英国のEU離脱を支持するのはどんな層? | 鉄火のマキ@London イギリス教育事情一番乗り

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 今後のイギリスと欧州の未来に決定的な影響を及ぼすイギリスのEUからの離脱を問う国民投票がまもなく行われます。世論調査の動向が注目される中、投票日が迫るにつれ離脱支持が残留派をコンスタントに上回るようになりました。ブリテンとエグジットを合わせた造語のブレクジットへの流れに対し、国際社会からは不安と警戒感の声しか聞かれないのに、なぜorどんなタイプのイギリス人が離脱側を引っ張っているのでしょうか?


1.中高齢者&ノスタルジックな愛国者

 まず最初に考えられるのが古き良きイギリスにノスタルジアを感じている中~高齢者層です。今回の選挙は欧州の中での問題なのに、戦後英領植民地から入ってきた有色人種たちの増加に伴って自分達の固有の文化や価値観がじわじわ侵されてきたことによる鬱屈した感情に独立派のナイジェル・フェラージやボリス・ジョンソンが上手くついたディベートをやって支持を得ていることです。イギリスは大きな代償を払って戦争に勝ったのに国力は没落の一方だというのを自分達の責任ではなく他者に負わせたいように見えます。


2.田舎モノ&ロースキル労働者

 誤解を恐れずに言うと、都市部にいる低スキルの外国人労働者はイギリス人がやりたがらない3Kの仕事に就き社会的に容認されてますが、田舎だと外国人は目立つし低辺のイギリス人と移民系が仕事を奪い合うので差別や偏見意識が生まれやすいです。私が住むロンドンは周囲を見渡してもEU残留すべきというのが当たり前の空気なのでそれぞれ事情の異なる地方の感覚を理解するのは難しいところでもあります。


トランプ&ボリスのストリート・アートで若者に投票をよびかける


3.ナイーヴな若者?

 2年前に行われたスコットランド独立を問う国民投票で美しい理想を掲げて独立機運で盛り上がったのは若者達でした。現実を見つめて厳しい選択をするより、時流に乗ったファシリテーターのカッコよさに引っ張られるというのはあまり今回のEU選挙では見られません。若者は投票率がそもそも低く、前ロンドン市長のボリスは人気があるもののこの層を切崩すところまでいくかは微妙です。ナショナルフロント的な極右もマイノリティーでノンポリな若者をひきつけられずにいます。


4.先住移民

 もちろんイギリスに住んでいる欧州系移民はEU残留を望んでいます。ですが彼らより先に戦後すぐ入ってきた黒人やインド系移民層にブレクジット支持がじわじわ増えているというのです。なぜなら彼らはそもそも欧州文化に親しみを感じていないし、低賃金の仕事を東欧移民に奪われる不安をかかえているからです。それに何より東欧人は「白人」なので自分達みたいに人種差別で苦労しない事に嫉妬しているのだそうですよ。


5.ユダヤ人

 こちらは複雑で重い事情をかかえていらっしゃいます。こちらの記事をどうぞ。→テロを恐れた欧州ユダヤ人、EU離脱を求める勢力に

   →勢いを増す英国EU離脱派と、資本を引き上げはじめた日本企業