№1 女に裁かれた少年

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「それでは、貴方を初等少年院に送致します。」

女の審判官は、さらっとした顔で言った。


 俺の名は、相沢 竜貴(アイザワ タツキ)15歳。中学を卒業したばかりだ。

世間からは白い目で見らるヤンキーと言う人種だ。

中学生活は、そのレッテルに嫌悪感を抱き、大人に反発することが青春だった・・・。




15歳4月

 鑑別所での調査期間も終わり、いよいよ審判が下される時が来た。

白いワンボックスに押し込まれた少年たちは、無言で家庭裁判所へ向かう。

俺は覚悟を決めていた。何故ならこれが2度目の鑑別所。{間違いなく少年院送致は免れないだろう・・・。}

 家庭裁判所へ着くと、裏口から中に入り、長ーい木の堅い椅子に座らされ自分の順番を待っていた・・・。

「ふーーーっぅ。」

 長いため息をつき、もしかしたら、保護観察で出られるかなぁ?などと安易な夢を描いていた。

やがて、心臓が激しく音を立てる。俺は何故緊張するのかが、わからなかった。深く息を吸い込み、

「ふーーーっぅ。」

 息を吐く。

{学校の先公来るのかなぁ?坊主にした方が良かったかな?}そんな他愛もない事を考えてる内に俺の番が来た。


「アイザワ タツキ!!」


「ハイッ。」

 俺は、力強く返事した。こんな奴らに脅えた感情を悟られたくなかったのだ。

手錠をかけられ、腰に縄を縛られて俺は審判の行われる部屋へと歩いた。

「こんなとこまで来て、今更逃げる奴もいねぇよ。」

と愚痴をこぼしながら、俺は肩で風を切り監視の親父にガンつけて、悪党の姿に優越感を感じながら歩いていた。

 部屋へ着きしばらくして、手錠がはずされた。

「親には、みせられねぇよな。」「かあちゃんみたら泣くぞ。」

監視の親父は呟いた。

「うっ。ぐっ。うっ。ぐっずっ。うっ。うっうっうっ。」

女性のすすり泣く声が聞こえてくる。

俺はかなり動揺した。

ガチャ。

ドアが開く。

間違いなく、母親だった。

お互い目も合わす事無く、無言で椅子に座った。

それから、学校の先公たち、調査官。そして、最後に審判官が登場し、俺の審判が開かれた。


「名前は・・・。」

「相沢 竜貴です。」

「生年月日は・・・。」

など、身分を証明させる質問を受けた。

俺は審判官が女だった事にかなり苛立ちを覚えた。

そして、嘘偽りなく話す事を約束し、俺の事件による調書が読まれた・・・。

罪名は強盗・致傷。調書の内容は、簡単に言うと、ボコボコに殴って、無理やり車、金品を奪った・・・。

これを読み上げ、審判官は、

「何故そんな酷いことが平気でできるのか?」

「精神的治療も必要だ。」

などと、かなり俺を異常者扱いしている感じだった。

学校の先公たちは、

「もう卒業したんで、何も口を出すことはないです。」

そして、俺のMotherは、

「うっ。ぐっ。うっ。ぐっずっ。うっ。うっうっうっ。」

ひたすらすすり泣くだけ。

かと思いきや、極め付けに、

「私には面倒みきれません。」

誰も手を差し伸べる人などここにはいなかった。

そう、全て敵だった。

調査官もフォローする事もない・・・。

まったくのアウェイ。

俺はもはや、切り札の涙を使うことを決心したが、やり場のない怒りを抑えきれず、涙すら出なかった。

女の審判官の説教じみた話を、右から左に受け流し、俺は言った。

「大人が悪いんじゃ!!」

「てめぇらの、教育が間違っとんのじゃ!!」

「俺は社会に反発しとる革命児じゃ!!」

「反社会的で上等じゃ!!」

暴れだす俺を必死で止める監視の親父、先公たちも止めに入る。もみくちゃになり、俺は大人に集団リンチを受けてるみたいな感じだったが。最後まで力いっぱい抵抗した。が、大人4・5人の力には勝てず、取り押さえられ手錠をかけられる。

「この親不幸者が、かあちゃんの前で、また恥さらしよって情けない。」

監視の親父が愚痴った。

「反省の色なしだな!!」

先公どもは、口々に俺を蔑んだ。

「うっ。ぐっ。うっ。ぐっずっ。うっ。うっうっうっ。」

相変わらず泣いている母親・・・。

そして、審判官が呟いた。


「それでは、貴方を初等少年院に送致します。」

 俺は、地面に顔面をおさえつけられ、腰の後ろで手錠をかけられ、監視の親父に馬乗りにされた呼吸すら苦しい状態で、判決を聞いた。


そのまま、引きずられるように俺は、部屋の外に出された。

悔し涙で一杯だった・・・。

{今に見とれよ!!}

{俺は何も悪くない。悪いのは全て大人たちじゃ。}

{審判官のクソババア!!絶対ぶっ殺したる。}

{先公ども覚えとけよ。百倍にして返してやる。}

{クソババア俺を売りやがった・・・。}

{あんな奴母親じゃねぇ!!}

俺は心に誓った・・・。今日この日を絶対に忘れないと・・・。

この怒りを絶対に忘れないと・・・。




 



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