2017-09-06
2012-03-28
2011-05-16
「下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ」これは阪急グループの創業者、小林一三の言葉である。私はこの言葉を生きるうえでも仕事をするうえでも指針としており最も好きなフレーズである。
明治、大正、昭和の創業者、経営者、政治家に学ぶをテーマにコラムを書き今回が第100回になる。日本、世界のあらゆる創業者、経営者、政治家、歴史上の人物の生涯や生き方、仕事の取り組み方を調べてきたが、仕事をするうえで大切なことは何かと問われれば小林一三のこの言葉にいきあたります。
元東京電力、経団連の会長の平岩外四は「その道の第一人者になれと」言いました。日産自動車の元社長の石原俊は「技術屋なら製造技術とか設計技術とか、事務屋なら人事でも経理でも。その職種なら社内はもちろん、業界全体でも「これならあの人」と評価されるくらい一つの職種を極めるべきだ。」と言いました。世阿弥は「一芸は万芸に通づる」と説いた。表現は違えども言っていることは同じである。
100回を書き上げたことを機に今一度原点に立返り自分にしか出来ないものを磨き上げていきたいと思う。
文責 田宮 卓
小林一三の名言→ http://bit.ly/nLLc3k
先日、4月に大学を卒業し大手企業に入社したばかりの新入社員の人が転職をしたいと相談に来ました。まだ入社して1月もしないのに何故?と思いますが、やりたいと思っていた仕事と違うので早めに方向転換をした方が良いのではないかと思ったようです。
安易に転職を考える前に、まずは今いるところで腰を据えて仕事を覚え、その職場で認めてもらえるだけの人物になり、その間しっかりと次に向けての準備をしていけばよいのではないかと思いますが、私は20世紀の激動を生抜いたある先人の言葉を思い出しました。新入社員や 始めて職就する人に出世の秘訣を聞かれた時によく言っていた言葉だそうです。
私は平凡主義ということを言っております。平凡な事を課してそれが完全に実行されるならば、将来見込ありと考えております。例えば勤務時間より30分早く出勤せよといいます。9時に始まるなら8時半に8時に始まるのなら7時半に出勤する。これは一見平凡のようにみえますが、1万人の中でこれを実行できる人はほとんどいないと言って良いくらいです。しかしこの30分早めの出勤がどういう結果を生むか? まず30分早めに家を出れば、よくある電車の停電とか故障になどに遭ってもけしてまごつかない。そして勤め先に着いたならばまず自分の机を掃除し、硯箱のふたをとり水差しに水がなかったなら水を入れ、いつでも仕事が始められるようにして同僚や先輩の出勤を待つことができる。その間新聞、雑誌を読むことが出来るし誰よりも早く仕事にとりかかることが出来る。
これに反して、始業時間きっかりに出勤した場合は、電車の停電などにぶつかるとすぐに遅刻をする。慌てると事務も完全に出来ない。しかもこういう時に限って、急用ができて社長が来たり、課長が来たりして「まだ出勤せぬか」と言って、怠けているわけでもないのに怠けているように見られる。こんな場合は、30分早く出勤していれば他の人の仕事まで引き受けてやり、「あれはなかなか用の立つ男だ」ということになって思わぬところで認められるようになるのである。ざっといってみればこのような訳で、わずか30分早めの出勤が、どれほどその人を価値づける事になるかわかりませんが、これを1年間続ければ必ず上役の目に留まるし、上役でなくても何処かで認められて出世の糸口をつかむ事になるでしょう。
この言葉は阪急グループの創業者、小林一三がよく言っていたことで、実際に若い人に30分前出勤を実践するように促していたそうです。ところが面白い事に、小林一三といえば自分自身は、慶応大学を卒業後、三井銀行に入社し、30歳前半まで勤務しますが、その間「だめサラリーマン」、「万年平社員」と言われ、けして優秀なサラリーマンではありませんでした。実家から仕送りしてもらったお金で女遊びをしていたとも言われ、凡そ、若い人に向けて言っていた平凡主義というのとは自分自身は全く似ても似つかないサラリーマンだったはずです。
そういう人が平凡主義を奨励するのだから逆に変に説得力があるように私は思います。
また、先人の言葉で私が常に心がけ実践しようとしていることがあります。
「私は機会の到来に備えて学び、いつでも仕事にかかれる態勢を整えている」 アメリカの第16代大統領 リンカーン
「わが人生の成功のことごとくは、いかなる場合にもかならず15分前に到着したおかげである。」
イギリス海軍の英雄 ネルソン
新入社員の人が転職相談に来てくれたお陰で、私は今一度初心に帰り頑張ろうという気持になりました。
文責 田宮 卓