英語をプログラムを解析するように読むという時、それは英語を「形式」の面から考えるということになります。

 

 その言い方にすると、実はそれは、「受験英語の巨星」(江利川春雄)とされ、特に1970年代から1990年代にかけて日本の受験英語界に大きな影響を与えた、故・伊藤和夫先生(1997年没)が、1977年刊行の『英文解釈教室』(研究社)などで広く明らかにして、展開して来られたことにとても近くなります。「筆者が本書で試みたのは、英語を形から考える練習、つまり、英語を読んでいるかぎり決してそこから離れることができない基本的な約束を明らかにすることから出発し、その原則に基づいて英語の構造を分析し、読者とともに考えることを通して、英語を読む際に具体的に頭はどのように働くのか、また働くべきなのかを解明することである。」

(伊藤和夫『英文解釈教室』研究社1977年、はしがき)。

 

また、プログラミングから見た英語という問題意識も、次のようなくだりを読むと、伊藤先生もやはり十分に意識されていたことがわかります。

 

「現在の私の教授法の基礎をなしているのは、テキストの英文を生徒の目で見て、かりにそこで自分が迷うか間違えるかした場合に自分が一瞬にするはずのことを、思い切って速度を落としてゆっくりゆっくりやってみせることであり、そしてそういう修正を可能にしている英語の基本的な約束を、その授業を通じて明らかにしようとする姿勢であると言えるかと思います。」

 

「あるセンテンスを読む前に我々の頭は白紙のはずなのに、それが読むに従ってわかり、ピリオドにいたって(※注:返り読みすることなく)すべてが明らかになるというプロセスは、当然、一本の線をいくつかの単位に分割し、単位相互の間に種々の関係を認めるという作業を含みます。センテンスを構成する単語の中で、何がそういう区切りに参加するのか、ピリオド以外の何が我々にセンテンスが終了したと感じさせるのかという問題もあります。・・・コンピューターによる翻訳のためには以上の分析が不可欠である以上、それはすでに行われはじめていると思います。そして、そのような現象分析の上に立った教え方こそ、我々の英語教育に新しい道を開くものと、私は信じたいのです。」

(伊藤和夫「私の英語教授法」『駿台フォーラム』第6号(1988年)、伊藤和夫『予備校の英語』研究社1997年所収)(※注は筆者)

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