http://books.rakuten.co.jp/event/book/interview/
※大輔さんの応えのみ抜粋
■弱みや葛藤もありのままに書いています
一作目『be SOUL』はバンクーバーオリンピックに向けての自己紹介のようなもので、その後はシーズンを追った記録でした。今回は2年半ぶりなので、ソチオリンピックを目指す過程でどう自分と向き合い、どんなことを考えたのかという内容になっています。
僕は元々緊張しやすくて不安を感じやすいタイプ。何かセオリーを身につけようとしたこともありましたが、「形だけ」何かしてゴマかそうとしても結局は解消できないものなので、緊張も不安もあって当たり前だと思うことにしました。でもそれだけではダメ。そう思えるためにやるべき必要なことが沢山あります。
僕は何でも押しつけがましいのが好きではありません。自分の演技のイメージや良し悪しは他の人が見て感じてくれるものだと思っているので、自らこうだ!こう見てほしい!と意識するのは自己満足になってしまうと思うからです。
本来の僕は人と競争するガツガツした闘争心を持つのが苦手で、競技者としてはそれが弱みでもあります。でもスケーターの前に人間・高橋としての心が無理をしない、強がらないあり方も大事にしたいと思うようになりました。そこに至る葛藤などもありのままに書いています。
振付師のローリー・ニコル氏からの提案です。僕にはすごく意外な選曲でしたが、聴いた瞬間に気に入りました。僕自身は戦略的な狙いや意図は考えませんが、オリンピックシーズンは、皆が知っていて感動的で希望がある曲にしたい、ということはずっと思っていたので、それにもピッタリだと思えたことも決め手です。プログラムは毎回どんなものでも難しいのですが、間の取り方などがこれまでと違って新鮮です。メドレーで曲の表情が様々に変化するので、それが難しいだけに、やりがいも感じています。ジャンプにばかり注目がいきがちですが、作品としていいものに仕上げたい、と僕自身は思っています。
相変わらずだなと思うところばかりで、自分自身では変化はよくわかりません(笑)。ただスケートの奥深さと難しさを年々感じるようになっています。又、自分が気持ちよく試合に臨むにはどうしたらいいのかは、少しだけわかってきたかもしれません。そのエピソードや考えも今回は書かせて頂きました。
観客や会場全体と一体になりたい、という思いだけです。僕は理想やこだわりは持っていないので、目指すものがどんなものか具体的なイメージはありません。ただ自分の演技には納得も満足もしたことはなく、毎回どこかに不足を感じています。多分、一生満足はしないと思います。
女子と同じいい成績を取っても男子はニュースで扱ってもらえない、ということが僕にとって悔しさでもありました。ようやく最近は男子も取り上げて頂けるようになり、フィギュアをやっている男性に対しても、驚かれる反応は前に比べたら減ってきました。それでもまだまだ「フィギュアは女子のスポーツ」というイメージは強いので、男子のフィギュアだってカッコいいんだ、ということを少しでも伝えていけたらと思っています。
合宿や遠征には本を数冊持って行きます。東野圭吾さんのミステリー小説などが好きです。家ではよく映画やドラマのDVDを見ますが、その世界観に没頭できる時間は好きですね。宮崎駿監督のアニメをよく見ます。
まずはオリンピックに行けるかどうかが非常に厳しい現状で、4年前よりも確実に厳しさは増しています。オリンピックは特別な場所ではありますが、僕としては特別意識は持たずに、気負わず淡々と毎日を過ごしていきたいと思います。それまでの過程は全て自分の糧になると思いますし、どのような結果になろうと、自分の人生の再スタートになると思っています。
テレビや新聞の報道では、瞬間的な限られた言葉になってしまい、僕は器用ではないので、そのような場でうまく話すことが苦手です。その点、本はそのときの本音や裏話も、思う存分伝えることができますし、スケートのことだけでなく、競技をとおして僕という人間を知って頂く機会になればと思います。アスリートだからといって特別ではなく、僕は失敗ばかりでダメ出しの毎日なので、エラそうなことは一つも言えませんが、僕の失敗をとおして、自分もこんな風に考えてみようかな、とか共感して頂けるところがあったら嬉しいです。
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高橋、惨敗から収穫 「何のために五輪へ」問い直す(日経Web)
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO61726970Y3A0
■30分の説教「もっと闘争心持て」
同大会のフリー(10月19日)が終わった夜、夕食を食べ、寝ようと思った午前1時すぎ、ニコライ・モロゾフコーチから声がかかった。「さあ、話そうか」。そして雷が落ちた。放送禁止用語も飛び出すような、激しい説教が約30分。「何を言われたのか、覚えていないくらい言われた」と高橋。
フリー演技では4回転ジャンプ、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)など、難度の高いジャンプで大きなミスは出なかった。しかし、高橋には苦にならないはずの3回転ループが1回転になり、3回転サルコーが2回転になった。
「もっと闘争心を持て。ループやサルコーなんて、おまえにとって何てことないジャンプじゃないか。たとえループ1本が抜けたとしても、サルコーは死にものぐるいで降りないとダメじゃないか」
周囲に聞くと、このような内容を久しぶりに厳しく言われたそう。高橋は目が覚めた、というより気づいた。
「何のために五輪に行くのか? 僕、考えてなかったと思う。五輪に行くというだけでなく、五輪の中での目標を掲げてなくて。そこを考えないと、これからはやっていけないなって」
7年前のトリノ五輪は、とにかく行きたいという思いだけだった。五輪本番では雰囲気にのまれて8位。一緒に練習していた荒川静香の金メダル獲得を目の当たりにして情けなくなり、「バンクーバーで金メダル」と目標を明確にした。
■モチベーション、いっこうに上がらず
3年前のバンクーバー五輪は、右膝靱帯断裂からの回復途上で、とにかくやるしかなかった。本番では力を出し切り銅メダル。「ここで可能性を感じられた」と、すぐに現役続行を決断する。だが、一種の燃え尽き状態に陥り、2011年世界選手権は5位。これで目が覚め、「3年計画で五輪を目指す」と話していた。
12年世界選手権で2位になり、昨季はGPファイナルで初優勝。しかし世界選手権は6位に終わった。不本意な成績をバネにしてきたこれまでのサイクルからすると、モチベーションが上がるはずだがいっこうに上がらない。「僕自身もよく分からないんですよ。ただ(ニコライコーチに)言われっ放しも悔しいし。気合が入ったとは言いたくないけれど、自分の何かはちょっと変わった」
■スケート靴の変更が不振の一因に
スケートアメリカで不振だった原因の一つに、スケート靴の変更がある。9月下旬、イタリア製の靴からもともと使っていたグラフ社(スイス)のものへ、約2年ぶりに戻した。「僕は全くその気がなかったけれど、ニコライに『トライしなよ。ダメだったら替えなきゃいい』って言われたから。やってみたら、すごくいい。スケートを押せるし、パワフルになったのを感じる」
長光歌子コーチもニコライコーチも、トリプルアクセルの飛距離が戻ってきたことを実感した。「ジャンプの幅、高さとか、質がすごくよくなっている。年齢的にジャンプが厳しくなるのかと思った時期もあったけれど、靴を替えて以前の感じが戻っている」と長光コーチ。しかし、かかとの高さや靴のエッジの長さが違うのに、前の靴の時の癖が顔をのぞかせると、ジャンプのタイミングが合わなくなる。靴に慣れる時間が今大会は足りなかった。
とはいえ、これはささいな問題だ。そもそも体調は良かった。「正直、肉体的には全く疲れてない。それどころか、シェイプされてベストに近い」と高橋。どんなに食べても体重は60キロ前後を維持し、体の切れもある。コーチ陣をはじめ、支えてくれるスタッフとのコミュニケーションも4年前にはぶつかることがあったが、今はしっかりとれている。
■疲れ切った自分に気づきたくなく
では、何が悪かったのか?
高橋は言う。「本当に五輪に行きたいのか? 自分でも分かっていないのに『おまえは五輪に行きたいんだろう』って、自分をごまかしていた。(精神的に)疲れているのを分かっていても、疲れてないだろうって」
よほどストレスがたまっていたらしく、9月にはけっこう友達と遊びに行っていた。ここ2年ほど、シーズン中は遊びに行く気があまり起きなかったというのに。「そんな部分も自分をごまかしている一面だと思う。疲れきっている自分に気づきたくなかったのかな」
トップアスリートが世界最高の舞台を目指すのは当たり前、フィギュア選手なら当然五輪が目標になる――。世間一般の人はそう見るし、本人もそう思っていたが、違うのかもしれない。何をいまさらと言われそうだが、はっきりとした目標があるからこそ、進むべき道も見えて、選手は厳しい練習を続けられる。
■思い全て吐き出し、気持ちを整理
「スケートにも、(試合で)勝とうとすることにも疲れていたと思う。オイオイって感じですけど……。だから、今回こういう結果でよかったと思う」と高橋。
あの深夜の話し合いでモロゾフ、長光両コーチやトレーナーたちを前に、こうした思いの一切を吐き出したことで、すっきりした。気持ちをきっちり整理して、目標を明確にするきっかけをもらったと感じている。
4年前との違いはもう一つある。当時は同じ五輪出場枠「3」を争っていても、男子は上位3人の出来がずばぬけていた。けが明けの高橋であっても、よほどのことがない限り3位を下回ることはなかった。
■いざ注目され、追い上げられると…
今回はバンクーバー五輪代表の高橋、小塚崇彦(トヨタ自動車)、織田信成(関大大学院)に加え、GPスケートアメリカ優勝の町田樹(関大)、昨季全日本王者の羽生結弦(ANA)、無良崇人(岡山国際スケートリンク)……と強豪ぞろい。女子以上のハイレベルな代表争いが繰り広げられている。
「いつも女子ばっかり注目される」とぼやいていた高橋。3年前には、下から追い上げられるのも「それほど嫌じゃないかも」と答えていた。しかし、いざ自分が望んでいた状況が訪れてみると……。
「そうなんですよ。スケート界にとってはいいことです。でも、実際そういう立場になるときつい。注目はうれしいけれど、僕は今、それに耐えられる自信がない」。こうしたネガティブな言葉を口にしながらも、その状況を受け入れ、前向きに変われるのが高橋の良さでもある。
感性や勘が鋭い「感覚人間」の高橋は、モチベーションが上がればおそらく日本人選手で最も力を出すタイプだろう。今はそれがないと知り、その理由が分かったことが、スケートアメリカの大きな収穫といえる。
■コーチの愛のムチにどう応えるか
「毎試合、いい演技ができるわけじゃない」。そう考えるゆえ、モロゾフコーチは「スケートアメリカの欠場を提案してきた」と高橋。「だけど僕、試合に出続けるのは慣れているけれど、長い間試合に出ないでいきなり出るのは慣れてないから」
結局、無理して出場し、モロゾフコーチの愛のムチをもらうことができた。「ニコライはすごく今、大輔に集中してくれている。それはうれしいはずよ」と長光コーチ。愛のムチに高橋がどう応えるか。長光コーチをはじめ「チーム大輔」の面々は、高橋の出す答えを静かに見守っている。
(原真子)
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やっとニコライくんがお仕事しましたか( ̄▽ ̄)=3
スケアメ、FSでのループとサルコーを見た時、むむむ???と思ったファンが予想以上に
居ました。実はワタシもそのひとりでした。スケート靴とジャンプのタイミングの件もはっきり
聞けて良かったです。
大輔さんと一緒に活躍したライサは結局バンクーバー以来、大会を欠場したまま。
ジョニーも去年一試合のみで引退を発表。ステファンは言わずもがな。トマシュは長い間苦しんだ
背中の痛みから今期見事に復帰。
そう考えると、バンクーバー以降も第一線で活躍している大輔さんは大したものです。
4年もの長い間、何の疑問も持たずにモチベーションを保ったままその道をまっしぐらなんて
人間である以上無理な話だと思います。
大輔さんが今若手であれば、何を甘いことを・・・と思いますが、10年以上もの長きをひたすら
突っ走ってきたわけです。疲れて当たり前。男子も女子もこのクラスになると一度は休養してい
ます。していないのは大輔さんと真央さんぐらいでは?
もっとも大輔さんは、休むと今の技術を取り戻せなくなる事を判っていて休まないという選択を
しているようです。
アスリートは自分を勘違いしているぐらいが丁度良いのだけど(KYは論外)、大輔さんは自分
を常に冷静に見てしまう、だから余計に疲れてくる面もあるのでしょう。
NHK杯まで一週間を切りました。
ニコライの”渇”であろうが何であろうが、もう一度、闘争心を露にした大輔さんを見れるかも
知れません。
頑張れ、頑張れ大輔さん
フィギュアスケートの採点システム改善へ向けての行動を嘆願する署名を行なっています。
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