人生竪堀

TEAMナワバリングの不活発日誌

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 今回登場した燧石式の馬上筒。もちろん、考証的にはアウトである(笑)。発火に火縄ではなく、火打ち石(フリントロック)を用いる方式の銃が、この時期の日本に伝来していたとは到底、考えられない。この件は、実はかなり以前からやり取りをしていて、考証上無理があることは制作側も承知している。承知した上で、作劇上の必要からあえて登場させるというわけだ。

 僕は別に、それならそれで構わない、と思う。いや、これは決して皮肉で言っているわけではない。なぜなら、今までもこの解説に書いてきたとおり、『真田丸』はドラマであり、ドラマとはエンタテインメントであって、本質的にフィクションだからだ。ストーリーを作るのは三谷さん、番組を作るのはNHKの仕事であって、僕はそれをジャマするつもりはないし、その権利もない。

 

 以前にナワバリンクのコラムにも書いたとおり(9月1日)、タイトルバックに登場する山城からして、実在の城ではない。いろいろな映像を合成して作りだした架空の城であり、本来ならありえない要素を身にまとった姿をしている。つまり、視聴者をフィクションの世界にいざなうための、「伝説の勇者が住む天空の城」なのだ。

 たしかに、今年の大河は考証がしっかりしている、と評されてはいる。でも、ドラマにおける考証とは、ストーリーやキャラのリアリティを担保するためのものであって、研究における実証や、ドキュメンタリーにおける裏付けとは、本質的に別物だ。だから、主人公も第1次上田合戦に参戦しているし、「幸村」を名乗っちゃってる。そこが面白くない、気になるという知的欲求水準の高い人は、大河なんか観てないで、専門書を読みましょう。

 

 さて、戦国軍事考証の立場から一つだけ指摘しておくと、燧石式の銃は、火打ち石を金属に打ち付けて発火させるから、火縄銃にくらべて発射時の衝撃が大きく、命中精度が落ちる。馬上筒なら銃身が短いから、余計に精度は落ちる。つまり、狙撃には向かない。ただ、火縄銃よりは馬上での取り回しに適している。

 そこが、幸村の活躍やストーリーと、どう関わるのか。素直に楽しみたいと思う。

 

(西股総生)

 

《ワンポイントイラスト》

 

 

 考証的にはアウトだけどドラマ的にはOKなフリントロック式馬上筒。マッチロック式(火縄銃)との違いは…!?(みかめゆきよみ)

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◎献本御礼

 

古代山城研究会代表の向井一雄さんから、齋藤慎一・向井一雄著『日本城郭史』(吉川弘文館4,200円)御恵贈賜りました。ありがとうございました。
向井さんは第1部の「弥生時代から平安時代」を担当。第2部以降は齋藤さんの執筆です。トータルで500ページ近いボリューム、4,200円という定価、豊富な史料引用と多彩な論点、ということからするなら、主に研究者や専攻生を読者に想定した本なのでしょう。
それにしても、向井さんも齋藤さんも僕と同年代の研究者。この世代の人たちが、個別の研究だけではなく、全体の枠組みを整理したスタンダードとなるような研究書を書くようになったことを、実感しますね。僕もウカウカしてられないかな? まあ、今年は「真田まつり」ということで、サブカル寄りの仕事を意図的に増やしてきたんだけれど、来年はもう少しカッチリした仕事もしたいなあ、などと、年の瀬を迎えて、つい思ってしまう。

 

ちゃらぽこさんから、日本街道研究会編「2017年版 街道手帳」いただきました。
この手帳、すごくいい! 歴史ファン向けの手帳というものが何種類か発売されているのだけれど、この「街道手帳」はとても実用的。もちろん街道歩きに便利なページもあるのだけれど、全体として歴史好きな人が本当に(頻繁に)必要とする機能や付録が、的確に整理されている。とくに、今年の何月何日は旧暦の何日にあたるのかが、パッとわかるようになっている構成は、買い。
ご興味のある方、ちゃらぽこさんに問い合わせてみては?

 

西股総生

 

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 なかなか落ちなかった大坂城。何はともあれ一旦、和睦、ということになって、停戦合意を取り付けるために、徳川方が出してきた全権大使は、家康の愛妾だった阿茶の局。豊臣方も、これに対応して(釣り合うように)大蔵卿の局を全権大使に。

 冬の陣の停戦交渉が、なぜ女性どうしで話し合われたのか、という問題については、いろいろな考え方がある。僕の考えは、次のようなものだ…。

 

 徳川方は30万近い大軍で、大坂城を攻囲した。これだけの大軍が狭い地域に張り付いて攻城戦を行うとなると、先に兵粮が底をつくのは、人数の多い攻囲軍の側だ。小田原の役の時も、秀吉軍は深刻な兵粮不足におちいった。しかも、小田原の役では、攻囲軍の一部を関東諸城の攻略に差し向けることによって「口減らし」ができたが、今回はそうはいかない。徳川軍は、兵粮不足と衛生状態の悪化によって、攻囲陣の維持がむつかしくなりつつあったのではなかろうか。

 

 真田丸での敗戦いによって、短期の大坂城攻略が不可能になった徳川軍は、何とか停戦に持ちこもうとした。そこで、女性どうしで話し合わせることにした。男どうしで話をさせると、メンツだの立場だのにこだわって、交渉が決裂してしまうから。この場合、戦闘に関与していない女どうしの方が冷静に話せる、というのが家康の読みではなかったか。

 そうして一旦、停戦合意を取り付けてしまえば、あとは寝技に持ちこんで、どうにでも政治決着させられる。方光寺の鐘銘に言いがかりをつけ、片桐且元を切り崩して強引に開戦に持ちこんだように。実際、この停戦によって、大坂城は真田丸と惣構を失うのだ。それこそ、徳川軍に大坂城の短期攻略を困難とさせていたものだったのだが…。

 

(西股総生)

 

《ワンポイントイラスト》

 

 

 停戦交渉、もし男だけでやったなら…互いに引くに引けず、大変なことに…!?(みかめゆきよみ)

 

☆お知らせ☆

 

◎12月17日(土)日帰りバスツアー

クラブツーリズム 新府城&谷戸城(山梨県)

日帰りバスツアー新府城から真田丸を考える!

新府城は『真田丸』第1回の舞台。谷戸城は、天正壬午の乱における北条軍の野戦築城と考えられる城。二つの城を歩きながら、幸村が真田丸築城に込めた思いと秘密を解き明かします。

旅行代金 15,500 円(昼食付)

コース番号=03337−098】でお問い合わせ下さい。

 

◎12月23日(金)トークイベント

クラブツーリズム「信繁と幸村の2016年をふり返る」

第1部「今こそ語りたい第2次上田合戦と大坂の陣」

コース番号=C2021−098】入場料 1,000 円

第2部「サブカルで楽しむ歴史とドラマ」

コース番号=C2022−098】入場料 500 円

日時:12月23日(金)14:00〜15:00/15:30〜17:00

場所: 新宿クラブツーリズム(西新宿駅前・新宿アイランドウィングビル)

 

◎2017年1月15日(日)現地集合・解散ツアー

クラブツーリズム 小倉城(埼玉県)〜日帰り現地集合・現地解散

戦国の石積みで知られる小倉城ですが、占地と縄張りの意味を読み解きながら、いつ・誰がこの場所に城を築いたのか、考えます。山歩きのできる靴と服装でご参加下さい。

旅行代金 5,500 円

コース番号 03339−098】でお問い合わせ下さい。

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