「私の住んでいるマンションは傾かないでしょうか」
という問い合わせが、私あてに多く寄せられています。
そこで前回ブログ
http://ameblo.jp/tatsuo-furuhata/entry-12086307431.html
から、よく聞かれる質問をまとめて紹介しています。
今回は2回目です
Qどうすれば自分の住むマンションに問題がないかを確認できるのか?
2005(平成17)年耐震偽装問題(いわゆる姉歯事件)では、耐震設計結果を改ざんして少ない鉄筋量で建設していました。その際、実際にどれほどの鉄筋が入れられているのかを確認することのできないマンションが多数ありました。
そこで、翌2006(平成18)年建設業法が改正され、以下の3つの書類を、元請建設会社が10年間保管することが義務付けられました。
[1]完成図(工事目的物の完成時の状況を表した図)
[2]発注者との打合せ記録
[3]施工体系図(実際にどこの下請建設会社が施工したかがわかるもの)
マンションの問題を調べるためには、まずはこれらの書類を取り寄せることです。
そして基礎杭の長さ、鉄筋量、どの下請建設会社が施工したのかを確認して、信頼できる建設技術者(一級建築士、技術士(建設部門)がよいでしょう)に相談してください。
ただし、2006(平成18)年の建設業法改正より前に完成したマンションについては、残念ながらこれら書類は保管義務がなく、確認することはできません。
Qマンションにひび割れがあれば、建物が傾いているのか?
コンクリートのひび割れ発生原因は以下のようです。
1. コンクリートの乾燥
2. 地震による建物の揺れ
3. 気象の寒暖の変化
4. 凍結と融解の繰り返し
5. 過積載
6. 建物の沈下
つまりひび割れがあったとしても、それがすべて建物の沈下によるものとは限りません。
また、ひび割れの幅によって有害なのかどうかを判定します。ひび割れ幅が、0.06ミリを超えると防水上の問題が生じ、0.2ミリを超えると、建物の耐力上の問題が生じます。クラックスケールというひび割れ幅を計るものが500円程度で販売されています。ひび割れを見つけたら、ぜひ計ってみてください。
ただし、マンションではコンクリートの上に塗装、壁紙やタイルを貼ってあるので、ひび割れが発生しているかどうか、判別しにくいことが多いです。
ところが、建物の中に駐車場を設けている場合、多くはコンクリートの自身の素地のままになっています。しかも、駐車場は、壁などが少なく、広い空間ですので、もし沈下しているとすれば、発見しやすい場所です。駐車場以外では、機械室、受水槽室、ごみ置き場室などにてひび割れを見つけやすいところです。
ひび割れを見つけるには、基本は目視ですが、業者に頼めば、赤外線や超音波などの機械を用いて調べてくれます。そうすると、かなりの精度でひび割れを発見することができます。
Q建物の沈下によるひび割れかどうかはわかりますか?
建物が沈下するとひび割れが発生します。しかし前に述べたようにその他の要因でもひび割れが発生します。建物に有害なひび割れか、補修すればよいひび割れなのかを判定する必要があります。
次の図のようにある一方向に向けて偏っているひび割れは、建物の沈下によって発生します。この場合には建て替えも含めて検討する必要があります。
一方、次の図のように全体的に広がっているひび割れは、コンクリートが乾燥することによって起きるものです。人が歳をとると、お肌が乾燥し、しわが出ようなものです。補修が必要ですが、建て替えるほどの必要はありません。