晴耕雨読 -田野 登-

大阪のマチを歩いてて、空を見上げる。モクモク沸き立つ雲。
そんなとき、空の片隅にみつけた高い空。透けた雲、そっと走る風。
ふとよぎる何かの予感。内なる小宇宙から外なる広い世界に向けて。


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「いずれ、
 「田蓑の嶋」歌への折口信夫の解釈も
紹介することにしましょう」と
《田蓑の島の「かざめ」なる蟹(2) 
2017-02-09》と書き残して早くも三ヶ月が経ちました。
ようやく「田蓑の島」に戻って来ました。
蟹談義以来のことです。

 

しばらくは《折口信夫の想像した「田蓑の島」の民》と題して
折口の想像力を借りて
歌枕「田蓑の島」を探索しようと思います。

『折口信夫全集』16、中央公論社、1996年の
「第二部 日本文学の戸籍 第二章 上代歌謡」は
昭和23年12月20日刊行の通信教育部の教材が初出とのことです。

 

「上代歌謡」の「三、難波方(ルビ:ナニハガタ)」に
「本 難波潟。潮満ち来れば、あまごろも
 末 あまごろも 田簔の島に、鶴(ルビ:タヅ)たち渡る」が
挙げられています。
《[語句の吟味]○難波潟》の記述は
次のとおりです。

◇潟。遠浅の海。難波の海の沖の浅瀬。
 さう言ふ浅瀬を含んで、難波浦に面した海一帯を言ふ。

 

「上代歌謡」に詠われる「難波の海」は、
今日の上町台地の近くまで迫っていました。
折口の生家の「木津」も
かつての水辺を想起させる地名です。

 

《[語句の吟味]○あまごろも》の記述は
注意深く挙げることにします。

◇海女(ルビ:アマ)の着てゐる衣。
 それを、田簔を起す枕詞とした。

 

ここでは「あまごろも」の「あま」は
「雨」でなく「海女」「海人」と解釈しています。
ほぼ同時代のに*『萬葉集』に当たりました。
  *『萬葉集』:『萬葉集四』1982年『新潮日本古典集成』
『萬葉集』第15巻3782番歌の
「雨隠り」の訳がされている箇所の
*『総索引単語篇』による用字は「安麻其毛理」です。
 *『総索引単語篇』:正宗敦夫編
『萬葉集総索引単語篇』

                             1974年、平凡社

「雨」の用字は「安麻」です。

『萬葉集』第15巻3641番歌の
「海人娘子」の訳がされている箇所の
*『総索引単語篇』による用字は「安麻乎等女」です。
「海人」の用字は「安麻」です。
『萬葉集』第15巻3638番歌の
「海人娘子ども」の訳がされている箇所の
*『総索引単語篇』による用字は「安麻乎等女杼毛」で、
「海人」の用字は「安麻」で
いずれも「雨」との違いはありません。

 

このことからしますと
「あまごろも」を一概に「雨衣」と解釈して
「雨合羽」で済ませるのではなく、
折口のように

「海女衣」「海人衣」と解釈することも可能なのです。

 

問題は、「海女」「海人」ちゅうのは誰なのかです。
古代の大阪湾の島にすだく民の問題です。
次回に折口説を紹介します。

 

究会代表 田野 登

 

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