読書の秋

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ブログの書き方を忘れてしまっていました。
舞台出演の宣伝などはツイッターとかで簡単にできてしまうから、そっちで告知を行い、今日何食べましたとかはあんま自分のブログのガラじゃないなあと思っていたら、ブログの書き方を忘れていました。
そもそもなんでブログを書いていたかと言うと、面白い映画や演劇、小説や漫画に出会ったときに感想文のような感じで書くのが好きだったので、そういえば僕はブログを書いていたのでした。
ここ3日間で季節が一気に変わって、気分がすぐれなかったので、買いためていた小説を三冊読みました。それが三冊とも面白くて、ああ、そういえば「これ面白かったよ!」っていう気持ちを書きたくてブログを書き始めたんだなと思いだし、
一年ぶりになってしまったけど書きます。
読んだのは
島本理生さんの『シルエット』

 

又吉直樹さんの『火花』

 

村田沙耶香さんの『コンビニ人間』

 

島本理生さんの小説のファンで、最近だと『七緒のために』だったり、『クローバー』、『ナラタージュ』、『産まれる森』、『あなたの呼吸がとまるまで』、『リトル バイ リトル』とか、他にももっとあるんだけど、全部素敵な作品で、読んでいて楽しい。
『シルエット』はたぶんデビュー作でたしか群像文学新人賞の受賞作品だったと思います。
文庫本で買ったので、ずっと読み忘れていたのを思い出して、読みました。
主人公の女子高生が、クラスメイトの男の子と付き合うけどうまくいかなくて、別れてしまって、すぐにできた次の彼氏と恋愛中に、まだ忘れられずに葛藤するって、筋だけ書いたらとても平たんなストーリーなのですが、それぞれが足りないものを抱えていて、他人が埋めてくれるんじゃないかと淡い期待をして、でもそれはなかなか難しくて、傷ついていく。大きい事件は起こらなくても、僕らは日々、ドラマの中を生きているんだなと思いださせてくれる大切な作品でした。
とにかく島本さんの作品は言葉が綺麗なのと、ほんの少しの掛け違いなんかを鮮明に残酷に描いてくれるので読むのがとても好きです。

又吉さんの『火花』と村田さんの『コンビニ人間』は僕がわざわざ説明するまでもなく、去年と今年の芥川賞受賞作品。

僕が小説を読むとき、癖があって、単にめんどくさがりなだけなんだけど、最初の数ページ、いや、最初の数行で引き込まれなかったら、ついつい別の本に手を出してしまう。
『火花』はそんな作品でした。
それは、最初がつまらないとかじゃなくて、この作家さんの紡ぐ言葉と僕の中にあるリズムがシンクロした時なのかなあ。伊坂幸太郎さんの『重力ピエロ』とか、最初の一行目が「二階から春が飛び降りてきた」だったかな? それで一気に心を掴まれてしまったし。
あ、それで、『火花』の出だしがつまらないとかじゃなくて、単純に気分みたいなもので、数行読んで一年が過ぎちゃってたんだけど、あらためて読み返してみて、あ、なんか面白いと思って、一気に最後まで読んでしまいました。
自分のアイデンティティって何だろう。一体自分って何者なんだろうって、生きとし生ける人全員のテーマだと思うんだけど、(俺だけだったらどうしよう・・・)
先輩とその弟子の物語なんだけど、お互いが真逆に近い長所と短所を持っていて、悩みなどは、主人公である弟子の方の文体で書かれているので、内面は弟子の方しか描かれていないけれど、実は先輩の方が苦悩していて、恐れていて、戦っていて、それが主人公の目線を通して、可笑しく、哀しく、愛おしく、読んでいる僕の中にもすっと入ってくる。そして、芸人を目指す夢の話で、自分とどう向き合うかがテーマの話なのに、読んでいる僕を泣かせたり、哀しい気持ちにさせたりはしない、芸人である作中の二人と、著者である又吉さんの芸人の、泣かせるんじゃなくて笑わせるんだというような覚悟に圧倒されました。時間をおいてまた読み直したいなと思います。

『コンビニ人間』はタイトルだけで、絶対に読もうと決めていました。
最初の1ページ、普通にコンビニ店員の主人公が普通にコンビニ業務をしている。なのに普通すぎて異常。文章に血が通っていない気がして、最初のページを読んでいて、ぞわっとし、一気に引き込まれました。
これも、さっき上で書いたような一体自分って何者なんだろうっていうようなことを投げかける作品なんだけど、
話は少し変わって、僕は相対座標って言葉が好きです。なんかの本で読んだうろ覚えの言葉だから本当に正しいかわからないけど、宇宙にいるときに自分の場所を知るために使うみたいで、要するに、僕はいま東京都にいるってのは絶対で、いま横浜という都市から50kmくらい北東にいるからいま東京にいるんだっていうのが相対だと思うんですよね。
で、何が言いたいかっていうと、自分って言う存在は絶対であるけれど、他者と交わることで自分の位置、姿が見えてくる。だから相対座標のことをなんかで読んだ時に、ああこれは人間関係だなって思った。
で、話は戻りましてコンビニ人間。コンビニ人間になりきることで本当の自分が見えてくるというか、結局のところ人はみな孤独で、他者だったり、この場合は物(コンビニ)と交わることでしか自分の素顔って見えてこないんだなあと思わせてくれた作品でした。

『シルエット』『火花』『コンビニ人間』そういえば三作とも、不器用な人間が自分と向き合い戦っていく話でした。
まあ、どの話も、そうっちゃそうなんだけど。強くそう思わせてくれた作品でした。
三冊とももちろん、おすすめです。
読書の秋ということで。また素敵な小説にであったらブログ書きます。
というより、次に読む本は決めているんだけど。
先日実家に帰ったときに、見つけた小説。

ベルハルト・シュリンク著の『朗読者』

 

これは大好きな本で、装丁がとても好きだし、また読みたいなーと思ってたんだけど、家に無くて、実家に行ったときになんとなく本棚あさってたらすみっこにありました。
楽しみ。


 

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