10月の末から11月はじめにかけて、骨粗鬆症の勉強会が沢山ありました。

今年「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2006年版」というものが出来上がったため、ほとんどがそのガイドラインに関する話でした。


これまでの骨粗鬆症の診断・治療に関してのガイドラインは、骨密度測定(骨の量を測る検査)を中心に考えられていました。しかし、骨密度が同じでも、骨折を起こしやすい人と起こしにくい人がいます。これには骨密度という骨の「量」以外に、骨の「質」という問題が関与していると考えられています。しかし、今のところ骨の「質」を測ることはできません。ただ、統計学的に、「同じ骨密度でも骨折を起こしやすいのが、どのような人なのか」を調べると、結果的にどのような人が骨折を起こしやすい骨の「質」なのかを推定することができます。


今回ガイドラインに盛り込まれた、骨折を起こしやすい骨の質を持つ人は、

①これまでに交通事故や転落事故のような強い外力を受けずに、骨折を起こしてしまった人(例えばしりもちをついただけで、背骨の骨折を起こした人など)・・・脆弱性骨折といいます

②過度のアルコール摂取(日本酒換算で1日2合以上)

③現在喫煙中の人

④血のつながった家族が、大腿骨近位部骨折(太ももの付け根の骨折)を起こした人

⑤高齢の人

です。これまで通り骨密度の測定にこれらの項目を加えて、骨粗鬆症の治療が必要かどうかを判断します。


骨粗鬆症の診断・治療の一番大事な目的は、骨折を予防することです。骨粗鬆症が進むと、軽いしりもちや、場合によっては立ち上がった拍子など、ちょっとしたことで骨折を起こしてしまいます。骨折を起こせば、治療すればよいと思われるかもしれませんが、簡単に折れる骨は、そう簡単には引っ付きません。骨折を契機に寝たきりになったり、認知症になったりするのは珍しいことではないですし、死亡率を上げる原因にもなります。


現在、日本には約1100~1200万人の骨粗鬆症患者さんが存在すると言われていますが、実際に治療を受けている人はその1/4から1/5程度だそうです。もちろん、「骨粗鬆症と診断されたとしても薬を飲みたくない」という方針の方も居られるでしょうし、薬を飲んだからといって、絶対に骨折を起こさないわけではありません。最近のデータを見ると、骨粗鬆症の治療を受ければ、骨折の危険率を30~50%下げることができるようです。


また、治療に用いる薬ですが、この数年間でどんどん進んでおり、1週間に1回だけ飲めば効果がある薬なども出てきています。骨折予防や骨粗鬆症からの痛みに対しての効果も、以前の薬よりも明らかに強くなっています。


骨粗鬆症が進んでしまうと、元に戻すことは不可能です。気になる方は、早めに医療機関に掛かりましょう。

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