残された人達のこと | 医療とバレーボールとアメリカ留学記

医療とバレーボールとアメリカ留学記

2016年5月9日からアメリカオハイオ州のオハイオ州立大学に留学することとなりました。日本では埼玉の大学病院でリウマチ膠原病内科医をしていました。冨永こよみ選手を中心に上尾メディックスを応援しております。これからは基本的には留学中の日記が主となります。

今日は全くもって個人的な話。

先日、教授に呼び出された。

「そろそろ留学について相談しようか」と。

ついにこの日が来たか。

留学については何年も前から、学位を取得して1年くらい病棟をやってから行くことは言われていた。

具体的な話についてはまだなされていなかったが、実は私の中で一つ考えがあった。

それは、即戦力となる新入医局員が2人以上入らない限り私が留学するわけにはいかないと。

うちの病棟は私が専門としている診療科単科では日本で五本の指に入る病床数を誇っている。

この規模にまで拡大したのは今から5年前のこと。

私はその中の実働部隊の一員として非常に喜びを感じていた。

しかし、私が大学院で研究に専念するために病棟から離れて、一時危機的な状況に陥った。

これだけの規模を運営するにあたり、実働部隊のキャパ越えを来したのだ。

一人はそれに耐えられなくなり辞めてしまい、他の人達も限界に達していた。

当時の実働部隊の連中は規模を縮小させることを望んでいた。

しかし、私としてはそれはどうしてもして欲しくなかった。

なぜなら、私に言わせればその気になれば問題なく稼働させることは可能な状況であったし、それを保持しなければ一番困るのは患者さんである。

ここでこの体制が崩壊するのだけは絶対に避けなければならない。

だから、大学院時代もやばそうな時は積極的に病棟の手伝いには行った。

そして大学院を卒業し病棟に復帰した際には、私はその実働部隊ではいつの間にか上から3番目のポジションになっていたが、上2人の先生は2人とも体が悪いので、事実上私が中心的な存在となっていた。

それでも、今のこの規模を保持するにはギリギリであり、これよりも一人でも抜けた場合は一気に崩壊する危険性がある。

しかも、出向などの人事異動も来年はいくつかありそうであり、これらを計算した上で私が来年度留学する条件は最低でも即戦力が2人以上入ることであると自分なりに結論付けた。

しかし、私はその希望を教授に述べたら「先生のその気持ちはありがたいのだが、うちらもいつまでも先生に甘える訳にはいかない。一日も早く先生にはステップアップしてもらう道を進んでもらわなければ困る」と一蹴された。

実はちょっと即戦力が2人入る可能性が低いことと、仮に入ったとしても候補となっている1人はちょっと即戦力の1人としてカウントするにはちょっと心許ないヤツなので、もう1年はいないといけないかなと思っていた。

まあ、同時にあと一年冨永選手と上尾メディックスを応援できる!とちょっと思っていた部分もあったのだが(こんなこともちろん口が裂けても教授には言えませんが(笑))。


具体的な留学先についても提案された。

教授からそのように言われた以上、かなり心配だがこれはもう来年度中には留学しろということを意味する。

もちろん、留学はずっと前からの夢であり念願である。

まだ決定ではないが第一候補となっている留学先はかなり名の通った所。

もの凄く楽しみなのだが、やはり残された人達のことが心配である。


そんなことを考えているうちに、ある一つの考えが浮かんだ。

一つは既存戦力を育てること。

もう一つは自分が戻ってきてから復活させること。


そこで、最近そんなことを考えている間にある二つのバレーボールチームのことが思い浮かんだ。

一つは東レアローズ。

そしてもう一つが日立リヴァーレである。


東レアローズは木村選手がトルコに移ってから果たしてどうなるか、当初非常に懸念された。

結果的には久光に王座を譲った形となった。

しかし、その一方で高田選手が全日本の中心選手になりつつあるまでに成長した。

そして木村選手が帰ってきた。

ここまで3連敗ではあるが、木村選手が離れたが故に得たものも沢山あったと思うし、おそらくその後はまた息を吹き返すと思う。


そして日立リヴァーレは今シーズンは江畑選手がフランスのRCカンヌに移籍し、その他高橋選手の移籍や永松選手と南選手の退団もあり、栗原選手が入ったものの、厳しい戦いが強いられることが予想された。

しかし、確かに初戦のNEC戦では厳しい戦いの予感はしたが、上尾にはストレート勝ちし、岡山にはストレート負けではあったもののゲーム自体は比較的競っていた。

上尾との戦いでは佐々木選手が活躍した。

その他、抜けた所には内瀬戸選手や和田選手などこれから成長が望まれる選手達が機会を与えられている。

よくよく考えて見れば主力が抜けたらチームが崩壊するようなギリギリのチームはその世界で戦っていくことが出来ないことはもはや常識。

考え方次第では広く選手を育てるチャンスでもある。

木村選手や江畑選手が移籍した時にはきっとチームと残された人達のことが気がかりであったであろう。

でも、その一方で信じていた部分もあったのだと思う。


来年度、病棟の実働部隊となる後輩は3人いる。

そのうちの1人は私は100%信頼している非常に優秀かつ体力もあり熱意も十分なヤツなのだが、残り2人はメンタルが弱いのでちょっと心配である。

とは言っても、彼らがちゃんと戦力にならなければ崩壊するのは今も変わりない。

よく頑張っているとは思うが、私に言わせれば自覚が足りない。

その自覚を得るためには確かに教授が言うように甘えさせてはいけないのかもしれない。

信じてあげたい気持ちはあるのだが・・・。


自分のことだけを考えて行動するのは簡単だが、色んなことを考えて行動するのは本当に難しいですね。

でも、人はそうやって成長し、組織はそうやって発展するものなんだなと改めて思う。


(本日はアメンバー限定記事はありません)



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