小沢氏の元秘書らの逮捕報道で、色々ブログ書いたりtweetしたりしてるんだけど、イマイチやっぱり未経験者は拘置所の独房に接見禁止で入っていることの辛さがわかんないみたい。

徹底抗戦
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この本でも沢山書いてるけど、実際のところこの苦しみを知る事が司法制度改革への第一歩だと思うんだよね。その当事者である検察官・裁判官・弁護士も結局のところ勾留を経験した事が無いものだから、いちおう被疑者・被告人の辛そうな姿は目にするものの、所詮は他人事であるので例えば末期癌患者の絶望や苦しみは本人しか分からず周りは同情してるけど、結局本当の意味で分かっていないのと同じ様なものである。

しかも特捜部案件は非常に少ないので体験者自体も非常に少ない。そして逮捕・起訴後は社会的に抹殺されたも同然なのでその声は届かない。つまりその体験を多くの人に伝えられていないのが最大の問題だ。私も著書やブログで訴えているがまだまだ完全に届いていない気がするんだ。

普通の窃盗とか傷害とかの事件って、「接見禁止」処置にならないことがほとんどだ。
「接見禁止」も色々なレベルがあるが、私の場合は最高レベル。特捜部案件でも否認すると大体は最高レベルだ。

最高レベルは具体的には、捜査中(20日程度)は1日30分~1時間のの弁護士接見のみ(無理を言えば、土曜日も30分程度は空けてくれるが、土日祝日は休み)大抵は取り調べ状況の報告だけで終わる。新聞・雑誌の講読は禁止。手紙のやり取りも禁止。届いた手紙も見られない。情報系の差し入れは弁護士からの1日マックス3冊の書籍の差し入れオンリーである。

そして「接見禁止」の場合、通常は独房である。独房がどんなにつらいか。検察の取調べ以外で他人としゃべれない。全然しゃべれないんだ。刑務所でも1日中独房というのは懲罰の時くらいだ。中で規定違反を行った場合とかに数日独房に放り込まれる。それがデフォルトなのだ。犯罪が確定していない推定無罪の状況なのに。。。

そして大きな問題は、それが起訴後勾留という形で永遠に続くように思えることだ。刑事訴訟法89条4項の、「罪証隠滅及び逃亡の恐れがある時」保釈を許可しないことができる。つまり否認をしている被告人は口裏あわせをしたり逃亡をしたりする可能性が高いと看做され裁判手続きの終了後か、かなり進んで証人取調べがほとんど終わった状況でしか保釈されない。私はこれを「無期禁固刑」と呼んでいる。まさにいつ死刑が執行されるかわからない死刑囚のようなものだ。皮肉なことに同じフロアに収監されている。

とにかく辛いんだ。だからちょっとした嘘ならついてしまう事は十分あり得る。というかそれの温床だと思う。もし逃亡を防いだり口裏あわせの懸念があるなら、GPS発信機の着用を義務付ければよいことだろう。この身柄拘束に関する問題は根深い問題で解決が難しい問題でもある。

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