人生竪堀

TEAMナワバリングの不活発日誌

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◎北条ですが、なにか……その3(全6回)

 僕は、歴史には二つの方向があってよいと思っている。一つは、真理を探究し、その成果を啓蒙普及や学習活動を通じて皆で共有してゆくような歴史。平たく言えば「お勉強としての歴史」だ。もう一つは、大衆が娯楽や教養として消費してゆく歴史だ。平たく言うなら「忠臣蔵」や「水戸黄門」のたぐいで、『戦国鍋TV』や『信長の野望』『刀剣乱舞』などもこちらの側だ。

 僕は、「大衆の娯楽・教養として歴史」が忌むべき低俗なものだとは思わない。なぜなら、僕自身がマンガやテレビ、ゲームやアイドル歌謡などなどの大衆文化を消費しながら育ってきたからだ。現に今だって、その真っ只中で暮らしているではないか。もし僕が、「尊敬する人物は誰ですか?」と問われたら「高橋みなみ」と本気で即答するし、「忠臣蔵」と紅白がない師走なんて、ありえない。大衆文化なしで、僕らは生きてゆけないのだ。
 「大衆の教養・娯楽として歴史」も、昔から脈々と受けつがれてきた大切な文化だと思う。『真田丸』の仕事を引き受けたのも、そうした考えがあってこそのことだ。僕が最近、しばしば磯部深雪さんとお仕事をごいっしょしているのも、彼女が「お勉強としての歴史」とサブカル的な歴史とをちゃんと弁別していて、サブカル的な歴史を楽しむことの達人だと思うからだ。

 だとしたら城にだって、真理を探究し、その成果を皆で共有してゆく方向と、娯楽や大衆教養としての城歩きとがあってよい。この両者をきちんと踏まえたうえで、大衆文化としての城歩きを実践している達人が萩原さちこさんで、僕はそう思ったからこそ、彼女と『山城へG0!』を書いたわけだ。TEAMナワバリングも、城や戦国史をサブカル的に楽しむ方向を模索するための手段、という意味合いから活動している。

☆お知らせ☆

◎10月30日(日)クラブツーリズム増尾城(千葉県柏市)日帰りツアー
増尾城は市街地の中の小さな城ですが、土塁や空堀がよく残っています。今回は、土の城を歩いて遺構を見るコツや縄張りを読み取る方法、城が築かれる原理などを、わかりやすくていねいに解説。城歩きの初心者向きコースです。
なお、市街地にある公園ですので、雨が心配な時はカッパより雨傘をご用意下さい。
参加費5500円。お問い合わせ・お申し込みはクラブツーリズムHP、コース番号03335-086です。

西股総生



↑写真は先日のクラブツーリズムさんでのイベント会場にて。
左から磯部深雪さん、TEAMナワバリングの西股先生とみかめ。

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12月23日(金)「信繁と幸村の2016年をふり返る」
※詳細は決まり次第お知らせいたします!!

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10月30日(日)日帰りツアー
コース番号:03335-086

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 今回のテーマは「出丸」。秀次を粛清して聚楽第を破却した秀吉は、指月伏見城を豊臣政権の首都にするため、大々的な屋敷割や街路の整備を行っていた。とはいえ、もともと指月は隠居所として選ばれた場所だったから、風光明媚な地ではあっても要害性はイマイチだ。とくに、北東に城を見おろすような丘があるのは、防禦の観点からは明らかにマイナスだ。

 ドラマの中で、城を増強するための設計を昌幸・信幸が任されたというくだりは、もちろんフィクション。ただ、信幸が「もともとが平城だから、強化をするにも限度がある」と言っているのは、指月という場所の特徴をよく表している。そこで昌幸が目を付けたのが、城の北東にある丘=木幡山。昌幸は、木幡山に出丸を築くことによって、指月伏見城の地形上の弱点を補おうと考えたわけだ。
 このような場所に出丸があると、攻める側は最初に出丸を攻略しなくてはならない。出丸を無視して本城に攻めかかると、出丸から出撃した部隊に横合いや背後を衝かれてしまうからだ。本城の側では、その間に万全な守備態勢を整えることができる。また、攻め手が出丸攻略に手間取っていると、今度は本城からの逆襲を食らってしまう。
 つまり、ツボを得た場所に出丸を築いておくことで、相手に攻撃目標や作戦プランの変更を余儀なくさせて、不本意な戦いを強いることができるわけだ。こうした出丸のような施設のことを、専門用語で「側面陣地」という。昌幸が木幡山に出丸を築こうとしたのは、もちろんフィクションだが、軍事的セオリーにかなった発想なのである。
 ちなみに、指月伏見城がどのような形をしていたのかは、史料が残っていないため、よくわかっていない。木幡山の出丸については、まったくのフィクション。今回は、太閤殿下のために謹んで縄張りをさせていただきました。木幡山出丸は、模型にする際に少し簡略化されてしまいましたが、僕の原設計はもっとカッコよかったです(笑)。

 なお、出丸については、『図解・戦国の城がいちばんよくわかる本』P70〜P73を参照してください。木幡山出丸の話が、ドラマのクライマックスに向けての大事な理論的伏線になっていることがわかると思う。というか、『戦国の城がいちばんよくわかる本』は最初から『真田丸』の参考書になるように作ってあります。ほら、表紙のカバーも、なんとなく参考書っぽいでしょう(笑)。

☆第29回マニアックすぎる見どころ情報☆

いずれも画面には本当にチラッとしか映らないので、なかなか気付かないと思いますが(笑)…
①信幸が持っている伏見城の絵図面には朱線が入っています。信幸なりに、伏見城強化プランを考えていた事がわかります。
②信幸が参考資料としていた絵図面のうちの1枚は、実は新府城です。
③昌幸が構想した木幡山出丸には丸馬出があります。雛型では碁石が置いてあって、わかりにくいですが(笑)。武田の武将ですなあ。

(西股総生)

《ワンポイントイラスト》



 木幡山の出丸は目の上のたんこぶ。無視できないし、構うと厄介!

(みかめゆきよみ)

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◎北条ですが、なにか……その2(全6回)

  さて、城であれ何であれ、物事の研究を進めてゆく時に大切なのは、科学的な姿勢だと思う。「科学するココロ」と言ってもよい。無論、僕らが携わっているのは人文科学だから、自然科学とイコールではない。でも、「科学するココロ」の本質は変わらないと思う。
 では、「科学するココロ」の本質とは何だろうか。証拠やデータ(数字)を信じること、と思いこんでいる人がいるのだが、それはちょっと違う。僕が考える「科学するココロ」の本質は、「合理性を尊ぶこと」だ。証拠やデータが示された時に、それによって納得のゆく理にかなった説明が可能かどうか。合理的な説明がつかない要素があるのなら、証拠やデータの妥当性を点検することも必要だ。

 余談かもしれないが、司法の場においてしばしば冤罪という現象が生じるのは、本当に合理的な説明がつくかどうか、合理的な疑いを差しはさむ余地がないかどうかをきちんと点検しないままに、示された証拠やデータが事実を指し示している、と思いこんで捜査や裁判を進めてしまうからではないか。証拠やデータ(数字)を信じるかどうか、というのは信心の問題であって、「科学するココロ」からは遠い場所にある思考法だと思う。
 付言しておくと、『中世城郭の縄張と空間』(吉川弘文館2015)という本の中で松岡進さんが明かしているように、「杉山城問題」という言葉を作ったのは、僕と松岡さんだ。たしか、松岡さんと話している中で僕が最初に言いだして、「うん、それいいね」みたいな感じで松岡さんも使うようになり、研究者の間にだんだん広まっていった。

 「論争」ではなく「問題」という言葉を使ったのは、松岡さんも書いているように、まずは縄張研究の方法論上の課題を点検する機会とするべきだ、という考え方が僕らの中にあったからだ。と同時に、杉山城の件に関しては、縄張研究サイドと考古学サイドで論点が噛み合っておらず、論争にはなっていない、と僕が感じていたからでもある。
 以来こんにちにいたるまで、論点は噛み合うことなく、「杉山城問題」は「問題」のままで、戦国史ファンやお城ファンの人たちは、ともすれば山内説と北条説のどちらを信じるか、みたいな踏み絵を求められているようにも、感じてしまうのだ…。

西股総生



※写真は杉山城の大手口付近。

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