日本昔話「鶴の恩返し」の話は日本の各地に同じような民話が

残っているようです。 どれも最後は傷心の鶴が夕焼けの空に消えて

行く話になっています。 

 

 昔、佐渡の民話をもとに書かれた「夕鶴」という作品が大ヒットした

とのことですが、不勉強で読んだことがありません。 海外でも人気を

博したそうですね。

 

 日本昔話というのは幼児向けと相場は決まっていますが、それなら

どんな教訓が含まれているのか。 単なる物語としたら、幼児の心に

何を残すか考えてみるべきと思いました。

 

 罠にかかって動けない鶴を見つけた若者は罠を外してあげた。

鶴は若者に恩返しをしたいと思った。 神様に相談したら、人間の娘の

姿になり、「千羽鶴の織物」を織り、それを若者にプレゼントしなさいと

教えられた。 若者は自分にはいらないものだから、町の織物問屋に

見せたら、ひと財産出来る値段で買い取ってくれた。 若者は娘と

所帯を持ち、大きな屋敷や農場や牧場を持った。 そのため、現金が

底をつき、娘にもう一度織物を織ってくれと頼みます。 娘は神様から

鶴に戻って織っている姿を人間に見られたら、二度と娘に戻れないと

云われていたので、若者にその通り言い渡します。 しかし、見るなと

云われたら見たくなるのが人情ですよね。 そして、鶴は娘の姿に

戻れず、泣く泣く何処かへ飛んで行きます。

 

 教訓は人間に「お金が入って来たからと言って、湯水のように

使ってはいけない」「大切な人の気持ちを傷つけてはいけない」

ということでしょうか。

 

 しかし、一度のミスで取り返しの付かない事態になったのでは、

子供の心に傷が残りはしませんか。 そこで、結末は次のように

変えましょう。 

 

 鶴が泣いているのを見た神様は可哀そうに思い、今度は牧場に

牛、馬、羊、鶏、犬を放し、畑には青々とした米、麦、野菜を生えさせ

山にはみかん、りんご、葡萄などを生えさせ、娘には双子の赤ちゃん

を抱かせて若者のもとに返してやりましたとさ。 めでたしめでたし。