶつかるところは「枠」が不可欠です。

天井と壁だったら回り縁という「枠」がきて、床と天井だったら、巾木という「枠」がきます。そして、窓と壁の間には、窓「枠」がきます。別々のモノを調和して旨く納めるために「枠」が大きな役割を果たすのです。

たとえば、素材が違えば温度差による伸縮が違います。ぴったりと納めてしまうと伸縮のズレによるヒビが生じてしまいます。

壁とか床とか窓サッシのように、面や取り付け位置が違えば工事する順序が違いますし、その違うパーツを支える下地が違います。床は土台や根太(ねだ)を下地としており、壁は間柱(まばしら)を下地にしています。そして別々に作っていったものの間には、必然的に隙間が生じてしまいます。その隙間を無理矢理なくしてしまうと、上述のようにヒビが入ってしまいますから、その隙間を埋める調整材として使われるのが、巾木だったり回り縁だったり窓枠だったりするわけです。

こういった理由で、通常のマンションや住宅は、あちらこちらが「枠」だらけの空間になってしまいます。

ところが空間ができあがってみると、この「枠」が大きな邪魔になります。

たとえば、窓の開口を大きくとって外にある自然風景と一体化したような空間を作ろうとした場合、窓は「窓」ではなく、大きな「開口部」として作りたいと思うのです。

つまり、窓を消してしまいたい・・・と。

そうすることによって、窓そのものの存在よりも、意識の中からは窓が消え去って、窓の外にある風景が主体となった空間感覚が現前したりするのです。

だから、「窓枠」が強すぎるのは問題です。

あるいは、壁を壁として美しく立ち上げたいときに、巾木や回り縁はディテールとしては必要であるけども、できるだけ慎ましく納まっていてほしいのです。

我々は、工法としては「枠」を尊重して設計しますが、意匠としては「枠」が負けるように努めています。

なぜなら空間性が勝って欲しいからです。「枠」が見えないデザインは結果に大きな違いをもたらします。(田島則行)

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