2012-01-28 14:37:25

勃興するASEAN(下)―カンボジアの可能性

テーマ:ブログ

近年のASEANの急成長と、日本・福岡の企業展開の現状については、連載「上」で記しました。


拡大を続ける消費市場。若年層の割合が高いことによる将来可能性の高さ。


これに加え、「『世界の新工場としてのASEAN』という側面も忘れてはならない。人件費上昇など中国リスクが意識される中で、ASEANは『チャイナプラスワン』として注目されている」(週刊東洋経済2011年7月16日号、日本アセアンセンターの阿部聡・投資部長)という、企業進出における潜在力の高さ。


その中で、ASEAN後発国であるカンボジアに着目しました。2011年に日系企業の進出が急増し、海外ビジネスの新たなチャンスが生まれています。県内中小企業のアジア進出のサポート体制を強化しつつある福岡県にとって、将来の施策展開でも重要な意味を持つと考えます。


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カンボジア視察のメンバーは、所属会派の1期生を中心に県議会の有志10人。行程は以下です。


26日(木) バンコク経由プノンペン入り

27日(金) 経済情勢・内戦の現場視察inプノンペン

28日(土) 福岡の団体による支援現場の視察inシェムリアップ

29日(金) 市場経済・世界文化遺産視察

30日(土) バンコク経由帰国


経済情勢視察については後述します。


途上国支援の現場は、福岡県内に拠点を置いて活動する「カンボジア地雷撤去キャンペーン」(Cambodia Mines-remove Campaign、本部・福岡市早良区)が2008年、地雷原に建設した中学校を訪ねます。バンテアイミエンチェイ州コーントライ村にある「CMCコーントライ夢中学校」です。


カンボジアの課題は、「若年労働力が豊富な一方で、教育水準が低いといった人口構造上の特徴」(週刊東洋経済)と指摘され、企業進出にとって「人材不足」が死角となっています。内戦終結後は「六・三・三制」を採用していますが、「就学率は、小学校では90%であり、中学校では25%、高等学校では10%に満たない」(上田広美・岡田知子編著「カンボジアを知るための60章」明石書店、263頁)とされ、都市と地方の格差も顕在化しており、教育環境の整備は喫緊の課題です。


内戦の現場は、ポル・ポト政権下(1975~1979)で大量虐殺があったとされる刑場跡の「キリング・フィールド」、政治犯を収容した「トゥール・スレン」を視察。また、世界文化遺産については、スールヤバルマン2世が12世紀初頭に建築したとされるアンコール・ワットを訪ねます。


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経済情勢について。


日本はカンボジアと1953年に外交関係を樹立。1980年代末からカンボジア和平への積極的関与を始めました。92~93年、PKO法に基づく要員派遣は記憶に新しいところです。


外務省によると、日本はカンボジアにとって最大の援助供与国。2009年度までの援助実績は、円借款312.91億円、無償資金協力1383.11億円、技術協力は554.97億円に上ります。持続的な経済成長、貧困対策に重点を置いています。


しかし、「世界最大の援助をしているにもかかわらず、経済的に見ると、韓国や中国などに先を行かれてしまっている」(福岡県担当者)とされ、「お人よし」のような状況に陥っています。これは東南アジア諸国全体において言える傾向で、日本は国家としての投資を生かす経済戦略を進めなければならない。その意味でも、福岡県の経済政策でも重視されるべき国です。


カンボジアの主力産業は製造業の中でも、縫製業。前掲書「カンボジアを知るための60章」によると、96年に米国でカンボジアへの最恵国待遇供与法が施行された前後から、台湾、中国、香港などから縫製業への投資が増加し、第一の輸出産業としてGDP(国内総生産)の成長を強力に牽引しています。視察では縫製工場も訪ねます。


また、プノンペンに税制優遇などの恩恵がある経済特区(Phnom Penh Special Economic Zone = PPSEZ)を設立。海外の直接投資を誘致する姿勢を打ち出し、わずか1カ月前の2011年12月には、日本を代表する精密部品メーカーのミネビアが特区内に土地面積10万平方メートル、工場延べ床面積2万8000平方メートルの自社工場を完成させ、本格的な生産活動を開始。このことが象徴するように、昨年は日系企業のカンボジア進出が相次ぎ、「過去の累計進出者数に匹敵」(11年5月時点、週刊東洋経済)する勢いを見せてきました。このPPSEZも視察します。


こういった状況は、カンボジアが労働集約的な製造業にとってのメリットが大きいことから生じているとみられます。「中国やベトナムなどで、工場労働者によるストや人件費の上昇、人材確保難が顕在化し、事業環境の変化が生じている」(同)ことも後押ししているとされます。昨年、韓国の現代自動車(ヒュンダイ)は自動車組立工場をカンボジア国内で開始。この先行事例の成功・不成功を「日本企業は『様子見』している」(福岡県担当者)模様です。


また、カンボジアではインフラ整備も大きな課題です。この点、北九州市の「海外水ビジネス」が奏功し、同国主要9都市の水道事業に技術コンサルタントとして参入する昨年末の報道は、地方自治体の海外展開の可能性を強く印象付けました。北九州市が指導する水道事業の現場も訪ねます。


今回の視察の成果は、帰国する30日(月)以降、このブログなどで詳細に報告します。


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