インフルエンザワクチン

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「何で整形外科医がインフルエンザなんだよ」と思われた方も多いでしょう。整形外科医はインフルエンザとは無縁であると思われがちでしょうが、インフルエンザワクチンの接種はかかりつけの患者さんに責任を持って行なわなければならず、よく勉強しておく必要があります。

65歳以上の方はワクチンの接種の一部を公費で負担してもらえますが、その接種期間が10月15日から12月31日となっています。それに向けて、今日たけもと整形外科クリニックの職員に対しての勉強会を開きました。その内容をみなさんにも紹介しておきます。



インフルエンザについて


 インフルエンザウイルスによる感染症で、ウイルスのタイプには「A型」、「B型」、「C型」がありますが、C型は人に対して重篤な症状を起こすことはまずないようです。B型と比較すると、A型は変異することが多く、流行する範囲も広くなります。インフルエンザは伝染力が強く、短期間に集中して百万人単位で大勢の人が罹患するために、社会活動にも大きな影響を与えます。


 一般にインフルエンザは、感染後1~2日の潜伏期間の後に38度以上の発熱をもって突然発症し、初期には頭痛、全身倦怠感(全身がだるい感じ)、関節痛、筋肉痛などの強い全身症状を示すことが特徴です。その後咳、痰などの呼吸器症状が現れて、通常は1週間以内に回復します。

 感染力を持つ(人にうつしてしまう)のは発症後1週間で、特に発症後3日間は感染力が強いようです。


 65歳以上の高齢者、乳幼児、妊婦、さらに年齢を問わず呼吸器系や循環器系に慢性疾患を持つ方、糖尿病などの代謝性疾患、慢性腎不全などの腎機能異常、免疫低下の患者さんなどでは、インフルエンザに罹患すると、入院を必要とする肺炎・気管支炎などの重篤な合併症がもたらされ、さらには死亡する危険性が数倍から数百倍にも増加すると言われています。



インフルエンザの予防


 人ごみを避ける、インフルエンザ患者さんとの接触を絶って感染の機会を減らす、寒気をさけて十分な栄養と休息をとって体力を保つ、うがいや手洗いを励行するなどが一般的な予防方法です。

 また、インフルエンザ予防対策の中心は、インフルエンザワクチン接種であるということが世界的に広く受け入れられています。



インフルエンザワクチンについて


 インフルエンザワクチンは、ウイルスに対する感染防御や発症阻止の効果は完全ではありません。したがって接種していてもインフルエンザに罹患する可能性があります。また、インフルエンザワクチンは「かぜ」の罹患に対しては効果を示しません。(かぜを引き起こすウイルスはインフルエンザウイルスではありませんから当然です)


 アメリカの報告ではワクチン接種によって65歳未満の健常者のインフルエンザの発症を70~90%減らすことができるといわれています。また、老人施設の入居者の発症を30~40%、肺炎やインフルエンザによる入院を50~60%、死亡する危険を80%、それぞれ減少させることができるとされています。つまり、ワクチンを接種していてもインフルエンザに罹ってしまうことがありますが、重篤な合併症や死亡の危険性を減少させる効果もあるということでしょう。


 反対にインフルエンザワクチン接種により重篤な副作用が発現する確率は100万分の1程度と言われています。効果と危険性を考えて、接種するかどうかは自分の意思で決めるべきでしょう。


 ちなみに我が家は毎年、家族全員接種しています。



インフルエンザワクチン接種の時期と方法


一般にインフルエンザワクチン接種後効果が現れるのに約2週間、有効な防御免疫の持続期間が3~5ヶ月と言われています。インフルエンザの流行は年や地域によって差がありますが、日本では1月上旬から3月上旬に流行することが多いようです。これらを合わせて考えると、11月ごろを中心に(遅くとも12月中旬までに)接種することが薦められます。


 接種回数は13歳未満はおよそ1~4週間の間隔をおいて2回。13歳以上は1回または13歳未満と同じように2回とされていますが、前年に接種を受けられている方やインフルエンザに罹っている方は1回で良いようです。


 他の予防接種を受けている場合、生ワクチン(ポリオ、麻疹、風疹、BCG)であれば4週間以上、不活化ワクチンやトキソイドワクチン(DPT、DT、日本脳炎)であれば1週間以上間隔をおけば接種可能です。また、インフルエンザワクチンは不活化ワクチンなので、接種後は1週間以上間隔をおけば他のワクチンを接種しても構いません。


 ワクチン接種に問題となるのは、他の急性疾患にかかっている場合、卵アレルギー(インフルエンザワクチンを作る段階で鶏卵をしようするため、鶏卵の成分が少量含まれるようです)、過去にインフルエンザワクチン接種後アレルギー反応を起こした人、免疫不全の診断を受けている人、けいれんを起こしたことがある人、などがあります。該当する方は主治医とよく相談しましょう。

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