2012-03-28 21:29:16

第214回_商いの厳しさ

テーマ:スポーツメーカー

「命まで取られへん、だめならやり直せばいい」

鬼塚喜八郎(アシックス創業者)


私の創業者の名語録でとても好きな語録の一つが鬼塚会長のこのシンプルな言葉である。先日、この鬼塚語録 http://bit.ly/GXSIV0  の記事を見た人からコメントを頂いた。


鬼塚会長に生前、ランチェスター協会の会合で偶然隣の席になったので、その縁で名刺交換をしてそのお礼に葉書を送ったら、その後、なんと鬼塚会長から韓国から立派な封書手書きの励ましのメッセージを頂いた、という内容のものであった。この方はこの封書を今でも宝物として節目節目に読み返しているという。


私のように創業者の秘話やエピソードを書いているものにとって、このように実体験談を教えてくれることほど、有り難くまた興味深いことはない。


この鬼塚会長のエピソードを拝見し、やはり創業者は違うなと感じた。どんなビジネス本にも「礼状を書くこと」というのはビジネスの基本として教えているが、恐らくそれを長年、実践し続ける人は僅かであろう。


鬼塚会長がわざわざ手書きで礼状を出すのは、礼儀であったり、人のご縁を大切にする気持であったり、また何時お客様になってくれるかもしれない、といった色々な思いがあってのことだと思うが、恐らくずっとこのような謙虚な姿勢で鬼塚会長が日々、人と接してきたからこそ、今日のアシックスがあるのだと思う。逆にいうと、「返事なんて書いている暇あるか」といったような僅かでも驕った気持ちや、人を粗末にする気持が出ると商売が立ち行かなくなることを示唆しているようで、同時に商売の厳しさというものも感じる話である。


また、以前、私の父親が住宅設備最大手の現・住生活グループ(トステム、トーヨーサッシ)の創業者、潮田健次郎(うしおだ・けんじろう)から直筆の手紙をもらったことがあった。


1993年頃、バブルが弾けて会社員であった父は54歳の時にリストラにあった。今では業績が悪くなれば人員削減するのは当たり前のことではあるが、当時リストラは大変な社会問題であった。父をリストラした会社で自殺者が出たり、そのことでリストラのスペシャル番組が組まれテレビで放映されたりしていた。


54歳という年齢で転職先を探すことは容易ではない。職務経歴書を人事部に送ってもまず年齢で切られることは目に見えている。そこで父がとった行動が、紳士録などで社長の自宅を調べ、職務経歴書を直接社長の自宅に「速達」「親展」「書留」で郵送することであった。海外出張などで不在の場合は仕方ないとしても、かなりの確率で社長本人に職務経歴書を見てもらえると踏んだのだ。


そして郵送先の一つが住生活グループの潮田社長宅であったが、潮田社長からはなんと丁寧な直筆の手紙が届いた。内容は、まずご丁寧なお手紙を有難うございますというお礼から始まり、今会社の状況が○×△なので採用はしておらず、大変申し訳ないがご期待に添うことは出来ないが、良いお仕事に就けますことをお祈り申し上げる、といった、これまた大変丁寧なものであった。


やはりここが創業者の凄いところだと思う。こっちから一方的に送った手紙(職務経歴書)である。本来返事などする必要もなければ、仮に返事をするとしても人事部か秘書にさせればいいことである。


このような話は2代目、3代目の社長にはあまり聞かない。一方的な手紙であっても、直筆で手紙を返すところに創業者の凄さ、商売の厳しさというものを私は感じる。


ちなみに父は結局アミューズメント業界のセガに転職が決まった。当時の中山隼雄社長の自宅に送った職務経歴書を中山社長が人事部に「面接して良かったら採ってみろ」と廻してくれたのだ。面接を受け部長というポジションで見事採用となったのだが、驚くことにこのポジションの募集年齢は40歳までであった。54歳の父は普通に人事部に職務経歴書を送っていたら100%書類選考で落とされ面接すらしてもらえてなかったであろう。


関連サイト

潮田健次郎(現・住生活グループ)創業者語録

http://bit.ly/HkK4xx




【創業者、名経営者、政治家の秘話大公開】          -潮田社長手紙
潮田社長の直筆の手紙

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2012-03-18 00:06:27

第213回_成長のスピリッツを失うと未来はない

テーマ:ブログ

故・司馬遼太郎は明治時代について「明治という国家が新たに生まれたと思われるほど、活躍する人間の交代は大胆に大規模なかたちで行われたのではないだろうか」と語ったことがある。江戸から明治になると極東の一小国だった日本は次々と新しい人材が出現し殖産興業(しょくさんこうぎょう)を合言葉に新しい産業を次々に興していった。欧米列強に追いつこうと近代化に向けて懸命に生きた時代であった。


また新渡戸稲造(にとべいなぞう)の著書「武士道」には明治時代の近代化は劣等国とみなされることに耐えられない、という名誉心。これが動機の中で最大のものであったということを述べている。


明治時代はあらゆる産業、業界、分野が未開の地であった。欧米を模倣とすることでいくらでも開拓することが出来たので、劣等感もあり皆競うように我先にと新天地の開拓を行っていった。日本の近代史で明治時代ほど、活力に溢れエネルギッシュだった時代はないであろう。


しかし経済大国となった今の日本はどうか。かつての活力はない。ユニクロの柳井会長が銀座店オープンに際しての記者会見で「世界一を目指す」と力強く語ったが、このような元気な企業は僅かであろう。


先日ソニーはじめ日本を代表する家電メーカーが業績不振にあえいでいることが明るみになった。タイの洪水や円高などの外的要因もあったと思うが、ソニーにいたってはここ10年間、真新しい商品を全く世に出していない。業績悪化は当然の結果であろう。サラリーマン社長に創業者のスピリッツを持てといってもどだい無理な話しかもしれないが、あまりにも守りに入り開拓する気持がなくなると企業は衰退に向かう。


ソニーに象徴されるように今日本の企業は全体的に活力を失っているような気がする。明治時代のような未開の地がなくなった、工業社会は環境破壊の犠牲のうえに成り立ってきたが今後はそうはいかない、少子化により消費も落ち込んで来る、など成長が出来ない理由をあげれば幾らでも出てくるだろう。


先日、枝野経産相が「日本は坂の上の雲(司馬遼太郎の小説)に辿りつき、そこから新たな雲はもうありません」と発言していた。かつてのような年率10%の高度経済成長は無理ということを言いたかったのだと思うが、経産相なのだから小さなアドバルーンでいいから揚げて欲しいと思いつつも、正直といえば正直な発言である。


こういった社会的な背景があるからだろう。若者に将来の夢を聞くと「正社員になって結婚すること」という答えが返ってくるそうだ。私は何故そんなに「気力がないのだ」とは決して思わない。今の大学生は入学と同時に資格をとったり、語学を磨いたりと就職に向けての準備を始める人は少なくない。バブル期の学生の頃よりもよほどしっかりしていると思うからだ。


しかしながら例えばGNP10%の成長は無理としても34%ほどの経済成長はしていかなければいけない。これは必須である。少子高齢化の時代に入り、社会保障政策を維持するだけでも予算は毎年1兆円以上も自然に膨らんでいく。消費税を10%に引き上げ、行財政改革を徹底的に行って無駄を省いても予算が足りないことは明らかである。従って成長のスピリットを失うと未来はないといえる。


今までは欧米を模倣することで未開の地を開拓してきたが、世界第3位の経済大国となった今、欧米を模倣しても未開の地を見つけることは出来ない。では何で経済成長をしていけばいいのか。それは人類が未だ踏み込んだことのない未開の地を開拓する以外に方法はないと思う。


自然エネルギーの開拓もその一つだと思う。環境技術、省エネ技術、工作機械や農業技術など日本は既に世界の最先端をいっている分野が多い。今問題のオリンパスの内視鏡にしても世界一である。これから必要に迫られるもの、現在、世界の最先端をいっている技術やその周辺の分野で、未だ人類が踏み込んだことのない新天地を開拓することが最も現実的ではなかろうか。


これでいい、かつてのような経済成長はどうせ無理と思わず、一人一人がまずは成長のスピリッツを持つことが大事ではなかろうか。


関連サイト

新渡戸稲造語録 http://bit.ly/xrrkZZ

柳井正(ユニクロ創業者)語録 http://bit.ly/wUTgvP

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2012-03-14 14:00:07

第212回_ 東日本大震災から1年(細野大臣)

テーマ:政治家

東日本大震災から1年が経過した。自然の猛威に対する人間の無力さを感じると同時に、被災地のために「何ができるか」を考え、多くの人が助け合いの精神を発揮して行動している姿に感動させられた1年でもあった。


しかし、1年経ってもまだ瓦礫の山がほとんど片づけられていないことに愕然とする。処理出来たのは全体の6%余りである。本当に日本は文明国なのかと疑いたくなる光景である。理由は単純で広域処理が進んでいないからである。被災地だけで瓦礫の処理をするのが不可能なので全国の自治体の首長に処理をお願いするも、首長は受け入れる気持があっても、一部の猛反対する住民を説得ができずにいるからだ。


反対する人達も瓦礫を受け入れることがいやなのではなく、安全であることが分かれば反対はしないはずである。問題は、政府は安全な瓦礫だけをお願いすると言っても、政治家や行政の言うことが信用されないことである。


これは今までの政府の震災や原発事故に対する対応のまずさがそうさせていると思うが、そもそも政治不信はそれより前の自公政権から積み上がってきたものだと思う。改めて政治は信用がないと一歩も前に進まないことを思い知らされる。ここは党派を超えた与野党の議員が力を合わせて信頼回復に全力を尽くすべきである。


しかし、ここ最近少し風向きが変わったと思うことがある。今、原発担当大臣として復興の皆の先頭に立っているのが細野豪志(ほそのごうし)議員である。細野大臣が瓦礫の処理が一向に進んでいないことに責任を感じて皆に必死に協力を求めた。


すると民主党内の国会議員が皆動き出し、地元の首長に瓦礫処理のお願いをして回る。それだけではなく、野党議員も動き出した。自民党の小池百合子元環境大臣が歴代の環境大臣を集結させ共同記者会見を開き瓦礫処理の受け入れをお願いした。そこで江田元環境大臣も細野さんの必死さに心を動かされて今日この記者会見に臨んでいると発言。また自民党の河野太郎議員も地元の神奈川県の黒岩知事が瓦礫の受け入れを表明したことをいち早く支持した。それだけでなくブログで何故、広域処理が必要か、何故安全なのかを詳細に説明している。国会議員でここまで細詳に説明しているブログは初めてだ。また議員宿舎で細野大臣に会いどう対応すればいいか色々とアドバイスもしているようだ。


党派を超えて政治家が被災地のために協力している姿は、政治家も捨てたものではないな、やれば出来るではないかと思えた瞬間であった。

与野党の議員が動いたのもひとえに細野大臣の人柄かもしれない。細野さんが昨年大臣になったのは39歳の時。戦後、二世議員ではなく30代で大臣になったのは田中角栄に次いで二人目である。


細野さんは菅前総理とも仲がいい、それでいて小沢元代表とも仲がいい。前原政調会長とも人間関係は良好だ。野党議員にも人間関係がある人が多い。そういうこともあってか不思議と細野大臣が国会で答弁に立つ時はあまり野次も飛ばない。


何故そんなことが分かるかといえば、実は細野さんは私が代議士の秘書をしていた時の事務所の先輩である。細野さんは28歳で初当選したのだが議員になる前に代議士の秘書をしていたことがある。細野さんが秘書を急遽辞めることになって、その後釜で秘書になったのが私であった。私が秘書となって国会の事務所で働くようになった時は、既に細野さんは事務所を辞めていたので引き継ぎなどで一緒に仕事をしたことはなかったが、政策通で物凄く仕事が出来る人という評判だった。その後、細野さんが衆議員選挙に当選し今度は議員として再び国会で働くようになってから同じ事務所の先輩後輩のよしみもあり、たまに食事をしたり、仕事の進路のことで相談に乗ってもらったりと、何かとお世話になった。


印象としては非常に優しい人である。そして人の悪口を言わない。少なくとも私は細野さんが人の悪口を言っているのを聞いたことがない(もちろん野党時代に政府の批判はしていたが)。さらにいうと偉くならい人である。ここが凄いと思う。政治家になった途端に偉くなる人は非常に多い。細野さんは今でも会えば「元気?」と向こうから声をかけてくれる。そういう人である。


最近も永田町で働いている人に細野さんのことを聞いてみると、仕事ができ与野党に敵が少ないという評判だが頷ける話である。


細野さんは元々、阪神淡路大震災でボランティアをしたことが政治家を志したきっかけであった、父親も農家出身のサラリーマン。国民目線をしっかりもっている政治家だと思う。批判を浴びながらも懸命に福島の人に気持を寄せている姿が目に浮かぶ。福島の人の心をきっと掴めると思う。そういった意味では細野さんの原発担当大臣起用はもっとも適材適所の閣僚人事だったのではないかと思う。


瓦礫処理の問題は今一度、日本人の国民性が試されていると思う。そもそも全国で瓦礫の処理を受け入れなければ被災地の復興が一歩も前に進まないことは誰もが分かっていることである。放射能は政府も検査するし、自治体でも検査する、反対している人達にも自ら検査をしていただくと言っている。これは非常にいい案だと思う。ここは政治家も国民も一体となって乗り越えていくべきだと思う。そして最後にスマイルズ(英国作家)の言葉を紹介して終わりたい。


「国民がしっかりしていれば政治もしっかりしていく。国民が無知で堕落していれば政治もひどいものになる。結局、国家の評価も国家の力も、その国の制度によるのではなく、その国民の質とレベルで決まることなのだ」サミュエル・スマイルズ(自助論)


関連サイト

細野豪志語録 http://bit.ly/zTGePl

河野太郎のブログ(瓦礫処理についての詳細)

http://bit.ly/AmArkr

http://bit.ly/yyv9KZ

http://bit.ly/xiOqU9

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