竹取物語の謎を「うら」読みで解く

かぐや姫は、なぜ竹から生まれて月に帰るのか?
かぐや姫、竹取翁…、名前は何を表すのか?
蓬莱の玉の枝、火鼠の皮衣…、宝物に隠された意味とは?


竹取物語の求婚難題の 宝物は五行に対応 *していると考えられました。
それでは、求婚話の内容はどうでしょうか。

あらすじ *でもご紹介しましたが、五つの話をもう少し詳しく見ていきましょう。
最初は石作皇子です。
短い話なので、現代語訳をつけました。ブログトップのかぐや姫の絵を描いてくれた あおい さんのイラストつきで、どうぞ。

なおも、この女(かぐや姫)と結婚しなければ世にいられない心地がしたので、「天竺にある物も、持ってこられないものだろうか」と思いめぐらします。石作皇子は、心づもりをする人です。「天竺に二つとない鉢を、百千万里の道程を行ったとしても、どうして取ることができよう」と思って、かぐや姫のもとには「今日は、天竺へ石の鉢を取りに行かせていただきます」と知らせて、三年ばかり。
大和の国十市の郡にある山寺の賓頭盧(ビンズル※1)の前にある鉢で、まっ黒にスス墨がついたのを取って、錦の袋に入れて造花の枝に付けて、かぐや姫の家に持ってきて見せました。

かぐや姫が怪しがって見ると、鉢の中に文(手紙)があります。広げて見れば、

石作皇子
  海山の 道に心を つくしはて ないしのはちの 涙ながれき
  (海山の道に心を尽くしはてた、竺志〈ツクシ〉の果て。
  無い石の鉢に血の涙が流れました。※2)

かぐや姫が「光はあるかしら」と見ると、蛍ほどの光すらないのです。
かぐや姫
  置く露の 光をだにも 宿さまし をぐらの山にて なにもとめけむ  (置く露の涙の光だけでも宿していたらよかったのに。
  小暗い〈晦い〉山で何を求めたのですか。※3)
といって、鉢を返して出しました。

 

 

皇子は鉢を門に捨てて、この歌の返しをします。

 石作皇子
  白山に あへば光の 失するかと はちを捨てても 頼まるるかな
  (鉢は光っていたのに白山のように輝くあなたに会ったので
  光が失われたかと、鉢を捨てても頼みとしています。) 


と詠んで入れました。
 
 
 かぐや姫は、返歌もしなくなりました。
耳にも聞き入れなかったので、皇子は言いあぐねて帰ってしまいました。

あの鉢を捨てて、また言い寄ったことより、臆面もないことを「はぢ(鉢・恥)を捨てる」と言うのです。


以上、石作皇子の求婚話でした。

石作皇子は、あれこれと思いをめぐらす人ですが、それにしては思慮が足りません。
天竺に行くと言って行かないばかりか、持ってきた鉢もすぐに見抜ける贋物というお粗末さでした。
かぐや姫を見くびっていたようですね。
対して、和歌は大げさで、たいそう凝っています。

言葉は立派だけれど、行動や実態が伴っていない人物。
すなわち、信用できない人として描かれているのです。

ここで、宝物、仏の御石の鉢を思い出してみましょう。
五行では土に対応すると考えられました。
五行説 *は、人間の感情や徳目も五つに関係づけています。
土に関する感情は、徳目はとされます。

つまり、石作皇子の求婚話は、話の内容そのものが五行のを現している 考えられるわけです。

(和歌から読み取られることを下の※注記に書きました。
 訳に、見慣れない漢字を使った理由をご説明しています。
 ご覧下さいませ(^-^)/  ) ☪


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庫持皇子のお話です。

※1 賓頭盧:釈迦の弟子、十六羅漢の第一尊者。

※2 この石作皇子の和歌は掛詞を多用しており、細部については見解も分かれます。
片桐洋一先生の訳:石の鉢を求めるために、筑紫を出発してから天竺までの海路山路に、精魂をつくしはて、果てない旅をつづけ、ほんとうに泣きの涙、血の涙まで流れたことでしたよ。
野口元大先生の訳:海を越え山を越えて遥かな道中に辛労辛苦をし尽くして泣き、石の鉢のために血の涙が流れたことでした。
今回は、以下に示す井之亀の独自の解釈も盛り込んで訳しました。
「つくし」:竺志は筑紫(つくし)の表記の一つ、九州。 「尽くし」に「筑紫」を掛けるのはやや無理との意見もありますが、井之亀は掛詞とする解釈に賛成します。また、掛詞の訳に「竺志」の表記を提案するのは、心→志、天竺→竺志(紫)と漢字も似てくるからです。
「ない」:「泣き」とされますが、むしろ「無き」の掛詞として、「竺志(天竺も暗示)の果てにも無い石の鉢」と解釈。

※3 をぐらの山:定説は、大和国十市郡の倉橋山の峰を小倉と呼んだことにより「小倉山」と解釈し、かぐや姫が石作皇子の行動を見透かしていたことになるが、他の求婚話では かぐや姫は騙されそうになることもあるので矛盾している、とも解説されます。
井之亀は、「小倉山」は暗示であって、表面上は「小暗い山」と解釈していいと思います。
光に対してただ暗いだけでは面白くないとの批判がありますが、漢字の「海」は語源的に「晦(やみ、くらい)」に通じるとされているので、石作皇子の第一句「海山」を受けて晦山→「小暗の山」としたものでしょう。
それが大和国十市郡の小倉を連想させるので、語るに落ちた皇子、嘘から出た実をほのめかしていて、気づいた読者が面白がるという想定ではないでしょうか。これをもってかぐや姫の設定に一貫性が欠けるとするのは、やや勇み足ではないか、と考えています。

参考文献:
 片桐洋一、他(校注・訳)
 『竹取物語 伊勢物語 大和物語 平中物語 日本古典文学全集8』小学館、1972年。
 野口元大(校訂)『竹取物語 新潮日本古典集成 第26回』新潮社、1979年。
 阪倉篤義 校訂『竹取物語』岩波文庫1970年。 

紫字*:リンクあり
                   
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