タカラジェンヌの原石たちが2年間のレッスンの成果を披露する宝塚音楽学校第103期生文化祭が、2月25、26の両日、宝塚バウホールで行われた。今回はこの模様をお伝えしよう。

 

今年は、スケジュールの都合で26日の最終回を観劇。関係者席には専科の松本悠里はじめ歌劇団演出家の藤井大介氏らの姿が見えるなか、定時の4時きっかりに始まった。

文化祭自体の中身はこれまで通り。第一部は「日舞、予科生コーラス、クラシック・ヴォーカル、ポピュラー・ヴォーカル」(三木章雄構成、演出)第二部が演劇(正塚晴彦作、演出)、第三部がダンスコンサート(三木章雄演出)と続く。103期生40人は4月21日からの雪組公演から初舞台を踏むことになっており、芸名はまだ発表されておらず、以下本名のみで記す。

日舞は恒例の「清く正しく美しく」から。ヴォーカルのソロは主席の芹澤佳夏さん。好きな言葉が「元気一杯」というだけに明るい表情と澄み切った歌声で魅了、一新された振付で、扇づかいも見事にそろった。

 

続く104期生40人による予科生コーラスは、「機織る星」とアンジェラ・アキ作詞、作曲の「手紙」の2曲。一糸乱れぬ耳に心地よいハーモニーを披露した。

 

ヴォーカル部門トップバッターは美和優里花さん。オペレッタ「微笑みの国」から「君はわが心のすべて」を歌ったが、雪組トップ、早霧せいなの若い頃を思わせる容貌で、一瞬、早霧が出てきたのかと思わせた。続いて奥切愛美さんがオペラ「トゥーランドット」から「誰も寝てはならぬ」を披露。いずれも日頃の成果をきちんと歌いこなしたが、奥切さんの男役ならではの低音の発声が際だった。ポピュラー・ヴォーカルは、新旧の宝塚の名曲メドレー。まずは「タカラヅカ・グローリー」を元花組の霧原翔子の長女、小川あき野さん、大川真奈さんら全員で歌い、勝間爽さん、川添紗世さん、雑賀ミウさん、長崎里保さんら4人の男役による「ハロー・タカラヅカ」へ。ここでも「ブラックジャック」の「かわらぬ思い」を歌った美和さんが印象的。「One Heart」を歌った大川真奈さんのなめらかな低音も魅力的。「ラ・ラ・ファンタシーク」の名曲「愛の宝石」は小川さん、「丘の上のジョニー」は奥切さんが歌って、ラストは小川さんがオブリガートソロを務めて「タカラヅカフォーエバー」で締めくくった。奥切さんを頂点として全体的に歌唱力が向上していている印象だった。研1の雪組生、一禾(いちか)あおの双子の妹、井上奈美さんは「メモアール・ド・パリ」を娘役4人で歌った。

 

 

 

第二部の演劇「A MONOLOGUE VolⅢ」は、正塚氏の稽古場シリーズの第三弾。若い俳優たちが課題の稽古をしながら、成長していく姿を追う。彼らが演じているのは、中世ヨーロッパの貴族社会を舞台にした恋愛もの。それぞれに与えられた役柄をさまざまなパターンで練習する内に、作品の中身がいろんな色に染まっていく。

 

最終日の4時の回はB組20人の出演。主要メンバーは4人で、主演の王子ロベールは広田有希乃さん。ロベールの影が長崎さん、恋人のフラウが龍田実可子さん、わがままな姫君リディアに米沢知夏さんといった配役。その他のメンバーも全員舞台上の両サイドの椅子で待機、御者や護衛役などで随時登場する。

 

ロベールを演じた広田さんは長身で立ち姿が美しく、衣装映えがするほか台詞の口跡もクリアで、清新な男役として活躍が期待できそうだ。相手役を演じた龍田さんも、娘役としてはかなり背丈があり、押し出しもある大型娘役だ。リディアの米沢さんの芝居心のある演技にも注目。

 

ちなみにA組はロベールが大川さん、影が白石彩果さん、フラウが山本彩加さん、リディアが西田侑蘭さんが配役されている。エンターテイメントジャーナリストの永岡俊哉氏はA組を観劇。その感想は以下の通り。「皆、レベルが高く、文化祭と言うより新人公演を観ているようだった。今年は特に男役の身体や顔つきなどの出来上がりが良く、今後が楽しみだ。伯爵家の跡取りとして父の押し付ける王女との縁談と、旅籠の娘との恋愛の狭間で悩む若者、ロベールの心の動きを大川さんは、まだ十分とは言えないものの、しっかり表現していた。また、ロベールの影役の白石さんは、劇中でもあったのだが『風と共に去りぬ』のスカーレットⅡのように、時には強く、時には優しくロベールを叱咤激励する芝居をきちんとやっていた。山本さんはヒロインであるフラウを可憐に、そして切なく演じた。王女リディアはコメディエンヌの要素も求められる難役だが、悪ふざけすることなく天真爛漫なお姫様をやり切った。また、様々な企てをする回りのキャストもなかなかのもので、全員で作り上げた芝居は観客を飽きさせずにあっと言う間に幕となった。103期は突出した生徒が居ない代わりに全員のレベルが高い期だと感じた。」(永岡俊哉談)

 

 

一方、ダンスコンサートはバレエ、ジャズダンス、モダンとさまざまなダンスを交代で踊り継いだ。オープニングのスタイリッシュなダンスから群舞が多いなか、娘役ダンサーの活躍が目立ち、龍田さん、山本さん、西田さんの3人がモダンバレエ、クラシックバレエ、ジャズ、コンテンポラリーの各場面で際立った動きで目を奪われた。タップは勝間さんと田中琴之さんがメーンで華やかなタップダンスを披露した。フィナーレの全員でのジャズダンスはジャンプが見事にそろい、チームワーク抜群で素晴らしかった。難度が高く、それをテンポよくパワフルに踊り切った103期生40人のダンスレベルはかなり高い。男役、娘役ともにスター性豊かな生徒が多く、10年後が楽しみな103期生だ。

 

なお、今年からCS放送「タカラヅカスカイステージ」での放送も復活するので、加入されているファンの方は未来のスターの姿を是非、その目で確認していただきたい。

 

 

©宝塚歌劇支局プラス2月27日記 薮下哲司(A組は永岡俊哉)

 

 

早霧せいな×咲妃みゆサヨナラ公演特別鑑賞会のお知らせ

 

○…宝塚のマエストロ、薮下哲司さんと宝塚歌劇を楽しむ「雪組トップコンビ・早霧せいな・咲妃みゆサヨナラ公演特別鑑賞会」(毎日新聞大阪開発主催)が5月11日(木)宝塚大劇場で開催されます。午後1時半からエスプリホールでの昼食会(松花堂弁当)のあと薮下さんが観劇のツボを伝授、3時の回の雪組公演「幕末太陽伝」「Dramatic“S”!」をS席で観劇します。参加費は13500円(消費税込み)。先着40名様限定(残数僅少です。定員になり次第締め切ります。お早めにお申し込みください)問い合わせは毎日大阪開発☎06(6346)8784まで。

 

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