◎日経平均   9542.65(+103.52)△1.10%
◎TOPIX   856.79(+  6.42)△0.75%
◎売買高概算  16億8525万株
◎売買代金概算  1兆1901億円
◎時価総額  290兆0674億円
◎値上り銘柄数 967  ◎(年初来)新高値   9
◎値下り銘柄数 542  ◎(年初来)新安値 100
◎変わらず   163
◎騰落レシオ(25日)71.9%
◎サイコロ(日経平均)7勝5敗 ○○○○●●○●●○●○ 58.3%
◎カイリ率(日経平均)25日線比-3.94% 75日線比-9.30%
◎為替  (対ドル) 91.08  (対ユーロ)109.74


「もう一段の調整が必要」
ダブルボトム形成による底堅さが意識されているが、ボリンジャーバンドのマイナス1σに上値を抑えられている状況であり、マイナス2σが位置する9200円レベルでの警戒は変わらず。週足の一目均衡表の厚い雲の中での推移であり、反転も9800円辺りが抵抗となる一方、下は8900円レベルとなる。遅行スパンは下方転換シグナルを発生させているため、目先的なリバウンドがあったとしても、中期的な調整トレンドはしばらく続くことになる。週足の新値足も陽転させるためには現時点では終値で10996円を上回る必要。来週陰線をつけると、これが一気に9785円辺りまで下がるため、目先の反転のためにも、もう一段の調整が必要となる。


市況概況
米国市場は軟調となりましたが、為替が落ち着いていることや昨日の下落の反動もあり、買い先行となりました。売られすぎ銘柄の修正などもあり、また、外国人売買動向(市場筋推計、外資系10社ベース)も株数は売り越しながらも金額は買い越しと伝えられたこともあり、堅調な展開とまりました。寄り付きの買いが一巡した後は明日のSQ(特別清算指数)算出への思惑などもあって、昨日同様に先物主導で売られる場面もありましたが、持高調整の売りが一巡となった感じで売り急ぐような動きはなく、堅調な地合いとなりました。後場も特に材料の無い中で目先の需給に振らされながらも堅調な地合いが続きました。為替も動きはなく、何がどう買われたということでもないのですが、売り一巡感からの買戻しなども見られたようで買い上がる動きは限定され、小動きながらも堅調な地合いが続きました。最後はSQに絡む思惑で先物のまとまった売り買いが交錯しながらも買戻しを急ぐ動きが郵政となり、結局は手仕舞いの買戻しや先物のヘッジの買いもあって高値圏での引けとなりました。小型銘柄も堅調なものが多いのですが、売買高も少なく、買いが多いというよりは売りが少ないというような展開でした。東証マザーズ指数は大幅高、日経ジャスダック平均も堅調となりました。先物は最終売買日ということで、乗り換えの動きや手仕舞いの売り買いが中心となり、昨日のように相場を方向付けるような動きはなく持高調整の売り買いが中心となっていたのですが、後場に入ってからはSQへの思惑もあり、買戻しやヘッジ買いも入って指数を押し上げる要因となりました。大幅高とはなりましたが、SQや週末の指標の発表などを控えて積極的に買い上がる動きもなく、売り急ぐ動きなかったことで指数が上昇した感じです。相変わらず目先の需給に振らされていることには変わりないのですがますます市場参加者が少なくなっているようです。SQが終わり、中国などの経済指標に反応しながら先行きへの懸念が薄れれば値ごろ感からの買いや売られすぎの修正もあるものと思われ、加えて持高調整の売りが一段落となれば、しっかりと戻りを試す動きとなるのでしょう。
市場の声として
「依然、下値での買い意欲はあるものの、追い証発生のリスクとの背中合わせで、消耗戦になりつつあるのではないか」
「欧州諸国の財政はひっ迫していることが明らかになってきており、リスク許容度の急激な低下を通じた日本株への影響も、無視できなくなってくる。今夜のECB理事会で利下げはないだろうが、何らかの供給策あるいはアナウンスメントへの期待感はある」
「海外勢がリバランスの売買程度でインパクトが出にくい。あすの6月限SQ(特別清算指数)算出を控えて、全般に動意薄となっている。月末にかけて株主総会やカナダでの20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議などのイベントもあり、ポジションを大きく傾けにくい期間に入った」
「下値を売り込む動きは一服しているが、外部の不安要因が多いため買えない雰囲気が強い」
「海外勢はリバランスの売買程度でインパクトはないものの、ポジション調整売りは一巡しつつあるようだ。あすの6月限SQ(特別清算指数)算出を控えて全般に動意薄となっている。株主総会前で企業からの材料も乏しい」
「109円台に戻り、日経平均もプラス圏に浮上した。短期筋が為替だけで動く方向感のない相場となっている」
「下げが進まなかったので下値は堅い」
「下がったところを買う動きは出ているが、明日のSQ算出を前に全体的に商いが乏しく、上値を追い切れない。SQ通過後の動きを見極めたいとのムードが強いようだ」
「9日の取引で9395円(5月27日安値)を割り込んだ後下げが進まなかったので下値は堅い」などなどの見解が聞かれた。


NY市場は買い先行もエネルギー株安で大引けは反落
午前は買いが優勢だった。中国の5月の輸出が大幅増になったとの報道を受け、原油先物相場が高く推移したが戻り待ちの売りに押されて下落に転じ、相場全体を押し下げた。エネルギー株は配当停止の思惑が出た英石油大手BPの米預託証券(ADR)の急落もマイナス要因だった。ドイツのメルケル首相が同国の景気刺激策の終了を示唆したと午後に伝わり欧州の財政や景気の先行き不透明感が強まり、市場心理が悪化して売りが出た面もあった。NYダウは9899.25ドル40.73ドル安。S&P500は1055.69ポイント6.31安。ナスダックは2158.85ポイント11.72安。シカゴ225先物¥は9,485円5円高(大証終値9,480円円)。WTI原油は74.38ドル2.39ドル高。ドル/円は91.25円0.20円高。NYダウは前場高く6/3戻り高値から下げ幅の半値戻し(10,036ドル)近辺まで上げたが引けは反落。2点底か、更に三段下げに続くのか未だ方向性が出ていない。


日本市場は前日安値で見直し買いが入ったものの上値は限定的で小幅反発
前場は年初来安値を更新した翌日とあって、値ごろ感からの買いや見直し買いが入り、総じて小高い水準で推移。もっとも欧州諸国の財務不安など外部要因の不透明感は残り、積極的に買い進む動きは目立たなかった。円相場が対ドル、対ユーロで高止まりし、輸出企業の採算悪化懸念が引き続きくすぶった。ブラジルやニュージーランドが利上げに踏み切ったことを受け、新興国景気の減速懸念も重荷になった商状。日本経済新聞社の世論調査で、菅内閣の支持率が68%と鳩山前内閣から大幅に上昇したが、政策運営などの安定を期待した買いは限定的だった。後場は香港株の上昇などが支えに小高く推移。内需関連株を中心にした見直し買いで総じて小高く推移した前場の流れを引き継いでいるほか、取引が始まった香港株式相場が小幅高に転じていることも支えとの見方が出ている。もっとも円相場の高止まりなど外部要因の先行き不透明感は根強く、一段と買い進む動きは続いていない。


戦略
NY市場が2点底なのか、再度三段下げ波動に突入するのか未だ方向性が見えない状態。日本市場も9,400円台の安値圏で2点底なのか、下を目指すのか足踏み状態。罫線波動のチャーチストは悲観的な見方が多いのが現状。然し、トレンド系、オシレーター系で参考にしている3つの指標で二つは買い信号発信して最後の1つが昨日買いシグナル発信! 4/16終値11,150円から昨日9,450円まで1,700円幅一貫して売りポジション持続してきた状態であったがこれが買い信号に転換。多少の上下動の誤差があるが1~2ヶ月のロングで捉えた場合、かなりの成果は出す指標。明日のSQでSQ値を終値で上回る状態が発生すればロングで買いポジションを暫く保有する方法が有効と判断。通常月のオプションSQと違って3、6、9、12月のメジャーSQは規模も戦略も大きな存在でその動向は無視できない。先物で10兆円分の売り誤発注をしたドイツ証券の売りポジションに対してその他証券の買いポジションの構図で数の論理からは大勢が上昇を待っている状態。相場は少数派が勝つことが多いのが相場の世界だが果たして流れはどうか!?明日10時前後に発表されるSQ値に対して明日の終値がそれを上回れば来週以降買いポジションが構築される流れが発生する可能性が高く、SQ値を超えられない弱さならば未だ、戻り売りの状態を覚悟する必要があると判断。明日のその動向に先ず注目。


本日のポイント
1.日経平均は一時マイナスも大幅に反発
2.鉱業や石油石炭製品などが高い――中国の景気回復期待で
3.ファナックが大きく買われる――工作機械受注が大幅増
4.メキシコ湾の原油流出事故で三井物の収益圧迫懸念が続く
5.電気・ガスが安い
上値抵抗線(レジスタンス・ライン)
・11408.17円 4月5日に付けた今年の最高値
・10694.04円 ボリンジャーバンド(第2標準偏差を25日移動平均に加えた水準)
・10546.19円 13週移動平均
・10520.71円 75日移動平均
・10475.84円 26週移動平均
・10316.17円 200日移動平均
・10313.96円 ボリンジャーバンド(第1標準偏差を25日移動平均に加えた水準)
・10239.96円 52週移動平均
・9933.88円 25日移動平均
・9588.34円 5日移動平均
・9553.79円 ボリンジャーバンド(第1標準偏差を25日移動平均から引いた水準)
・9542.65円 10日終値
下値抵抗線(サポート・ライン)
・9378.23円 6月9日に付けた今年の最安値
・9173.71円 ボリンジャーバンド(第2標準偏差を25日移動平均から引いた水準)


11日(金)の見通し
10日前場の東京市場は1-3月GDP改定値の上方修正などを受けて、買いが先行し日経平均は小高く寄り付きスタートしました。自立反発狙いの買いが優勢となって9500円台を回復したが伸び悩み、下げに転じる場面もみられました。後場に入ってからも、堅く推移し引けにかけては為替も少し円安に振れ9500円を維持して取引を終えました。明日は、メジャーSQなので先物主導で推移すると思います。また、買い残が多く金融機関による持合解消売りなど出てきて上値は重い展開と見ています。11日想定日経平均レンジは9300―9600円と見ています。

日経平均=9542円(+103)、9437円~9544円の動き。
TOPIXは5日ぶりの反発。(週足・ボリンジャー「-2σ」割れは回避できそう)
SQ前日、落としどころ9500円どころから動かず、商いも薄商いでした。
先物も6月モノが9530円、9月モノが9510円。
明日、日経平均は「9510円(-32)」以上なら5日線を上抜けますが、
先物との「逆ザヤ」を思うと微妙。
それに、「陽線」が2日続かないというイヤなジンクスもあります。
(1ヶ月で1回、2ヶ月でも2回しかありません)
[キッカケ]
(1)SQ通過、
(2)買い注文が多く、SQ値がやや高めに決まる方が良いかも・・。
(3)5日線の明確な回復。
(4)NYダウが1万ドル回復。
(5)週明け、
(条件)
中国が良い経済指標を見ても「金融引き締め策」を出さないこと。
土日にヨーロッパで悪い話が出ないこと。
日本株が売られやすい「円高」になっていないこと。
「(土曜日の)新月」をまたぐってのもあります。


明日の株新聞
株価指数が反発を果たしたことで、下値固めから「二番底」形成の期待感が高まった本日の株式相場ですが、やはり明日のメジャーSQ算出日の取引内容・結果を見極めてからでも遅くはないでしょう。日経平均株価は反発。上昇幅は100円を超え、9500円台を奪回して取引を終えました。軟化していた5日移動平均線(9588.34円)が上方に控えているものの、50円以内に捉えたここは奪回可能な目標とも映る水準でしょうか。とはいえ、前営業日に年初来安値9378.23円を付けていましたし、為替相場や米国市場など外部要因も安定感を欠く現状では、5日線に沿って再度の安値割れも容易に想定できる水準でもあります。ここで重要なのは、個々のポートフォリオの状況から願望に近い「相場観」で臨むのではなく、相場環境の変化に応じた投資判断が必要となることでしょう。さて、明日は全体観の高まりやすいメジャーSQ算出日を迎えます。キープライスとなるSQ算出値、速報として伝わる前場中頃からの反応や結果をもとに今後の方向性を固めていく方針で臨んでください。「明日次第」と判断されても致し方ない内容となっていますが、メジャーSQ通過後には、発売日を迎える四季報銘柄が個別視点で賑わう可能性があるのではないでしょうか。「全体観」如何にもよりますが、先般の本決算では黒字転換や増益転換などが大勢を占める「上げ潮のファンダメンタルズ」だったことを踏まえれば、個別
視点では「買いスタンス」が比較的有利に働くのではないかと見ています。また、これまでの大幅調整で値頃感も台頭、四季報発売が実態再評価の契機となり得るが、SQ日の取引内容がやや不透明感の残る結果となれば、予想増額が材料性として表面化してくるでしょう。すでに四季報速報で「増額修正」されたファナックなど、「個別で強い」銘柄が「より強い」状況に発展するかもしれません。


マーケット関連News
◎買い下がりの準備を…
岡地証券 投資情報室長・森裕恭氏
8日に発足した菅政権への失望ムードが生じているようだ。市場で既定路線化しつつある、法人税減税について否定的な発言も聞かれた。実施が見送られるようなら「株式市場に対してフレンドリーではない」ことを印象付ける結果となる。新内閣発足直後の日経平均安値更新は、一種象徴的と言えるかも知れない。日経平均は、なお下値模索の展開を想定している。チャート上では、昨年7、11月に安値を付けた9000円トビ台が下値めどとなりそうだ。現在、70%程度まで戻してきた騰落レシオが再び60%を割るような、ヒヤッとする場面で当面の底入れを迎えるのではないか。もっとも、実際に9000円近辺へと売られる場面に遭遇したら、相場心理から言っても、なかなか買えるものではない。そもそも天井を売ったり、底を買ったりすることは不可能と割り切って、ここからは、徐々に下値を買い下がる姿勢で対応したい。投資対象としては、何か「絶対的な強み」を持つ企業がいい。特に、スピンドルモーター絡みで、日本電産(6594)は積極的に狙っていきたい。あとは、半導体、電子部品の需要の強さを踏まえれば、半導体製造装置トップの東京エレクトロン(8035)なども注目できる。間もなく開幕する、サッカーW杯の開催地として「南アフリカ関連」ならコマツ(6301)。一般には中国関連のイメージが強いが、実際には南アフリカ向け鉱山機械の比重も高く、同社では、BRICs諸国に南アフリカのSを加えて、「BRICS」と表現しているほどだ。
◎空売り規制、独仏が協調 両首脳が欧州委に共同書簡
ドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領は、欧州委員会のバローゾ委員長にあてた共同書簡で、現物の裏付けのない株式や国債の空売り禁止を欧州連合(EU)全域で検討すべきだとした。数週間以内に、対策を打ち出すよう求めている。独政府が9日に公表した書簡では「株式や債券にかかわる空売りの透明性強化が不可欠」と提言。さらにCDSと呼ばれる国債のリスクを売買する金融派生商品(デリバティブ)の取引も禁止する検討を促した。独政府は先月、独断で株式などの空売り禁止を打ち出し、仏などから批判を受けた。7日に予定されていた独仏首脳会談が中止になり「独仏間の不仲」もささやかれている。書簡はそうした懸念を一掃し、ユーロ防衛で足並みがそろっていることを強調する狙いがあるとみられる。
◎中国国営年金基金の運用を管理する全国社会保障基金理事会
ユーロは債務危機を乗り切ることが出来るとの見解を発表した。中国の公的機関のトップがユーロに対してのこういった発言は珍しい。素直にユーロは戻りを試す格好になるだろう。
◎中国の5月の輸額は前年同月比48.5%増
中国税関総署は5月の貿易統計を発表した。輸出額は前年同月比48.5%増の1317億6000万ドル(約12兆円)。輸入額は同48.3%増の1122億3000万ドル。輸出額から輸入額を差し引いた貿易黒字は195億3000万ドルとなった。


銘柄関連News
◎産業ロボットに活躍機運
中国など新興国で自動化需要高まる
ファナック、安川電、不二越など注目
中国の工場で自殺やストライキが社会問題化し、賃上げを余儀なくされているメーカー。中国政府が「所得倍増計画」を打ち出したこともあり、人件費上昇圧力がますます高まっていくことは避けられない。こうした中で注目を集めやすくなっているのが、工場の自動・省力化に貢献する産業ロボットだ。中国では伝統産業である繊維業界において機械化が先行し、工業ミシンのJUKI(6440)やニット横編み機の島精機製作所(6222)が存在感を示した。それに加えて、これからは自動車や電機といった分野でも自動化が進んでいくことになろう。逆行高となったファナック(6954)は、産業用ロボットの月産能力を現在の1500台から今秋をめどに2500台まで引き上げると、9日に報道されたことが材料視された。中国をはじめとした新興国の自動車工場などにおいて、生産効率を上げるために自動化が進んでいることが追い風だ。不二越(6474)も「人件費上昇の話が出る以前から、効率よく品質の良いものを作るために、産業ロボットの需要が新興国の自動車メーカー向けに伸びている」(不二越経営企画部)という。今後の一段の人件費アップが工場の自動化に拍車をかけることは想像に難くない。安川電機(6506)も含めて動向をチェックしておきたい。他方、中国といえば人民元切り上げ圧力が高まっていることも話題。この影響について不二越では「日本からの(産業ロボットの)輸出という点では若干のプラスに働くだろうが、それほど影響が大きくなるとはみていない」としていた。もっとも、人民元切り上げによって中国国内の輸出企業の競争力が落ちれば、それらメーカーが設備投資に慎重になってしまうケースも考えられる。引き続き注視しておかねばならない問題といえよう。
◎「エフオーアイ・ショック」から1カ月
水面下で進むIPO候補の“仕分け”
リスクマネーは「再生案件」にシフト

「ライブドア」「リーマン」のダブルショックを経て、IPOマーケットがようやく立ち直りに向いてきた矢先に起きた「エフオーアイ・ショック」から間もなく1カ月。エフオーアイ(6253・整理銘柄)は少なくとも過去2度、上場申請するも東証から突っぱねられ、上場は難しいと思われていた。それはともかく、エフオーアイ・ショックはライブドア・ショック並みの衝撃というIPO関係者は多い。「IPOマーケットにもエフオーアイ事件の余波がじわり波及するかもしれない」といった懸念の声が聞かれる。水面下で何が起こっているのか。エフオーアイ事件後、(1)ベンチャーキャピタル(VC)による投資先の仕分け(2)上場予備軍による主幹事切り替え(3)主幹事切り替えを狙った大手証券の営業攻勢――などが起きている。具体的には、「ファンド出資者(一般的にVC本体、VCの親会社、銀行、証券、事業会社など)の要請を受け、主幹事証券大手5社・3大監査法人以外と契約を結んでいる上場予備軍を“危ない案件”として仕分ける動きがあるようだ」(市場関係者)。こうした動きに対応し、既に主幹事証券を5大証券に切り替えた上場候補企業も出ているもようだ。市場関係者からは 「主幹事切り替えで、当初予定から1―2年ほどIPOが遅れる企業も出てくるだろう。何よりも危惧(きぐ)されるのは、IPOを目指すベンチャー企業に対する『リスクマネー供給のさらなる停滞』。エフオーアイ事件がその決定打になる雰囲気も漂っている」との声が聞かれる。
逆風のベンチャー企業育成
振り返ると、“ポストバブル”の雇用受け皿としてベンチャー企業育成が掲げられ、2000年前後に新興市場が相次いで誕生したが、“官”の描いた青写真通り、成長を加速させ雇用を増やしているベンチャー企業は楽天(4755・JQ)などひと握り。新興市場という資本市場の受け皿は作られたものの、経済低成長の日本にあって、規制緩和が進まず、税制面の支援も乏しいのだから、ベンチャー企業の発育不全は当然の帰結というべきか。ともかく、ベンチャー企業による雇用創出は“画餅”と認識され、国を挙げてのベンチャー育成機運は雲散霧消。そこへ追い討ちをかけるように金融環境悪化、加えてアジアなど新興国市場が台頭してきた。
「ベンチャー」より「再生」へ
VC業界関係者は、「これまで日本のベンチャー企業にリスクマネーを供給してきた向きも、『いよいよ割が合わなくなってきた』と言い、資本効率の高い中国など新興国の企業か、日本企業では事業実績のある再生案件に資金を振り向けるケースが増えている」という。例えば、ベンチャー企業へのリスクマネー供給源として知られる独立行政法人・中小企業基盤整備機構は、昨年あたりからベンチャー投資よりも再生ファンドに力点を置くようになったといわれている。ベンチャー投資で実績豊富な別の公的機関も事業・人員縮小して、配当利回り5%程度が見込める再生案件にシフト。ゴールドマン・サックス出身者が設立したジェイウィルパートナーズも地銀と組んで再生ファンドに注力と、再生案件傾斜が目立つ。市場関係者からは、「しばらくはVCが育てたベンチャー企業のIPO数は増えない可能性も。ピカピカのベンチャーより、ある程度出来上がった企業のIPOが多くなりそう」との観測が出ている。
目先のIPOは大手・老舗企業に
2010年のIPOが取りざたされている企業は、「大塚ホールディングス」、化粧品の「ポーラ」、飲料の「ポッカ」、練り物の「紀文」、液晶ガラス基板のパイオニア「アヴァンストレート」などがある。ここにきて新たにIPO候補に浮上してきた「日本ドライケミカル」(大和主幹事が有力)は、ポッカと同様に再上場案件。日本ドライケミカルは消防車両・消防用品メーカーで、現在、収益規模・利益率とも高水準のもよう。「リゾート再生」をテーマにホテル・旅館などを買収しながら規模拡大を遂げている「星野リゾート」(野村主幹事が有力)など魅力的な企業もIPO候補に名を連ねる。ただいずれも老舗、大手企業で、日本ドライケミカル、星野リゾートは“再生”がキーワードとなっている。もちろん、抗がん剤開発、クラウドなどITを活用した低コスト化ビジネス、電子書籍関連など、IPOが有望視されるベンチャー企業もあるが、「日本国全体が低コスト化に流れており、こうした経済環境はベンチャー企業向きではない。また、政府は『環境』『観光』『介護』などを成長分野に挙げるも、環境関連は研究開発、設備投資などイニシャルコストが掛かり、大手企業でないと収益成長困難。介護はコムスンの不祥事がボディーブローのように効き、利益追求が難しくNPO(民間非営利団体)向き」(VC業界関係者)など、IPO関係者の声は厳しい先行きを暗示、おしなべて先行き懸念の声を挙げている。IPOマーケットにも着実に押し寄せる金融のグローバル化の荒波を打ち破る策に欠いたままでは危うい。
◎KDDI(9433)
1月後半から4月中旬までのBOXから下振れたあと、さえない動きが続いていたが6月7日に5月31日から6月4日までの株価を包み込む出来高を伴なった陽線が出現。KDDIが出資する次世代無線LAN運営会社が来年末の加入数を現状から4倍の80万件とする目標を発表したことが好感された。8日の日本経済新聞には固定通信事業が2011年3月期に7期ぶりに黒字化しそうだと報じたことも支援材料となっている。6月8日・9日とも下げた局面では転換線がサポートしておりここからの反発が期待できる。
取引したい時期と価格レンジ
6月7日に出来高増の陽線で反発後、8日・9日と下げても転換線がサポートしているため、転換線の417500円近辺の下げがあれば狙っていきたい。基準線を抜けてくると1月後半から4月中旬のBOX下限の470000万円近辺が最初のターゲット。ここを抜けるとBOX上限近辺の500000円がターゲットになる。下は6月7日の安値406000円を割ってくるとロスカットを考える必要が出てくる。
◎ngi group(2497)
純粋持ち株会社。インターネット関連ビジネスの企画、開発、運営。ファイナンス・インキュベーション事業を展開。業界ではネットベンチャーの先駆けとして高い知名度を誇る企業です。株価は新興市場の小型株物色の流れに乗り、1月7日の22,830円から3月31日の62,000円まで大幅高に。その後は利益確定売りに押されズルズルと下落し、新興市場の投げ売りの影響を受け、5月26日には31,500円まで売られました。
目標株価とロスカット目安
本日は、+2,400円の38,000円と上昇。これまでの下げ幅を考慮すると更なる反発が期待されます。目標は10%UPの41,800円を掲げます。3日~2週間前後での目標達成を想定しております。ロスカット目安は34,900円です。予想に反しロスカット目安を割り込んでしまったら機械的に『損切り』となります。それでは、更なる上昇に期待していきましょう。
◎シンプレクス・テクノロジー(4340)
国内大手証券会社は6月8日付けで、同社株をレーティング「1」、目標株価94000円でカバレッジ開始した。主力のシステムインテグレーションの引合いは強く、SaaS型サービスのUMSの成長を素直に評価できる段階に入ったと判断。2010年3月期から2013年3月期の営業利益成長率は年率24%とソフトウエア業界の年率9%成長を大きく上回るだろうと予想している。
取引したい時期と価格レンジ
業績の成長に比例する形で株価も成長を継続へ、比較的株価のブレが大きくなることがあるので、押し目狙いで。日足一目均衡表の基準線の動きに注目。
◎積水ハ(1928)・・・業績復調
受注は昨年後半から回復基調。
太陽光発電システムや家庭用燃料電池を搭載した「グリーンファースト」に期待感。
PER20倍台、PBR0.7倍台、信用倍率0.53倍。
6月10日に2~4月業績発表予定。
◎サイゼリヤ(7581)
雇用や所得を巡る先行き不透明感から外食業界を取り巻く厳しい環境が続く中、好調な業績を上げています。外食産業の中では勝ち組とされる数少ない企業のひとつ。テレビ放映をきっかけに低価格イタリアレストラン「サイゼリヤ」の認知度が進み、来店客数増が続いています。既存店売り上げは09年10月から今年5月まで8ヶ月連続で前年同月比プラスが続いています。今期に入って2度増額修正を行うなど業績は想定超のペースで回復しています。現時点の予想は売上高975億円(前期比10%増)、経常利益135億円(前期は▲69億円)ですが、パスタ類のすべてをイタリアから輸入しているため、円高・ユーロ安メリットが予想以上に出てきそうです。株価は高値圏で堅調な動きが続いており、基調は決して弱くはありません。今期は02年8月期に記録した過去最高益(95億円)を8期ぶりに更新する見通しであり、市場が落ち着けば一段高の可能性は大と見られます。予想PERは12.5倍台と割安感が強く、信用倍率も0.71倍と売り長。ディフェンシブ性もあります。
◎サンケン電気(6707)
前期に実施した構造改革により、懸念された冷陰極蛍光ランプ(CCFL)の黒字化を第4四半期に達成した。想定以上にコストダウンが進展していることから、今11年3月期の経常黒字化は達成確度が十分に視野に入ってきたと考える。また、中国や韓国では、エアコンのインバーター化搭載比率が上昇傾向にある。また、ハイブリッド車や電気自動車の普及により、自動車電装化率は上昇しており、自動車向け半導体に対する需要は順調な拡大を示している。これらのアプリケーション向け半導体は利益率が高く、同社の半導体事業の収益性上昇に大きく寄与すると予想される。会社側ではとりわけ自動車向け半導体の開発と販売を強化し、来12年3月期以降は年率10%以上の成長を目指す方針を掲げている。今期の経常黒字転換に加え、その後の成長余力の高まりを踏まえると、足元のPER16倍台には割安感が残る。株価は5月26日に328円まで調整する場面があったものの、上昇中の75日移動平均線にサポートされた。上昇トレンドの持続を確認した格好となり、5月14日高値422円からの下げを倍返しとする516円が意識されてくる。なお同水準は、5月7日安値335円から高値422円までの二層倍(509円)にも相当している。
◎ファナック(6954)
米アップル社の多機能情報端末「iPad」のボディ背面加工の製造工程でファナックのロボドリルが使用されている模様であることが注目されている。9日には一部で産業用ロボット増産が伝えられており、収益拡大期待が強まっている。直近では外資系証券が目標株価13500円を掲げており、9日終値9630円からの上値余地は4割にも達している。指数寄与度の高い銘柄だけに指数の押し上げ効果もある。
◎住友倉庫(9301)
野村証券は投資判断を新規に「1」としている。目標株価は750円。リポートでは「キャッシュ創出力に加え、アジア貨物を取り込み堅調に推移する物流事業価値は十分に織り込まれていないと判断」などとしていた。
◎東京エレクトロン(8035)
WSTSが、2010年の世界半導体出荷額を前年比+28.6%の2910億ドルとの見通しを発表した。出荷額の増加は3年ぶりで、一気に過去最高水準に躍り出るが、半導体関連株は無反応。6月17日にはSEAJが日本製半導体製造装置BBレシオを発表予定で、これも生産、出荷とも高い伸びとなりそうだ。信用買い残高はようやくピークアウトしたようだが、なお高水準で、年初来安値(5070円)を割り込む可能性もある。企業実体に逆行する株安場面だけに、突っ込み買いを準備。
◎キリンHD(2503)
医薬品部門の利益率が引き続き好調。営業利益率16%台が20%台に上昇し、好調だった07年水準まで回復した。主力の貧血治療剤が前年比売上高22.5%増加。女性10人のうち1人は貧血と言われている市場で、日本の女性約400万人。単純計算すれば640万人の需要が見込まれる。また抗アレルギー剤も花粉などの影響から好調。今期も伸びを見込む。キリンの医薬品部門は、売上高比率9%ながらグループ全体の営業利益約35%を占める利益の源泉。需要増が見込まれている癌領域治療剤の承認申請もしており、将来の利益貢献が期待される。日足チャートは下ひげで、目先底入れ感。
◎あすか製薬(4514)
動物用医薬品の大手で、先に宮崎県で発生した口蹄疫(こうていえき)が都城市で感染した疑いのある牛が見つかったと伝えられて材料株妙味が再燃した。
◎OKK(6205)
9日引け後発表予定の5月の工作機械受注額(速報値)で同社は前年同月比3.6倍と業界全体の同2.9倍を上回る伸びを示し好感買いを呼び込んでいる。9日には同速報発表を前に、先回り買いが流入。市場予想を上回る伸びにさらに買いの手が伸びた格好だ。株価100円台の同社株など低位の仕手系材料株に短期筋の資金がシフトしている。PBR0.57倍も見直し材料。
◎ダイヘン(6622)
みずほ証券が投資判断を「アンダーパフォーム」から「ニュートラル」に、妥当株価を360円から440円に引き上げたことが買い材料となった。同証券では「溶接溶メカトロ・半導体機器の受注は強く、電力機器も中小型変圧器を中心に好調な状況が続く」として、「2011年3月期は通期会社計画も上方修正される可能性が高い」と指摘している。同証券予想の2011年3月期営業利益は会社計画34億円を上回る50億円(前期比70.7%増)見通し。
◎トップカルチャ(7640)
10年10月期第2四半期連結累計期間業績を発表した。第2四半期時点での24%営業増益が、買い安心感につながっているようだ。第2四半期連結累計期間業績は、売上高179億200万円(前年同期比16.7%増)、営業利益5億4300万円(同24.0%増)、経常利益5億6700万円(同17.3%増)、四半期純利益2億9200万円(同12.7%増)となった。同社グループの主軸である蔦屋書店部門において既存店売上高前年同期比が99.1%とほぼ前年並みに推移したことに加え、株式会社アンフォルマの完全子会社化に伴う店舗数増加(TSUTAYA11店)が増収に寄与した。利益面については、株式会社アンフォルマ(TSUTAYA11店運営)の完全子会社化に伴い、のれん償却3300万円を計上した一方、グループのスケールメリットを活かした店舗運営への切替を進めた結果、仕入原価およびコスト効率が改善され、経常利益は前年同期比17.3%増加した。
◎国際石油開発帝石(1605)
出来高を伴い反発。東証1部の売買代金30傑に浮上。TOPIX業種別指数では「鉱業」が3%強上昇に値上がりトップとなっている。現地9日のNY市場で、WTI7月限が大幅続伸し、資源・エネルギー関連株の一角に買いの手が向かった。CTA(商品投資顧問業者)など一部ヘッジファンドでは、資源・エネルギー価格の連動して個別の関連銘柄を買うプログラム売買が行われている。
◎アヲハタ(2830)
10年10月期第2四半期連結業績を発表した。第2四半期時点での27%営業増益が、買い安心感につながっているようだ。 売上高は94億900万円(前年同期比6.2%減)。利益については、「アヲハタ・55ジャム」シリーズのリニューアルによる操業度の向上、原材料価格の高騰が緩和されたことにより、営業利益は6億4000万円(同27.9%増)、経常利益は6億4400万円(同28.2%増)、四半期純利益は3億8200万円(同32.5%増)。ジャム類全体では物量は増加したが、物流費の負担区分変更に伴う取引価格改定の影響もあり、売上高はほぼ前年並みとなった。調理食品類は「キユーピーあえるパスタソース」シリーズや介護食「キユーピーやさしい献立」シリーズが伸長したが、全体では前年同期を下回った。産業用加工品類はフルーツ原料販売ならびにフルーツ・プレパレーションが主だが、取引先の使用量減の影響を受ける形で前年同期を下回っている。
◎日野自動車(7205)
6月5~6日開催の「エコカーワールド2010」に出品した、ディーゼル・電気ハイブリッドの路線バス「日野ブルーリボンシティ ハイブリッド」などが注目されているとの見方が出ている。
◎アサヒビール(2502)
大手各社のビール類(ビール・発泡酒・第3のビール)の5月合計出荷量は前年同月比8.4%減の3563万9000ケース(1ケース=大瓶20本換算)となり、統計を取り始めた1992年以降、5月としては過去最低を記録。ただ、第3のビールは同6.1%増となり27カ月連続で増加したことが評価された。
◎日揮(1963)
みずほ証券が、投資判断「アウトパフォーム」を継続し、目標株価を2350円から2400円に引き上げたことを好感。9日終値1347円との比較で値幅で1000円以上、率で78%の上昇余地があることになり買い気を誘った。同証券では2011年連結営業利益について会社計画470億円を上回る490億円(前期比17%増)を予想している。
◎三菱重工業(7011)
10日、ゆりかもめ社から東京臨海新交通臨海線(ゆりかもめ)向けの全自動無人運転車両(APM)108両(18編成)を一括で受注したと発表した。受注金額は非公表。 車体は従来の鋼とステンレスに代わってアルミ合金製車体を採用した次世代型車両で、三菱重工が100両超の車両を一括受注するのは今回が初。既存車両の更新用として13年度から順次納入する。
◎篠崎屋(2926)
9日の大引け後に業績予想を増額修正。営業利益は従来予想を39%増額し、2億2200万円から3億900万円としたことが材料視されている。豆腐の製造と専門料理店を展開。顧客リピート率や顧客数が増加した。
◎第一生命保険(8750)
株価はいぜん日経平均次第との見方が少なくないが、テクニカル的な下値メドとして、5月中下旬の下げ幅を直近の下げ幅に当てはめる逆「N」字型の波動観測で13万5000円前後との見方が今のところ当たっているため、後場の推移が注目されている。
◎ナノ・メディア(3783)
携帯向けのコンテンツ配信が主事業で、人気の少女グループ「AKB48」のオフィシャルモバイルサイトを6月1日に開設し、メンバーのメッセージムービーを1日1回、6月末まで無料で配信し人気を集めているとされていた。
セラーテムテクノロジー <4330>が後場9万8900円(3700円高)まで上げ、大引けも9万7700円(2500円高)となり反発。「iPad(アイパッド)」対応の画像処理システムを材料に11万3800円まで急伸した後もちあい相場だが、6月本決算は5月28日の増額修正にもかかわらず一段上ぶれる可能性を期待する動きがあり、見直しムードとなっていた。


気になったNews
◎高速道路の無料化実験、28日午前0時から
全国の高速道路37路線の50区間、計1626キロで実施する無料化の社会実験について、国土交通省が28日午前0時からの開始で最終調整していることが7日わかった。政府は、2010年度の予算で無料化関連費用として1000億円を計上し、6月下旬からの実施を予定していた。無料化されるのは地方の高速道路が中心だ。首都高速や阪神高速など、3大都市圏内の利用者が多い路線などは除外している。
◎夢の「やせ薬」作れるかも 脂肪減らすたんぱく質発見
食事制限せずにダイエット成功? 体の脂肪を減らす効果のあるたんぱく質を、東京大の宮崎徹教授(代謝遺伝学)のチームがマウスで見つけた。肥満を抑える薬に応用できる可能性がある。減量効果が確認されたのはたんぱく質「AIM」。血液中の免疫細胞が、動脈硬化の原因になる悪玉コレステロールを取り込む際に作られる。脂肪細胞の中に入れると、血糖から脂肪を作る働きを抑える。このたんぱく質は脂肪細胞に対し、ため込んだ脂肪を使わせることも分かった。さらに、高カロリー食を食べさせて太らせたマウスに週2回、注射すると、体重の増え方が半分以下になった。人間にあてはめると、5週間で約20キロの減量効果があった計算になるという。培養した脂肪細胞にこのたんぱく質を加える実験でも、3日後に脂肪が4分の1ほどになった。このたんぱく質は、免疫細胞を培養すれば、大量に生産できる。薬として使うには、やせたい場所に直接注射する方法が有効だという。人間の体内でも作られるため、副作用が少ない。犬猫など多くの哺乳(ほにゅう)類で作られている。太りやすい人は、遺伝的にこのたんぱく質を作る働きが弱い可能性があるため、宮崎教授らは、健康診断を受けた人の遺伝子で関連がないか調べている。ただ、肥満が進行すれば、このたんぱく質は動脈硬化を進める可能性があるので注意が必要だという。9日付米科学誌セル・メタボリズムに掲載された。
◎骨折を約4週間早く治すたんぱく質 東大が確認
骨の中にある特定のたんぱく質を増やすと、骨折が約4週間早く治せることを、東京大学の中村耕三教授(整形外科学)らが臨床試験で確認した。一般的な骨折の治療薬の治験は初めて。スポーツ選手の早期治療や、骨折が原因の高齢者の寝たきり予防など実用化が期待される。このたんぱく質は、骨を作る細胞が増えるのを手助けする「FGF―2」。骨が折れたところに注射して治りを早めるという。科研製薬(東京都)と共同で、遺伝子を組み換えた大腸菌をもとに大量生産した。2006~08年に国内48の病院で、すねの骨が折れて数日以内の71人について、この薬を注射するグループと、比較のために薬を含まないゼラチンを注射するグループに分けて、治る経過を調べた。薬を注射したグループは半数が14週間で骨がくっついた。一方、薬を使わなかったグループの半数が治るまでに18週間かかったという。ウサギ、イヌ、カニクイザルでも効果があった。副作用は確認されなかったという。今回は3段階ある臨床試験のうち2番目の段階で、一般の人が使える薬の開発に向けて最終の治験を進めている。7月に開かれる日本骨代謝学会で発表する。
◎法人税
直嶋正行経済産業相は、法人税の実効税率引き下げについて、日本の法人税の実効税率40.7%は国際的に高いと指摘し、「来年度から5%引き下げたい」と会見で述べた。今年9月が期限のエコカー補助と、12月で終了するエコポイントについて、「長く続ける制度ではない」として、再延長に否定的な見方を示し、次世代自動車やLED電球などの普及促進は必要と指摘。新たな支援策を検討する考えも示した。


過去掲載銘柄に関する情報
◎ニトリ(9843)
ゴールドマン・サックス証券が「買い」から「強い買い推奨」リストに採用したこと。目標株価も9000円から9100円に小幅ながらも、引き上げられた。同証券では、「競争優位性の高さに住宅着工+子ども手当効果を考慮すると、前年のバーが高いことによる懸念は杞憂に終わろう。また中期成長確度の高さに対する評価上昇を考慮した」としている。
◎東和薬品(4553)
後発医薬大手3社の一角で実質無借金経営。今11年3月期は薬価引き下げの影響はあるが、主力後発医薬品が順調に推移するとみられ、会社側では前期比10.6%増収、営業14.9%増益の89億円を見込む。ただ、会社計画は制度支援分が織り込まれていない控えめな計画との印象が強く、実際、4月から5月にかけては上振れ推移しているもよう。足元の進捗度合いからは中間決算までに上方修正となる可能性は高まっている。ジェネリック医薬品のシェアは欧米諸国では5~7割に達しているのに対し、日本では未だ2割にも達しておらず、今後の市場拡大余地は大きい。政府は、医療費抑制のため12年までにジェネリック医薬品のシェアを3割へ引き上げる目標を掲げており、中長期的な拡大も見込まれる。今後は製薬大手や外資系の参入・提携も相次ぎ、国内での競争激化は必至となるが、同社では主力の岡山、大阪両工場をしのぐ最大規模となる山形新工場の建設に着手している。12年3月には敷地面積は現工場の約6倍、生産能力は現在比3倍に達するもようであり、利益創力の高さに定評のある同社のシェアが拡大する公算は大きいと考える。
◎グンゼ(3002)
グンゼは底値買い妙味が膨らんでいる。株価は、4月12日高値366円から5月27日安値282円、前日安値283円と売られたことで、二番底形成との感が強まっている。足元の業績、今3月期最終損益は前期比2.3倍の20億円と回復が見込まれる。また、タッチパネルを手がけていることや、京都大学の鈴木茂彦教授らと共同で、糖尿病などが原因で起こる「難治性皮膚潰瘍(かいよう)」の治療に役立つ新型人工皮膚を開発したことなど、期待材料を内包している。PBR0.49倍と割負けしており、底離れの動きも期待されよう。
取引したい時期と価格レンジ
285円以下を買う。
◎日本ゼオン(4205)
10日の前場引け後に、取得上限500万株(自己株式を除く発行済み株式数の2.12%)・30億円の自社株買いを発表したことが好感された。取得期間は6月11日から7月30日まで。