アメリカ人は歯が命。というのは日本人にとってかなり有名なことである。
一枚歯のようにきれいに並んだ白い歯。それが目の大きさや肌の美しさよりも重視される。そのため子供時代に矯正をしているのがあたりまえ。歯並びが悪いと、家柄をうたがわれる、出世に響くなどなど。
どこまで本当なのかはわからないが、私はアメリカは二度行った事があるだけなので、結局のところそういった伝聞を信じるしかない。「アメリカ人の歯並びの悪い人に対する偏見は相当なもの。そんな国(アメリカ)に生まれなくて良かった」と矯正前の私は思っていた。
同僚のジョー(仮名)は身長が195センチもあるドイツ系のアメリカ人だ。当然のようにずらりとキレイに並んでいる歯並び。ニカっとしたあの独特のアメリカ人的笑顔にはきれいな歯が光る。さすがだ。やはりアメリカ人だ。
矯正一年過ぎたもののまだまだ汚い私の歯並びを彼はどう思っているのだろう。「ねえねえ、アメリカでは矯正が普通なんでしょ?大人の矯正ってどう思う?」と何気なく聞いてみたい気もするが、今のところまだそこまでは親しくない。
先日、ジョーが私のデスクにやってきて、隣に座り、ある仕事の内容を説明しはじめた。かなりの至近距離で彼の口元を見ていて初めて気がついたのだが、ジョーの下の歯並びがガタガタなのだ。
アメリカ人なのに??アメリカ人なのに!!人目につく上が完璧なほどきれいだから、下の歯並びはどうでもいいのか。過去矯正をやったのに、下の歯だけ乱れてしまったとか?いろいろ考えて見るがわからない。しかもジョーはインテリ階級出身である。アメリカ人でも貧乏だと歯列矯正しないというのもあてはまらない。もしやもう長らく日本に住んでいるから歯に対する意識がさがったのか?
さて、ジョーの妻は日本人である。関連会社(同じビル内)にいるそうだが、まだ奥さまにはお会いしたことがない。彼女のもし歯並びが乱れていたら、私が思っているほどアメリカ人は歯並びに神経質ではないのかもしれん。というか、これってジョーに限って、なんだろうか。