2010年08月23日

建築と緑化

テーマ:エコロジー TIPS
今回は、建築における緑の役割についてレポートしたいと思います。

日差しのコントロールには、落葉広葉樹が有効だとされています。落葉広葉樹は、夏は葉が茂り、日射を遮るスクリーンになり、逆に冬は葉を落とし、日差しを透過させ、建物を暖めてくれます。
ただ、こうした効果を効率よく得るためには、建物と樹木との距離を適切に取る必要があり、都心部ではなかなか実現が難しいといえます。

次に、屋上緑化ですが、最近では東京都を含めいくつかの府県では条例で一定規模以上の敷地における新築・増改築の建物に対して、その敷地内の緑化を義務づけており、これが事実上屋上緑化促進につながっていると言われています。

屋上緑化の効果としては、断熱効果における冷暖房の省エネやヒートアイランドの緩和があげられます。
屋上緑化をしている屋上と、何もしていない屋上では表面温度に大きな差が出ます。夏場の屋上は温度が60℃近くまで上がることもありますが、屋上緑化をすることで、30℃前後で安定するという結果もあるようです。 このことは、土壌の断熱効果や、土壌に含まれる水の蒸発により熱が奪われたり、植物の蒸散作用、 緑陰による効果が相乗的に働き、自然がもたらす外断熱が形成されるからです。

屋上緑化の種類ですが、維持メンテナンスの観点から管理型と低管理型に大別できます。管理型とは、定期的に灌水を行い、地被植物から高木まで様々な植物を育てることができます。対して低管理型とは、主にセダムなど比較的維持管理に手間が掛からない植物を育てる方式です。

1)管理型
管理型の場合、基本的には屋上に土壌を盛って緑化することになります。多様な樹種を緑化可能なため、「庭園型」とも呼ばれることがあります。
土壌については、自然土壌では荷重が重くなりすぎるため、火山灰土や人工軽量素材を主として軽量化を図ったものを用います。施工方法は、屋根の防水層の上に耐根シートを敷き、その上に貯水、排水層を設け、土壌を盛ります。耐根シートは、植栽の根によって建物の防水層が傷付くことを防ぐためのものです。また、貯水、排水層は、必要量の水だけをとどめ、雨水の集中的な排水を抑える効果を生み出します。
土壌の厚みは植栽によって適切に決める必要があります。高木(*3m程度まで)で400mm、中木(*1-3m程度まで)で300mm、低木(*0.9m以下)で200mm、その他の芝や地被植物で150mm程度の土壌の厚みが必要とされています。
屋上は地上に比べ、日当たりが良い上に、風が強くあたるため、乾燥しやすい環境にあります。また、屋上では、全積載荷重が構造強度の許容範囲でなければならないため、あまり大きくなる木は適さないと言われています。植栽の種類は、中高木であれば、モッコク、ハナミズキ、ゲッケイジュ、サザンカ、ヤマモモなど、低木で、ツツジ類、ジンチョウゲ、エニシダ、ユキヤナギなどが挙げられます。

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△東邦レオ「ビバソイルシステム」


2)低管理型

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△アーキヤマデ(株)「プリオグリーン」

低管理型は、近年急速に普及している方式で、「薄層緑化」とも呼ばれ、基本的に、管理型に対して、緑化のための基盤層が薄く、軽量であることが特徴です。
セダムなどの植生に利用される薄層基盤の場合、土壌の代わりにマット状に成形された製品が使われることもあります。マットの種類としては、 粉砕スギ材を加圧プレスしたマット、 芝・低木類を活着させた保水・排水マット、 もみ殻を板状成形し芝を活着させたマット、 軽石と炭をセメントで固めた基盤などがあります。
管理型の場合、夏期であれば、毎日灌水が必要となりますが、低管理型の場合は10日から2週間程度雨が降らない場合に灌水する程度でいいと言われています。また、植物生育状況、防水層の点検、ルーフドレインの点検清掃、病害虫の発生点検、灌水装置の点検などの定期メンテナンスについても管理型の場合は月に1回以上必要とされているのに対して、低管理型の場合は年間に3~4回程度とされています。

住宅においても夏場の日射対策において植栽のもつ役割は大きく、うまく計画することで、建物全体の熱負荷を低減できます。以前に書いた「パッシブソーターシステム」にも共通することですが、自然のエネルギーをうまく利用したり、制御したりすることは、今後の建築設計の重要なテーマとなっています。(スタッフ:山添)

2009年12月15日

電気自動車と建築

テーマ:エコロジー TIPS


tele-designのブログ-今年6月に発売された電気自動車iMiev

今年6月に発売された電気自動車iMiev


昨年の原油高の影響や地球環境の保護という観点から、電気自動車やハイブリッドカーといったエコカーへの注目が全世界的に集まっています。日本では現在のところプリウス、インサイトに代表されるハイブリッドカーが、電気自動車を一歩も二歩もリードしていますが、今年は三菱自動車、富士重工が電気自動車を発売するなど、いよいよ電気自動車の時代が始まりつつあります。

電気自動車は走行時にCO2を排出しないため、従来の自動車に比較すればエコロジーなツールであることは間違いありません。しかし忘れがちなことですが、そのエネルギーとなる電気は必ずしもエコなものではありません。日本の場合、発電電力量の凡そ6割は火力発電によるもので、火力発電は原子力や水力等の発電手段に比べると、CO2排出量が非常に大きい発電手段です。電気自動車単体で捉えれば確かに環境負荷は低いものでしょうが、全体的な視野で捉えると部分的なエコロジーでしかないと言えます。

今後、電気自動車が本格的に普及するためにはいくつかクリアしなければならない課題があり、特に技術的な中心となる充電池には製造コスト、容量などが改善すべき点として挙げられます。メーカーもニッケルやリチウムイオンなど各種充電池の開発に力を入れており、近い将来には大きな発展が期待されます。

充電池の発展は電気自動車だけでなく、エコロジー建築の分野でも大きな可能性を秘めています。

太陽光発電はエコロジー建築の代表的な技術で、補助金制度が復活したこともあり、最近では住宅への設置を検討する方も増えてきています。太陽光発電の問題は夜間や雨天時に発電ができないことであり、その間は別の手段で電力を供給しなければなりません。

しかし充電池が太陽発電に組み込めるようになると話は変わります。使用量以上の余剰電力を充電池へ充電し、夜間・雨天時の電源とすることができますし、さらに充電池から電気自動車へ充電することが出来れば、まさしく自宅がクリーンな発電所であるのと同じ事になります。充電池という技術をコアに太陽光発電と電気自動車を組み合わせることで、CO2を殆ど排出しないエコロジーな環境が実現できるわけです。

新しい時代の乗り物として注目される電気自動車とその背景で進む技術革新ですが、中でも充電池に関するニュースには今後も目が離せません。



tele-designのブログ-電気自動車用のリチウムイオンバッテリー
電気自動車用のリチウムイオンバッテリー 






2009年09月10日

燃料電池

テーマ:エコロジー TIPS
tele-designのブログ-エネオス社製 エネオスエネファーム
エネオス社製 エネオスエネファーム
spacertele-designのブログ-燃料電池システム図
spacer燃料電池システム図
spacer(エネオス社製 エネオスエネファーム)




今回は、最近住宅用の発電装置・熱源として急速に注目を集めつつある、「燃料電池」についてリポートします。

住宅用の発電装置・熱源としては、太陽光のエネルギーを電気に変換する太陽光発電や、大気中の熱を利用してお湯を沸かすエコキュート等が既にかなり定着しつつありますが、今回リポートする「燃料電池」はどういうものかというと、都市ガス等から水素を取り出して空気中の酸素と化学反応させて発電し、さらにその時の排熱を利用してお湯を沸かすというシステムです。

この燃料電池を利用することにより、家庭で消費する電力の4割~6割を賄えるといわれ、ガスの場合専用料金が設定されているため、年間の光熱費も5~6万安くなるという試算があります。

又このシステムは、化学反応の過程で二酸化炭素が発生しないことと、都市ガス等をその場で電気に変える燃料電池は、発電所から供給先までの距離で失われるエネルギーロスが大きい電気に比べ、エネルギー効率が非常に高いことを各製造メーカーはメリットとして挙げています。

イニシャルコストとしては、大手ガス会社を中心に、現在はシステム価格で320~350万円弱の間で発売(または発売予定)されており、国の補助金が、09年度は140万円を上限として、機器価格から従来型給湯器の基準価格(30万円想定)を引いた金額と、設置工事費の合計に1/2を掛けた金額が補助されます。
仮にこの補助金の上限140万円を見込んでも、イニシャルで180~210万円+設置費用がかかることとなり、現在では想定耐用年数7~8年で設置コストを回収するのは難しい状況で、太陽光発電と比べても非常に高額な買い物といえます。

しかし東京ガスでは、8年後に機器価格を100万円以下に引き下げる計画をしているようですので、これは他のシステムにもいえることですが、価格の動向によっては、急速に普及する可能性があり、これから先の動きには目が離せません。

それにしても、住宅におけるエネルギー環境に対する技術の革新は日進月歩です。
少し前まで、私の認識として住宅のエネルギー消費を減らすということは、住宅にかかる環境負荷を最小限に抑えること(高気密、高断熱等)とイコールでした。

しかしここにきて、供給される電気、ガスを消費する一方だった住宅が、エネルギーを生み出し、蓄え、供給側に売ることも可能になってきています。

都市インフラにどの程度たより、どの部分を独立したエネルギー供給システムとするか。地球環境の視点、コストの視点、災害時の危機管理の視点などから、各々が考え、自分の家のエネルギー環境をつくっていくという状況が、近い将来のものになりつつあります。(スタッフ:神津)








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