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2010年12月05日

夢の実現、大階段のある屋上テラス。

テーマ:ケーススタディ
7年前に完成したIさんのお宅をケーススタディとしてご紹介します。

テレデザインのホームページではC2Houseと紹介させていただいています。

Iさんとの出会いを思い出してみれば、最初に購入する土地をまずは一緒に見に行きました。南側、西側、北側に建物が隣接しており、東にはマンションが建っていました。パッと見の印象は、ここに日当りの良い家は建つようには思えません。Iさんもとても不安な様子でした。また、行き止まり道路の突き当たりにあり、接道長さが短いために、駐車スペースも難しそうです。

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そこで土地の様子をじっくりと観察します。東側には段差があり、隣地が3~4メートル低くなっています。また、擁壁もこちら側の敷地であるために、このスペースは日照や通風のために確保できそうです。

さらに、周辺の高低差やリッチ、地形なども勘案します。そして北側斜線も。すべて頭の中で三次元立体を組み上げます。

ふむ。三階建てにして東側と天空からの光をうまく取り入れれば、日照条件はうまく工夫ができそうです。それよりも駐車スペースのとりかたが、接道部分の短さから限定されてしまうので、1階はボリュームを南側に寄せる必要がありますが、2階はできるだけ広くとる必要があります。したがって、駐車スペースへオーバーハングする必要がありそうです。そして三階部分は北側の斜線がかかってくるので、南側に寄せる必要があります。

現地での印象を頭の中でまとめあげ、Iさんに、率直にその問題点や解決方法の可能性をお伝えしました。

その後、正式に設計が始まり、Iさんの一番大きな要望が「屋上テラス」であることが判明します。その時点では、その他の要望もすべて組み合わせた時に、予算に収まるかがまだ見えていません。しかし、できるだけ多くの要望を満たしたいと思っていますので、屋上テラスも含めて様々な検討をします。

1階に持ってくるスペース、2階にキッチンや階段を持ってくる位置、何度も何度もスタディ検討しました。

ある程度設計が進んだところで、再検討すると、すべての要望を満たすには予算的にかなりタイトであることと、屋上に上がるための階段を設けてしまうと、三階の部屋が要望どおりに確保できないことがわかってきました。そこで、Iさんとも相談し、屋上テラスは一旦あきらめるということになりました。

ところがIさんは深く悩んだようで、その次の打合せの時に「やっぱり屋上テラスはあきらめきれません!」と率直に打ち明けてくださいました。

「それなら、こちらももう一回、検討し直します!」と屋上テラスを設けるための問題点を再検討することにしました。

ポイントは屋上に上がる動線スペースをどのように確保するかと、階段をつくるための余分なコストをどう抑えるか・・・にかかってきます。プランを何回もスケッチしなおし、ボリューム模型を創り直しては再検討し、なんとか階段スペースがうまく収まる方法を探ります。

そんな検討の真っ最中に、転機が訪れます。リビングの上に設けていた吹き抜け空間の位置を、若干ずらしてテラス状にすれば、階段をあらためて設けなくても、三階から屋上への動線を確保できそうなことが、見えてきました。

しかも、その吹き抜けをずらすことで生まれたテラス部分が、三階建てには法的に義務づけられている代替非常用進入口へのアクセスにもなるために、一石二鳥どころか、一石三鳥にもなる大転換のアイディアです。

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これでコストとスペースの問題が解決できる!

つまり、北側斜線にそった屋根に階段を設けて屋上に上がるという動線が、あたかも最初からそうであったかのように、デザインとしてまとまったのです。1階や2階のプランを何度見直しても、どこも破綻していません。構造的にも、しっかりとした対策がとれるようになっていました。

この段階にきて、プランも固まり、そこからは怒濤の勢いで実施設計をまとめていきました。

もちろん、テラスの素材にもこだわりました。イペ材というブラジルの素材です。これはアイアンウッドと呼ばれていて、60年以上は保つと言われています。とても上部な木材で、固くて釘も通らないと言われているそうです。

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7年後の今も、イペ材の色も美しくグレーに脱色していますが、とてもしっかりとしています。ウッドデッキのいたるところに植栽が立ち並び、とても生き生きとしています。

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また、室内から窓の外は、どちらを向いても、緑!緑!緑!竣工した当時は小さかった木々が、大きく育っていました。

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2010年11月04日

住宅は誰に頼むべきなのか? -建築家住宅とハウスメーカーや建売住宅との違い

テーマ:住宅建築
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誰もが若いときには賃貸住宅に住んでいますが、早い人で20代後半、遅い人でも40代になると、賃貸に住み続けることに疑問を抱き、住宅の購入を考え始めます。その時に問題になるのが、いったい、どこで住宅を購入すべきか、あるいは誰に頼むべきか。。になります。

世の中の大多数は完成住宅が多く、分譲マンションや建売住宅など、すでに完成したものや、これから完成する建物を購入することになります。あるいは、ハウスメーカーなどに土地とセットで契約するケースもあるでしょう。

問題になるのは、情報の非対称性です。業界の仕組みがとても複雑で、それぞれの人たちが自分のやり方が一番良いと営業するために、一般の人たちにとってみれば、どこの誰に頼めば良いのか、とてもわかりにくいのです。

しかも、雑誌メディアに載っている住宅は、建築家の設計したものがとても多く取り上げられています。住宅に興味のある人、自分の好きな住まいを探している人にとっては、様々なデザインの住宅を見ることで夢が膨らみますが、雑誌メディアに載っているような空間をハウスメーカーや建売住宅に期待してみても、とても苦労をすることになります。

建売住宅やハウスメーカーの作っている住宅は、たとえばファッションに置き換えてみれば、既製品の住宅です。すでにお店にあるセレクションの中から選ぶ必要があります。一方、建築家の住宅は、オーダーメードの住宅です。お店には材料のサンプルはありますが、モデルハウスはありません。

たとえばハウスメーカーの場合、100戸とか1000戸とか、とても大きな数の単位で部材の大量生産を行い、コストダウンを測る一方で、モデルハウスや広告宣伝費、営業費用などを確保しています。住宅のデザインのバリエーションは各社違いますが、素材の選択肢や間取りの組み合わせの選択肢を狭めることで、その大量生産の仕組みが成立しています。つまり、細かい要望への対応度はそれほど高くなく、あくまでも、彼らのセレクションの中から選ぶ必要があります。

建て売り住宅については、10戸~数十戸単位での工事をまとめて行うことによって、コストダウンを図ります。材料もやはり一括仕入れを行い、短い工期で手早く建設して販売することによって成立しているビジネスモデルです。個別要望にはできるだけ応じないことが、そのまま彼らの利益率に繋がります。

さて、やっかいなことは、ハウスメーカーも建売住宅も、営業担当者は、できるだけどんな要望にもできるだけ答えるような、笑顔の対応をしてくれるのですが、実際には仕組み上、限界がありますので対応しきれなくなってしまったりします。これでは、不満がたまってしまいますね。

一方、建築家住宅ですが、メリットは、やはり設計の自由度。既製品ではないので、ゼロから設計を始めます。構造の方法、素材の使い方、空間の面白さや開口部の工夫など、様々な要素を取り込んで、理想の住空間をくみ上げていきます。また、都心などの周辺環境が密集しているところでは、対応力も高く、条件がわるくても、明るくて住みやすい家を設計することが可能です。

建築家住宅のデメリットは、設計をスタートする時点ではコストが見えにくいことでしょうか。たとえば完成品の分譲マンションであれば。最初に値段が確定していますし、ハウスメーカーや建売住宅も、基本的にはすぐに見積もりを確定できるような仕組みにしています。それはやはり、使う材料や部材が決まっているからできる方法です。ところが、建築家住宅は、オーダーメードの住宅ですから、設計内容によっても、設備のグレードによっても、建設費は変わってきます。したがって、基本設計や実施設計を行って、図面が出来上がって初めて、正確な見積もりが可能となり、最終的な建設費が確定します。完成分譲住宅やハウスメーカーのやり方が一般化している今の時代にあって、多くの人たちが不安に思うのは、この点であると思います。

若い建築家であれば、コスト調整の経験も少なく、大きな予算オーバーとなってしまうなどの事例を耳にすることがあります。しかし、経験豊かな建築家であれば、それぞれ独自のコスト調整ノウハウを蓄積していますから、予算をオーバーしてしまうことはありません。その辺の見極めはとても重要です。

ご理解いただきたいと思うのは、オーダーメードのスーツがそうであるように、まずは、予算を決めて、その予算の中でのベストパフォーマンスをめざすことが、建築家住宅の進め方です。様々な要望を考慮しつつ、コストの優先順位を決めて、一緒に相談しながら進めて行きます。もちろん、建設費はあくまでも要望と予算とのバランスですから、すべての要望を満たせないこともあります。つまり、各部材や設備のコストを見極めつつ最良の選択肢を決めて行くのが設計の進め方になります。

家づくりはとても楽しいプロセスだと思います。我々で今まで設計した住宅でも、みなさん、そのプロセスをとても楽しんでくださいました。要望が形になり、図面になり、そして、工事が始まり、実現する。住宅の建設は一生に一度の大プロジェクトですから、理想の住まいを探すためには、ぜひ、自分にあった方法を選んで、後悔のないようにしてもらえればと、思います。
2010年08月23日

建築と緑化

テーマ:エコロジー TIPS
今回は、建築における緑の役割についてレポートしたいと思います。

日差しのコントロールには、落葉広葉樹が有効だとされています。落葉広葉樹は、夏は葉が茂り、日射を遮るスクリーンになり、逆に冬は葉を落とし、日差しを透過させ、建物を暖めてくれます。
ただ、こうした効果を効率よく得るためには、建物と樹木との距離を適切に取る必要があり、都心部ではなかなか実現が難しいといえます。

次に、屋上緑化ですが、最近では東京都を含めいくつかの府県では条例で一定規模以上の敷地における新築・増改築の建物に対して、その敷地内の緑化を義務づけており、これが事実上屋上緑化促進につながっていると言われています。

屋上緑化の効果としては、断熱効果における冷暖房の省エネやヒートアイランドの緩和があげられます。
屋上緑化をしている屋上と、何もしていない屋上では表面温度に大きな差が出ます。夏場の屋上は温度が60℃近くまで上がることもありますが、屋上緑化をすることで、30℃前後で安定するという結果もあるようです。 このことは、土壌の断熱効果や、土壌に含まれる水の蒸発により熱が奪われたり、植物の蒸散作用、 緑陰による効果が相乗的に働き、自然がもたらす外断熱が形成されるからです。

屋上緑化の種類ですが、維持メンテナンスの観点から管理型と低管理型に大別できます。管理型とは、定期的に灌水を行い、地被植物から高木まで様々な植物を育てることができます。対して低管理型とは、主にセダムなど比較的維持管理に手間が掛からない植物を育てる方式です。

1)管理型
管理型の場合、基本的には屋上に土壌を盛って緑化することになります。多様な樹種を緑化可能なため、「庭園型」とも呼ばれることがあります。
土壌については、自然土壌では荷重が重くなりすぎるため、火山灰土や人工軽量素材を主として軽量化を図ったものを用います。施工方法は、屋根の防水層の上に耐根シートを敷き、その上に貯水、排水層を設け、土壌を盛ります。耐根シートは、植栽の根によって建物の防水層が傷付くことを防ぐためのものです。また、貯水、排水層は、必要量の水だけをとどめ、雨水の集中的な排水を抑える効果を生み出します。
土壌の厚みは植栽によって適切に決める必要があります。高木(*3m程度まで)で400mm、中木(*1-3m程度まで)で300mm、低木(*0.9m以下)で200mm、その他の芝や地被植物で150mm程度の土壌の厚みが必要とされています。
屋上は地上に比べ、日当たりが良い上に、風が強くあたるため、乾燥しやすい環境にあります。また、屋上では、全積載荷重が構造強度の許容範囲でなければならないため、あまり大きくなる木は適さないと言われています。植栽の種類は、中高木であれば、モッコク、ハナミズキ、ゲッケイジュ、サザンカ、ヤマモモなど、低木で、ツツジ類、ジンチョウゲ、エニシダ、ユキヤナギなどが挙げられます。

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△東邦レオ「ビバソイルシステム」


2)低管理型

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△アーキヤマデ(株)「プリオグリーン」

低管理型は、近年急速に普及している方式で、「薄層緑化」とも呼ばれ、基本的に、管理型に対して、緑化のための基盤層が薄く、軽量であることが特徴です。
セダムなどの植生に利用される薄層基盤の場合、土壌の代わりにマット状に成形された製品が使われることもあります。マットの種類としては、 粉砕スギ材を加圧プレスしたマット、 芝・低木類を活着させた保水・排水マット、 もみ殻を板状成形し芝を活着させたマット、 軽石と炭をセメントで固めた基盤などがあります。
管理型の場合、夏期であれば、毎日灌水が必要となりますが、低管理型の場合は10日から2週間程度雨が降らない場合に灌水する程度でいいと言われています。また、植物生育状況、防水層の点検、ルーフドレインの点検清掃、病害虫の発生点検、灌水装置の点検などの定期メンテナンスについても管理型の場合は月に1回以上必要とされているのに対して、低管理型の場合は年間に3~4回程度とされています。

住宅においても夏場の日射対策において植栽のもつ役割は大きく、うまく計画することで、建物全体の熱負荷を低減できます。以前に書いた「パッシブソーターシステム」にも共通することですが、自然のエネルギーをうまく利用したり、制御したりすることは、今後の建築設計の重要なテーマとなっています。(スタッフ:山添)

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