竹取物語の謎を「うら」読みで解く

かぐや姫は、なぜ竹から生まれて月に帰るのか?
かぐや姫、竹取翁…、名前は何を表すのか?
蓬莱の玉の枝、火鼠の皮衣…、宝物に隠された意味とは?

古典には、ときどき「うら」が隠されています。

本音が言えないとき、表はうまく書きながら、さりげなく秘密を潜めたりします。


隠し方は、けっこう常識的です。 わかる人には、わかってほしいのですから。


 例えば、竹と月が並べば、かぐや姫を連想できるでしょう。

そんなふうに、お互いに知っていることを使っています。


もしも、古代の人たちの常識を私たちが知らなかったら、通じません。

  千年前に、カボチャとガラスの靴と言っても ??? になるのと同じです。

古典の謎のいくつかは、案外それで解けるかもしれません。


ではご一緒に、「うら」読みの世界へ。


テーマ:
求婚話が記紀神話を「本話取」* しているならば、竹取物語の性格理解も変わってくる、と論じました。
では本当に、これらの話は記紀神話を下敷きにしているのでしょうか。

土の章と木の章* は、段落分けや長さがよく似ており、扱う内容も類似するところがあるのでしたね。

庫持皇子の求婚話には、さらに注目される箇所があります。それをみるために、記紀神話のアメノワカヒコを語る一書(あるふみ)を読んでみましょう。

…(アメノワカヒコの葬式に、友人のアヂスキタカヒコネノカミがやってきます。そっくりだったので、妻子がアメノワカヒコはまだ生きていたと喜びました。アヂスキタカヒコネノカミは死人と間違えられて怒り、喪屋を切り倒しました。)

アヂスキタカヒコネノカミはうるわしく、二つの丘と谷の間に照り輝きました。
そこで、喪に集まった者が歌って、あるいはアヂスキタカヒコネの妹のシタデルヒメ(紀:下照媛)が集った人にアヂスキタカヒコネノカミと知らせたいと思って歌うには、

 天なるや 弟織女の頸がせる の御統(みすまる)の あなはや み谷 二渡らす 味耜高彦根 
  [天にいる 若い織女の 首にかけている 連なった玉 穴玉よ。谷二つをお渡りになる アヂスキタカヒコネ] 

また歌って、

 天離る(あまさかる) 夷つ女の い渡らす 迫門(せと) 石川片淵 (略)
  [天から離れている〈枕詞〉田舎の女が 渡る 迫門 石川片淵 (略)] 

この両首は、今、夷曲といいます。…
 


二首出てきて、前で「玉」とアヂスキタカヒコネを歌い、後は「天離る(あまさかる)…」と歌っています。

タマ、アマサカル。

おや、どこかで聞いたような。

タマサカル、竹取物語の庫持皇子の求婚話の落ち* は「たまさかる(魂離る)なのです。


竹取物語の「たまさかる」は意味が取りにくく、誤写として改変されることもあるほどですが、記紀神話から取ったとすれば、諸本のとおり「たまさかる」で正しかったと考えられます。
庫持皇子の探した蓬莱の玉の枝の「玉」にも掛けながら、アヂスキタカヒコネの「天離る」への連想を狙ったのでしょう。

やはり、木の章は、国譲りのアメノワカヒコの話を「本話取」している と思われます。



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火の章も、国譲りに似ているのでしょうか。



参考文献:
 小嶋憲之他(校注・訳)『日本書紀 新編日本古典文学全集』小学館、1994年。
 野口元大(校注)『竹取物語 新潮日本古典集成』新潮社、1979年。
 片桐洋一、他(校注・訳)
 『竹取物語 伊勢物語 大和物語 平中物語 日本古典文学全集8』小学館、1972年。

イラスト:あおい

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