2010年02月24日

見た目だけでは分からない:フローリングのイロハ

テーマ:建築工事のイロハ
tele-designのブログ

住宅用の床仕上げ材でもっともメジャーなのがフローリングです。一口にフローリングと言っても実際にはその構造や用途に応じて色んな種類があります。今回は表面を見ただけでは分からないフローリングの違いについてのお話です。

仕上材の樹種、表面の貼りパターンの違いは別とすると、フローリングの違いはその断面に現れます。

最もシンプルなのが無垢材のフローリングで、一本の木を加工して作られるもので、厚みは12mmから30mm程度が一般的です。比較的高価とされていますが、近年は輸入のパイン材やスギ材などを使った安価なものも出回っています。

無垢材のフローリングを使う場合に問題となるのが、木の乾燥による収縮や反りです。もちろん製作側でも乾燥処理を行っているのですが、実際に施工してから1年から数年すると隙間が空いてきたり、端部が反ってくることがあります。経験的には特に安価なものの場合にはそうした危険性が高いと思います。また同じ理由で床暖房に使用可能な製品は殆どありません。



$tele-designのブログ-無垢材のフローリング
無垢材のフローリング

しかし無垢材の良いところは、そのメンテナンス性にあります。使用してくると清掃では落とせない汚れや傷、凹みなどが付きますが、無垢材であれば表面を削ってメンテナンスすることが出来ます。従って何年間も同じフローリングを使うことが可能になり、長い目で見れば経済的になります。店舗等の土足で使用するフローリングで使われることが多いのもこのメンテナンス性の高さによるものです。


無垢フローリングの問題点を改善したものが、仕上げ材と基材を分けたもので、複合フローリングと呼ばれます。表面の仕上げ材には仕上用の樹種を用いますが、裏の部分は合板等の安価なものを用いることでコストダウンをし、同時に木目を層ごとに直交させることで、木の収縮乾燥による変形を抑えた製品です。

多くの製品は床暖房にも使うことができますし、安価で性能にも問題がないことから現在最も市場に出ているのがこの複合フローリングで、殆どのハウスメーカー、マンション等で利用されています。



$tele-designのブログ-仕上材の薄い複合フローリング
仕上材の薄い複合フローリング:赤点線が仕上材の厚み


この複合フローリングも表面の仕上げ材の厚みにより、そのメンテナンス性が変わってきます。薄いものでは表面材が0.3mmのものまでありますが、1mm~2mm程度の製品の場合は傷等で裏の合板が出てきてしまいますが、当然表面を削ってメンテナンスすることは出来ません。そのため補修には貼り直しする他ありません。

お薦めなのが表面材の厚さが3~4mm以上の仕上げ材の厚い複合フローリングです。無垢フローリングのように表面を削るメンテナンスが可能で、かつ変形も少なく床暖房にも使用可能です。少々表面材の薄い複合フローリングよりは高価にはなりますが、多少の無茶をしても大丈夫というのはお子さんがいる家庭などでは大きいのではないでしょうか。



$tele-designのブログ-仕上材の厚いタイプの複合フローリング
仕上材の厚いタイプの複合フローリング


その他、防音性を高めるために裏にクッション材を付けた防音フローリングや、断熱材を付けた断熱フローリングなどの機能性フローリングもあり、仕上の樹種まで考えると膨大な種類のフローリングが存在します。

これからマンションや住宅の購入、或いは住宅の新築、改修などを考えている方は、フローリングの表面だけでなく断面もチェックしてみてください。
フローリングの性能は断面に現れますから。(スタッフ:伊澤)



2009年06月09日

適材適所の金属工事

テーマ:建築工事のイロハ
tele-designのブログ
アルミの特性を活かしたルーバー

建築工事で使用する主な金属としては、アルミ、鉄、ステンレスの3種類が挙げられます。
その他にも銅や黄銅、チタンなども場合によっては使用しますが、一般の住宅においては上記の3種類以外の金属はそれほど使いません。今回はこの3種類の金属の特性と用途についてレポートしたいと思います。
鉄は、これら3つの金属のうちで最も安価な素材で、比較的加工がしやすい材料です。建築図の中ではStと表記します。建築分野での使用量も多く、建物の主構造として柱や梁に使われたり、階段や手摺といった強度を必要とされる部材として幅広く使われています。弱点としては錆びと熱伝導率が挙げられます。鉄は水分中に含まれる酸素に反応し容易に錆びてしまうため、外部に使用する際には錆止めが欠かせません。また熱伝導率も高いので、外気に近い部分では結露の原因になりやすく、その点にも注意が必要です。しかしこの点に注意を払えば、安価で強度的にも優れた素材ですから、色んなところで使用することが可能な汎用的な金属だと言えるでしょう。

鉄の弱点である錆びをなくした素材が、鉄とニッケル(Ni)、クロム(Cr)の合金であるステンレスです。建築の図面中ではSUSと表記します。非常に優れた防錆性を持っているため、建築工事では水のかかる場所に多く使われます。キッチンカウンターやシンク、浴室回りなどの他に、外部サッシとしても多く利用されています。強度的には鉄と同程度の性能をもっており、生地で使った場合には殆どメンテナンスの必要がない利点ばかりの素材なのですが、高価な素材であるため、メンテナンス性などコストバランスを考慮して使う必要があります。またステンレスは成分比率の違いからいくつかの種類に分かれます。単にステンレスと言った場合にはSUS304を指すことが多いのですが、このSUS304は磁性がないため、磁石がつきません。磁性のあるステンレスはSUS403になりますので、この点には注意が必要です。

アルミは鉄、ステンレスと比べると軽量であり、また空気中では表面に酸化被膜を作るため、錆びにくいことが特徴として挙げられます。軟らかく、融点が低いことから非常に加工性が高い素材であり、こうした利点を生かし、建築では主にサッシや外装材などの材料として使われています。また加工後の形状によっては大きな強度が得られるため、最近ではアルミを柱梁の材料とした建築も登場しています。またリサイクルしやすい素材であるため、リサイクル率が高く、トータルで見たときの環境負荷が低いことから注目を集めている素材でもあります。ただし、他の電位が高い金属と隣り合わせになると、電食によって錆びることもありますので注意が必要です。

c-MA3のルーバーはこの軟らかいアルミの特性を活かし、3次元方向に曲げを加えた複雑な形状になっています。また軽量であるためにルーバーを支える部材が最小限で済み、なおかつ外部でも錆びないためメンテナンス性も高くすることができました。

その場所、使用箇所に合わせて使用する材料を決めることで、長く使えて経済的な建物を作ることが可能になります。適した材料を選択するために、様々な素材の特性を理解しておくことも設計者の大切な業務の1つです。


tele-designのブログtele-designのブログ
シンプルな鉄製の階段シンク一体型のSUS製キッチンテーブル
2009年05月26日

上棟式

テーマ:建築工事のイロハ
tele-designのブログspacertele-designのブログ
現在千葉で進めている新築住宅のプロジェクトにおいて、晴天に恵まれた気持ちのいいある五月の日曜日に、上棟式が執り行われました。
上棟式とは、建物の構造である柱・梁・棟が組み上がった段階で、お施主さんが、大工の棟梁をはじめとする現場の方々に感謝して開く、お祝いの儀式です。
最近では、特に都市部において上棟式が行われることは非常に少なくなってきていますが、地方などの場所によっては、近所の人を集めて宴会を開いたり、屋上から餅を撒いたりする等、盛大に行われることもあります。

今回は、家の玄関を入ったところの、階段室にあたる吹き抜け空間を利用し、そこに紅白幕が掛けられ、祭壇に酒、米、塩などの供物が供えられて式の準備が整えられました。
長方形の空間の突き当たりに設けられた祭壇と、2層吹き抜けの柱の間から陽の光りが入ってくる様は、ちょっとした教会のような空間の体裁となり、そこに集まった施主、設計者、工務店、工事に関わっている多くの関係者が、まさにこれからつくり上げられる家の、立ち上がったばかりの空間の中で、よろこびを共有しながら上棟を祝います。

式は、まず一同頭を下げてお祓いがされた後、神主さん(今回は工務店で一番ご年配の方が務められました)による祝詞奏上があり、一人づつ祭壇に向かって2礼2拍1礼する玉串奉天、建物の四隅に1箇所づつ米、塩、酒をまいていく四方払いが行われました。

続いてお施主さんから、棟梁をはじめとする関係者全員に、ここまで工事が進んだことへの感謝と労いのスピーチがあり、設計事務所代表、工務店代表の挨拶があった後、ジュースによる乾杯です。

つい数日前までは、基礎以外になにもなかった敷地に、突如として立ち上がった家のかたちを目の前にする上棟という瞬間は、設計に携わっている側からしても非常に興奮する瞬間ですし、特にお施主さんにとっては、今まで図面でしか想像できていなかった空間を、はじめて実際に確認できることとなり、その驚きや感動、喜びはひとしおです。

関係者一同の表情も皆晴れやかで、どちらかというと厳かな感じのする地鎮祭と比べると、談笑の絶えない非常に楽しいお祝いとなりました。

家をつくるはじまりから終わりまで、特定の大工の集団がつくりあげていた昔とは異なり、工事の種別ごとに専門の業者が入れ替わりで入っていくかたちに変わったことで、施主とつくる側の関係が希薄になったことが、上棟式を行うことが少なくなった理由の一つに挙げられるかもしれません。

しかし、今回のように、工事中のある時点で施主はその労をねぎらって感謝を表し、つくる側も実際に施主と会ってその人柄を知り、感謝されることで、その家に対する思い入れを深くすることができる上棟式という儀式は、非常に意味のあるものだと感じました。(スタッフ:神津)

Amebaおすすめキーワード

    アメーバに会員登録して、ブログをつくろう! powered by Ameba (アメーバ)|ブログを中心とした登録無料サイト