2013-01-15 19:56:48

第229回_ 名文はどうやって生まれるのか(政治家編)

テーマ:政治家

年末年始に古今東西の政治家の発言集や執筆したものなどを調べてその一部を語録集としてまとめてみた。


歴代総理大臣語録一覧  http://bit.ly/wBersx

政治家(日本)語録集  http://bit.ly/Pr4POW

歴代アメリカ大統領語録一覧 http://bit.ly/OKsvi9

政治家(世界)語録集 http://bit.ly/QCPU4m


世界の政治指導者であまり勉強家ではなかったが演説が上手いといえばアメリカのレーガン元大統領がそうであろう。次に演説も上手く文章を書かせても名文家といえば文句なしにイギリスのチャーチル元首相をあげる。では演説は下手だけど、しゃべった内容を文章に起こすと立派な文章になる政治家といえば、日本の大平正芳元首相(昭和53年首相に就任)ではなかろうか。


大平は『あー、うー』と言い、お世辞にも演説が上手いとはいえなかったが、演説の内容を文章に起こしたものを読むと立派な文章になっているから不思議である。また大平の発言や文章には一言一言に含蓄があり味わい深い。


大平は香川県の貧乏な農家に生まれ、苦学して一橋大学を卒業し財務省に入省した。横浜税務署長に就任しと時に、新年拝賀式でこのような挨拶をしている。


「行政には、楕円形のように二つの中心があって、その二つの中心が均衡を保ちつつ緊張した関係にある場合に、その行政は立派な行政と言える。(中略)税務の仕事もそうであって、一方の中心は課税高権であり、他の中心は納税者である。権力万能の課税も、納税者に妥協しがちな課税も共にいけないので、何(いず)れにも傾かない中正の立場を貫く事が情理にかなった課税のやり方である」


この挨拶は大平が27歳の時である。20代にして既に行政や課税に対するしっかりとした哲学や考え方があることが伝わってくる。きっとこういう人が行政の責任者であれば、そこの職員は皆、緊張感を持ち、高い意識で仕事をしており、職員の不正やミスも起こりぬくいといえるだろ。



大平の言ったことはなぜ文章に起こすと立派なものになるのか、そのことを明治大学教授(教育学者) の齋藤孝の著書から答えを得られた気がする。齋藤先生は次々とベストセラーとなる著書を世に送り出す作家の顔も持つ人物である。


齋藤先生は著書の中で

「話し言葉を録音して、文章に直してみたときに、まるで内容空疎な場合と、意味がしっかりと入っているコメントとの差が生まれることがある。この差には読書量の差が大きく関係していると私は考えている」という。


またこのようにも言う。

「書くことは、読むことよりも高度な作業である。自分が聞いたり読んだりしたことのない言葉は、書くことができない。しかし、自分が書いたことのない言葉でも聞いたり読むことはできる。書くという作業は、膨大な読むということの上に成り立つ『氷山の一角』なのである。書くことは、読みの、いわば成果である。水面下に、膨大な読書があるほど書くことは当然容易になる」


チャーチルと大平の共通点は無類の読者家ということである。この膨大な読書なくして名文や含蓄のある文章は生まれないといえるだろう。


私もこのことを肝に銘じてより良い文章が書けるように今年も励んでいきたいと思う。

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