原価計算基準の改定はカネのかからない製造業振興策!?(櫻井通晴先生の論文から) | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

原価計算基準の改定はカネのかからない製造業振興策!?(櫻井通晴先生の論文から)

編集者時代にABCや戦略BSCなどの分野で散々お世話になった城西国際大の櫻井通晴先生が、久しぶりに月刊誌『企業会計3月号』に寄稿しておられるので、午後のひと時に拝読しました。
「原価計算基準の問題点」として、時代の変化への対応、財務会計制度との整合性、戦略策定への貢献ができるかどうか、という三点から丁寧に考察し、また、政府の原価計算基準改定の議論にかかる不作為にも言及。当面、プライベートセクターで改定にかかる議論を始めようではないか、と結んでおられました(原価計算基準は1962年に大蔵省企業会計審議会により定められて以来、一度も改定されていません)。
昭和後期から平成にかけて、常に管理会計や原価計算の分野を牽引して来られた大先生です。「原価計算基準のリニューアルを推進し、日本経済再生に寄与したい」という思いが痛いほど伝わって来ました。
もとより日本企業は製造業、ものつくりを得意とし、その先の展望では欧米はおろか、アジア諸国の後塵を拝しています。その背景には、原価計算基準の古さ、時代錯誤さがないでしょうか!?
原価計算基準のリニューアルはほとんど金のかからない製造業振興です(櫻井先生は金融業やソフトウェア産業等にも言及)。「ものつくり大国」を誇り、世界のIT製品の部品は日本製、と胸を張るのもいいとはおもいます。しかし、それではまるで「世界の下請け」ではないか、と思えるのです。
地方の一首長のつぶやきではあるものの、この駄文をご覧いただいた国政関係者のどなたかが原価計算基準のリニューアルを国に働きかけてくれたら、日本の製造業復活の起爆剤になるかもしれないですよ、と申し上げて偉大な碩学の久々の論文への感想を結びます。