薮下哲司の宝塚歌劇支局プラス

映画・演劇評論家の薮下哲司(元スポーツニッポン特別委員)が宝塚歌劇はもとより映画、演劇など幅広い分野のエンターテイメント情報をお伝えしていきます。


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月組次期トップ、珠城りょうのプレお披露目全国ツアー公演「激情」―ホセとカルメン―
「Apasionado‼Ⅲ」が19日、大阪から開幕!

9月4日付で龍真咲が退団するのにともなう月組次期トップスターが珠城りょうと発表されたが、その珠城が主演する全国ツアー公演、ミュージカル・プレイ「激情」―ホセとカルメン―(柴田侑宏脚本、謝珠栄演出、振付)とファナティック・ショー「Apasionado‼Ⅲ」(藤井大介作、演出)が、19日、梅田芸術劇場メインホールからスタートした。今回はこの模様を報告しよう。

前回の月組公演で珠城の二番手が確定、その後龍の退団発表があり、珠城の次期トップ就任も時間の問題と思われていたが、公演直前の発表となり、超満員となった初日の会場は、お祝いムードであふれ、開幕前の珠城の公演アナウンスには大きな拍手が沸き起こった。

珠城は2008年初舞台の94期生。同期生には月組の早乙女わかば、星組の麻央侑希らがいる。当初から長身の凛とした佇まいに堅実な歌唱力と演技力が買われ、研3のときに「SCARLET PINPARNEL」新人公演で主役に大抜擢。その後も「エドワード8世」「ロミオとジュリエット」「ルパン」と新人公演の主演に断続的に起用され、バウ公演も「月雲の皇子」「Bandito」と二度主演を演じるなど順調にスター街道を歩んできた。入団9年目とは思えない地に足のついた安定感がこの人の身上。研9でのトップ就任は、最近では研7でトップとなった天海祐希以来のスピード出世となる。

その珠城がトップ就任前に全国ツアーで主演する、プレお披露目公演は芝居、ショーとも再演もの。「激情」は、ビゼー作曲のオペラで有名な「カルメン」のミュージカル版で、原作者メリメの視点からドン・ホセを中心にしたストーリー。1999年に姿月あさと、花總まり時代の宙組で初演、2010年に柚希礼音、夢咲ねねの星組で全国ツアー作品として再演され今回が3度目。

実直な青年が自由奔放な女性と激しい恋に落ちるというストーリーは、月組としては前回の「舞音」で見たばかり。ヒロインが同じ愛希れいかということもあり、またかという感じがなきにしもあらずだったが、カルメン役の愛希が「舞音」のマノン以上に素晴らしく、歴代の二人をしのぐほどのうまさで、若い珠城を見事にサポートした。

珠城は、ホセの純粋な部分を素直な演技でストレートに表現、前半はみていても安定感があり安心して見ていられた。雰囲気的にバウ公演「Bandito」のサルバトーレ・ジュリアーノも思いださせた。ただ中半から山賊の仲間に入り、カルメンと許嫁のミカエラ(早乙女わかば)とのあいだで葛藤する部分あたりの心理描写がやや浅く、カルメンを刺殺してしまうラストのクライマックスがいまいち感情移入できなかった。魔性の女性の魅力にどんどんおぼれていくというこの手のストーリーを宝塚的な純愛でまとめるのは至難の技。姿月、柚希でさえも難役だった、珠城もそのあたりの微妙な感覚はまだまだだったが、珠城の若さは一番の武器でもあり、これからまだまだ進化していく予感がした。

一方、カルメン役の愛希は、相手役が上級生の龍ではないということもあるのかもしれないが、のびのびと演じていてそれがまさしくカルメンそのもの。フラメンコを踊る場面など、その卓越したダンステクニックで目が釘づけになるほどだった。作品ごとにどんどん魅力的な娘役になっていく、まさに今が旬だ。次回の大劇場がおおいに楽しみだ。

メリメ役は凪七瑠海。若手の珠城をサポートする側にまわったが、メリメ役と山賊のリーダー、ガルシアも演じているのだが、この二役がどちらもこれまでの凪七のベストともいうべきグッドパフォーマンス。原作者としてホセの魅力を語るメリメの一言一言に説得力があり、主役を立てながらも凛とした佇まいで自身も強烈にアピールした。ガルシアの男くさい演技も、珠城と対照的な大人の魅力と貫録で見せた。こんな凪七をもっと早く見たかったが、いまからでも決して遅くはない。今後も若い珠城を支えていいサポートをしてほしい。

あとはミカエラの早乙女わかばとエスカミリオの暁千星が大きな役。早乙女は「風と共に去りぬ」でいえばメラニー的な役どころのミカエラを心込めて印象的に演じ好演。暁は歌やダンスの切れはいいが、男役としてはまだ少年っぽいところが抜けきれず、カリスマ的な闘牛士エスカミリオというにはちょっと幼すぎる感じ。宝塚の二枚目男役としての資質はあるのでこれからに期待したい。

ジプシーのダンカイレを演じた輝月ゆうまのうまさが際だったのと、ジプシーたちと対立する実業家を演じた蓮つかさがワンポイントだが印象的だった。

一方、ショーも2008年、瀬奈じゅん時代の月組で初演、2009年に宙組の大空祐飛のトップ披露として博多座で再演、2012年に中日劇場でも上演された人気作。氷の女王レイナに扮した愛希のダンスがイントロとなって幕が開くと巨大なマントに包まれた珠城が登場、マントが引き抜かれ、かっこいい男役に変身するおなじみのプロローグから、男役スターが全員女に扮して歌い踊る熱帯夜など懐かしいシーンが連続。珠城を中心に凪七、宇月颯、暁らが大車輪で活躍のショー。ここでも愛希の活躍が際だち、百獣の王ライオンに扮した珠城とメスシマウマに扮した愛希のダンスが一番のみどころ。芝居といいショーといいトップ娘役愛希がメーンの公演といってもいいぐらいだった。

©宝塚歌劇支局プラス3月21日記 薮下哲司


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