たまき雄一郎ブログ

衆議院議員玉木雄一郎のオフィシャルブログです。


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安倍総理は「TPPは、私たちの生活を豊かにしてくれます」と言うが、本当にそうなるのだろうか。

2年前の平成25年4月、衆参の農林水産委員会において、コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物の重要5項目については、「再生産可能となるよう除外または再協議の対象とすること」などを決議した。

そして、政府も自民党議員も、この決議を守ると言い続けてきた。

しかし、今回の合意内容は、この国会決議に反していると言わざるを得ない。

これは亡国の農政でないか?


以下、具体的に問題点を指摘したい。

まず、コメだ。

正直、コメでここまで譲るのかと驚いた。(注1)

今、安倍政権は、主食用米の生産を抑制して米価維持を図るため、多額の補助金を使って主食用米から飼料用米への転作を進めている。
それなのに今回の合意で、特別枠まで設けて主食用米を海外から輸入することになった。

つまりこれは、『日本の農家には家畜用のコメを作らせ、日本人が食べるコメは外国から輸入する』ということだ。
海外のコメは美味しくないから日本人は食べない?
海外の農家を馬鹿にしてはいけない。
儲かるなら必ず作って売りに来る。 

さらに問題なのは、政府は、米豪二国からの輸入分に相当する国産米を買い上げようとしていることである。
買い上げた主食用米は数年間備蓄した後で、安い飼料用米等として売却することになる。

そして、その差額は税金で穴埋めされる。
まるで旧「食管制度」が復活するかのような先祖返りの愚策だ。

こんな合意内容なのに、どうして「聖域」を確保したと言えるのか。

農家に対する裏切りだし、何より構造改革にも逆行する。


小麦についても、国内麦作は二重の意味で打撃を受ける。(注2)


牛肉については、現在の38.5%の関税が、16年目からは9%まで削減される。
ゼロにはならないものの極めて大幅な削減だ。

昨年7月に日豪EPAが締結された際、自民党議員は、両国で合意した関税引下げの水準(冷蔵牛肉で23.5%、冷凍牛肉で19.5%)が「レッドライン」であり、これより後退することは許されないと息巻いていた。
しかし、いとも簡単に突破されている。
大幅譲歩だ。
オーストラリアも、今後、日豪EPAではなく、より有利なTPPを利用してくるだろう。


豚肉については、もっとひどい。
差額関税制度は維持されるものの、分岐点価格(524円/㎏)以上の豚肉にかかる従価税については、現行の4.3%が10年目以降ゼロ%になる。
さらに、11年目にはセーフガードもなくなる。
分岐点価格以下の従量税の部分は、課税逃れや脱税が横行し、もともと国境措置として機能していない。
つまり、豚肉については事実上、関税障壁が消滅するのだ。

しかも、これで牛や豚の畜産農家が成り立たなくなれば、飼料の需要も減り、飼料用米の増産に軸足を移す安倍農政そのものが成り立たなくなる。


重要5項目だけではない。2日遅れで8日に出された農林水産省の資料はさらに衝撃的だった。
800を超える農林水産物の関税のうち半数の440項目で関税が撤廃されることが追加で発表されたからだ。
果汁、オレンジ、さくらんぼ等々だ。
農業総自由化と言っていい。

このように、今回の合意内容は国内農業全体へ大打撃を与える内容となっている。


自民党は選挙の際、
「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」
というポスターを農村部に大量に貼った。

自民党TPP選挙ポスター2012

有識者に日本の農業は大丈夫だと語らせているが、実際に彼らは農業をしている人たちと話をしているのだろうか?
ほんとうの姿を見ているのだろうか?

日本の国の農業のかたちをここまで壊すのか。

日本の風景は、どんどん変わっていくだろう。

あまりのことに体が震える。


(注1)
コメについて、関税そのものは維持しているものの、アメリカ向けやオーストラリア向けの無税の「特別枠」を設け、一定数量の主食用米を輸入することを約束した。
(アメリカからは最大7万トン、オーストラリアからは最大0.84万トンの合計7.84万トン)
年間消費量の約1%だが、毎年コメの需要が8万トンずつ減少している中で、ほぼ同量の7.84万トンの外国産米の輸入の影響は小さくない。
さらに、アメリカ向けには、既存のウルグアイ・ラウンドのミニマムアクセス米(MA米)の中にも、事実上のアメリカ向け特別枠として6万トンを新設することとした。

(注2)
アメリカ、オーストラリア、カナダに合計25.3万トンの輸入特別枠を設けることにし、さらに、事実上の関税である「マークアップ」を9年目までに45%削減することにしている。
この場合、安い外国産小麦の輸入は増えることに加えて、国内対策の財源に使われているマークアップも削減されるため、麦作農家向け「経営所得安定対策」の財源も不足することになる。
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