「共謀罪は治安維持法に匹敵、乱用の危険がある」海渡雄一弁護士
共謀罪は治安維持法に匹敵、乱用の危険がある!
16日の衆院法務委員会で「共謀罪」法案について、日弁連共謀罪法案対策本部副本部長である海渡雄一弁護士が共謀罪について治安維持法に匹敵する中身であり、決して強行採決することなく、法案成立断念すべきと語っています。テロ対策の条約締結のためと説明してきた政府ですが、これも条約当事者インタビューでテロ対策のものではないと昨日の報道ステーションでも報道され、ウソだったことがわかりました。共謀罪の強行採決は絶対に許されません。
赤旗 5/17
約300もの犯罪を共謀段階から処罰できる本法案は、刑法の原則を覆し、人々の自由な行動を制限し、国家が市民社会に介入する境界線を大きく引き下げます。
人と人とが、犯罪の合意をする手段は、会話、目配せ、メール、ラインなどのコミュニケーションそのものです。合意の内容が実際に犯罪に向けられたものか、実行を伴わない口先だけのものかの判断は、実行に着手されていない段階では大変難しい。
捜査で会話や電話、メールなど意志表明の手段を収集することになります。衆院予算委員会で金田勝利法相は、共謀罪を通信傍受の対象とするかは将来の課題だと明言しています。
本法案が必要として政府が強調し、テロ対策だとする国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の目的はマフィア対策・経済的な組織犯罪対策です。「テロリズム集団」との言葉を入れ込んでも、テロの定義はなく、法の適用範囲を限定する意味はありません。
政府は、条約のために長期4年以上の刑を定める全ての犯罪に共謀罪をつくる必要があるとの従来の立場を放棄しています。ならば、明確な基準を示して絞り込みの議論をしないといけないはずです。
中略
2007年の自民党検討小委員会案では、対象犯罪は128まで絞られ、自首の必要減免規定なども削除されていました。沖縄ですでに弾圧の道具に使われている威力業務妨害罪は除外されていました。本罪は構成要件が曖昧で、これ一つでも治安維持法に匹敵する乱用の危険があります。なぜ、このような極めて危険性の高い共謀罪が復活しているのか。組織的威力業務妨害罪、組織的強要罪、組織的信用毀損罪の共謀罪は削除すべきです。
ことは一国の刑事法体系を崩しかねない重要問題です。予備罪の整備だけで条約を締結しても、他国の例をみれば国際的に全く問題になりません。決して強行採決することなく、本委員会で審議を尽くし、人権保障と民主主義の未来に禍根を残す法案の成立は何としても断念していただくよう訴えます。