数日前の情報だが、「共喰い」は20万部を突破したという。
純文学としては、いや、出版不況の現代にあって、単行本全体として考えてもこの数字は異例中の異例だろう。
その原因の多くは、田中さんの、「貰っといてやる」会見にあることは皆さん周知のことだ。
自分は、比較的文学が好きな人間なので、芥川・直木賞の作品は大抵読む。
なので、自分の場合会見と、本を手に取った関連性は、あまりない。
けれど、今の時代、20万部を売るためには、「飛び道具」的なものが必要だということなのだ。
田中さんは、その後、いくつかの新聞等で、あの会見のことを振り返っている。
極めて、常識的なことをジェントルに綴っている。
このバランス感覚はとても大事だろう。
そうでなければ、いつまでもあの会見だけが尾を引くことになる。
でも、残念ながら、田中さんの振り返りコラムを読んでいる読者は多くはあるまい。
そして「共喰い」が20万部とは言え、あの会見を目にした人の数と比較すれば、ごく僅かである。
そこがメディア、特にテレビの特徴でもある。
多大な影響をごく短期間に受け手に与える。そして、そのイメージを払しょくするためには、多くの手間・時間を要するのだ。
でも、これだけ売れたのは「テレビ」の力が少なからず働いているのだが・・
ぜひ、何よりも「共喰い」を読んで頂きたいと思う。
ドスンと来る。
しばらく、動くことがためらわれるほどに、体が重い感動で支配された。
この種の感動は、他のメディアで得られることはあまりない。
文学だからこそ、の感動ではないかと思う。
是非多くの人の目に触れればいいと思う。
特に、あの会見しか田中さんのことを知らない人々に・・。
会見のインパクトなど吹き飛ぶくらいの強さが作品の中にあることを発見するだろう。


