変形性膝関節症

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変形性膝関節症とは


変形性関節症は、整形外科外来の中で最も多い疾患です。中でも代表的な関節は膝。他にも股関節や肘関節のほか指の関節まで、あらゆる関節に見られます。今回は変形性関節症の中で最も多い膝について書きます。


関節では、骨の表面は「関節軟骨」というものに被われています。この軟骨は本来表面がツルツルしていて弾力性があり、関節のクッションとしての役割と、関節運動時の摩擦を軽減する役割を担っています。


しかし、年齢とともに(20代の後半からと言われています)軟骨の変性(徐々に傷んでくること)が進み、軟骨の弾力性が減り、関節運動時の摩擦も多くなり、さらには軟骨が磨耗して骨に負担がかかるようになります。こうなると骨は反応性に外に向かってトゲを出すように変形してきます。これが変形性関節症という名前の由来です。



変形性膝関節症の症状


最も代表的な症状は関節の痛みです。


初期には安静時痛はあまり認めず、運動時痛、特にしばらく関節を動かさずにいた後、動かし始めの痛みを訴える方が多いようです。例えば、夜中にトイレに行こうと歩き出した時、朝目が覚めて動き始める時、乗り物に長時間乗った後立ち上がろうとした時などです。動いていると徐々に痛みが減ってくる場合が多いです。

関節軟骨がツルツルしてみずみずしい間は関節液(関節の潤滑油のような働きをします)もなじみやすいのですが、関節軟骨が変性してけば立ってきたりデコボコになってきたりすると関節液がなかなかなじまず、動いているうちに徐々になじんできて痛みが治まるという理屈です。


また、階段や坂の昇り降り、立ったり座ったり、しゃがんだり和式トイレに座ったり、正座をする時に痛みを感じやすいようです。関節は伸ばしているときよりも曲げているときのほうが強い力がかかるようにできているのと、曲げていくと関節の接触面積が小さくなることが主な理由です。


病気が進行すると軟骨がなくなり、骨同士が当たりだすところも出てきます。すると関節を動かすと「ゴリゴリ」と音がし始め、強い痛みを生じます。関節は次第に曲がりにくく、またまっすぐに伸びにくくなってきます。もっと進むと骨まで削れ始め、関節の歪みを生じます。O脚(人によってはX脚)が有名です。


変形性膝関節症の診断


病期の診断は主にレントゲンで行ないます。

レントゲンで骨は白く写るので骨の変形はよく分かりますが、軟骨は写りません。したがってレントゲンを撮ると、残っている軟骨の厚みの分だけ関節の間にすきまが写ります。

膝レントゲン

膝の場合には、寝てレントゲンを撮ると関節に隙間があいてしまい、軟骨の厚みなのか、関節の間にあいたすきまなのかが判断できなくなるので、細かく診断するためには立ったままレントゲンを撮る場合もあります。


変形性膝関節症の治療


治療の第一はダイエットです。具体的には当院HPのダイエットのページへ。(http://homepage2.nifty.com/takemotoseikeigeka/diet.htm

膝には体重の約3倍の力がかかるそうですから、ダイエットの効果は大きいはずです。


次に大事なのが、膝を安定化してくれる大腿四頭筋の強化です。これは太ももの前側にある膝を伸ばす働きをする筋肉です。毎日30分程度、散歩・ウォーキングをするなどの運動ができている方はそれでいいと思いますが、痛みのために運動できないという方は無理のない運動を相談したほうがいいでしょう。散歩・ウォーキングをする場合には、坂道や階段を入れないように注意してください。


日常生活の注意として、保温も大事です。服装に注意し、場合によってはサポーター・カイロ(低温やけどに注意)などを用いて、患部を冷やさないように注意しましょう。ホットパックや電気をかけるリハビリ、温泉も気持ちがいいようです。
また、和式トイレの使用や正座など、痛みを生じるような動作はできるだけ避けたほうが良いでしょう。時々「膝が曲がりにくくなったから、毎日曲がるように訓練している」という方がおられますが、これは害のほうが多いと思います。変形性関節症は加齢現象とも言える変化なので、対抗しようとするのは無茶です。今の状態を受け入れて、大事に長持ちさせるように使ってあげましょう。


痛みを軽減する治療には、外用薬、内服薬、注射、手術があります。

外用薬とは平たく言えばシップや塗り薬、スプレーなどです。

昔は温シップ・冷シップという分け方が一般的でしたが、これらのシップには実際には患部の温度を上げたり下げたりする力はほとんどありません。温感シップ・冷感シップという名前が正しいかもしれません。

今主流のシップは、鎮痛効果のある薬が入っているシップです。大きさ・タイプともに沢山出ていますから、自分の肌に合った、よく効くと思うものを使えばいいでしょう。「やっぱりワシは温シップがええんじゃー」という方には、私は喜んで温シップを出します。

外用薬を使う場合には、かぶれには十分注意しましょう。シップによっては、はった所を直射日光に当てるとかぶれやすい物もあります。また、直射日光ではなくてもはったところを暖めすぎたり、汗をかいたりするとかぶれやすいようですよ。


内服薬とは痛み止めの飲み薬。痛みを多少抑えることはできても、膝を若返らせる薬はありません。ヒアルロン酸や鮫の軟骨など、飲んだら磨耗した軟骨がよみがえるかのようなCMをよく見ますが、そんなに効果がある薬なら病院から出される薬として認められないわけがありません。効果のないものが売られていることに憤りを感じますが、医薬品でなくサプリメント・健康食品として扱われているところがミソのようです。最近は、「売っている人も悪気があって売っているのではなく、勉強不足のために効くと信じて売っているのだろう」と考えるようにしています。


注射には痛み止めの注射と関節の保護を目的とした注射の2種類があります。

痛み止めの注射は一時的によく効きますが、続けすぎると関節を余計に傷めてしまう場合があり、必要最低限にするよう注意が必要です。

関節を保護する注射とは「ヒアルロン酸」です。これは内服でなく関節に直接注射しないと効果がありません。ただ、痛み止めの注射のようにすぐに痛みが治まるのではなく、効果の出現に時間がかかる場合が多いのと、3~4人に1人の割合で効果が出ない人がいます。しかし、副作用が少なく安全性が高い注射であることから、再々用いられます。


今まで述べたような治療で効果が得られないような場合には、手術を行なうこともあります。一般的な手術は人工膝関節形成術。骨の関節部分を切り、人工の関節を入れます。時期によっては骨を切りO脚(またはX脚)を矯正をするような手術を行なう場合もあります。



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