朝イチで来たわよ。

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2月1日記事「ズバリ言うわよ。」
2月5日記事「今日も来たわよ。」
2月9日記事「予約するわよ。」
2月18日記事「任せてちょうだい。」

を参考にすることにより、今記事への理解が深まります。







「向かいのドラッグストア、今日OPENかぁ。すごい行列だ....。
あ、そろそろ朝の10時だからお店を開けようかな。」


ガラガラガラガラ~ (シャッターを上に上げる)

「おはよう。」

「 ホ ゲ ~ ~ 。 」

「ホゲ~ ってアンタいきなり失礼だけど、知ってるわよそれ。」

「はぁ?」

「ほりエモンでしょ。ほら、7巻か8巻だったかしら。ジャイアンが歌うんだけどさぁ、テレビとは違うのよね。驚いちゃったわよ。」

「いや、あの.... ホリエもんではなく、ドラえもんなんですけど....」

「そういう理不尽なツッコミが一番嫌いなんだ!バカ野郎。」

「す、すいません。って理不尽もなにもこっちがいつも理不尽で....」

「なにをブツブツ言っているのさっ!そういうところもよくない。」

「すいません.....」

「それよりもお客が全然いないじゃないかっ!!しっかりするんだ!」

「いないもなにもシャッターを開けたら『おはよう』なんですから...」

「それに向かいのドラッグストアの行列と比べてなんだ、ここは。」

「行列のできる書店なんてそんなにできるものじゃ....」

「そこが見せ所じゃないか!ちょっと、ホンネで言いかしら?」

「はぁ、またですか。」

「アンタの店このままだと近々つぶれる。」

「えぇぇぇぇ! それは困りますよ。じゃあどうしろっていうんですか!」

「そのための私じゃないの。だから朝イチで来たのよ。」

「わ、わかりました。で、どうすればいいのでしょうか?」

「まず、なんでお店開いてるのに入荷した本を全部並べてないのさっ!!」

「パートの方と一生懸命やったんですが、こんなにたくさん入荷するとは予想外で...」

「臨機応変な対応をするのがアンタ達の役目だ。お客が買いに来て本まだ並べてませんなんてことは許されないんだ。売り逃すことにもつながるんだから。」

「す、すいません。でも難しいなぁ...」

「それとこの店の名前が気に入らない。動物の名前が入ってるせいかしら。変える必要があるわね。」

「えー、愛着ある名前なのに....」

「何もかもわかってるんだ。私は!この件はオーナーに言っておくから。」

「は、はい。」

「それとそのお店の名前の入った袋とかブックカバーはやめなさい。」

「い、いや、それも困ります。宣伝とか連絡先とかを書いているので。」

「そんなセンスのないブックカバーを誰が喜ぶんだ。それに店の名前を入れたところで宣伝効果も期待できたもんじゃない。さらに経費の無駄!そんなのレシートに載せればすむじゃないか。」

「わ、わかりましたよ。それよりその手さげかばんは何ですか?」

「よく気づいてくれたじゃないの。これが新しいブックカバー&袋よ。」

「え、先生が自ら作ったんですか?助手の方がいるのに。」

「あいつは足手まといだったから別のことをやってもらうことにした。あとでわかるわ。」

「ちょっと見せてください。『ア ン タ は 地 獄、私 は 天 国』ってな、なんですかこの表現は!!」

「これが商売繁盛の秘訣よ。私の顔も印刷したからね。」

「これじゃあ先生の宣伝で、しかもお客への誹謗中傷じゃないですかっ!!」

「この言葉を頭に置いて、常に謙虚な気持ちで生活するんだ。」

「け、謙虚って、先生が検挙されるべきで...」

「ブツブツ言ってるんじゃない!!それに検挙の使い方が違う!!」

「もー、わかりました。これでいきます。ん? クンクン。何ですかこのにおいは?」

「いい鼻してるじゃないの。アンタ見込みあるわね。今日のメインイベントよ。」

「肉の焼いたにおいがしますねぇ。しかもタレのにおいも。」

「お店の外に露店を出すってわけよ。どう、この香ばしい焼き鳥のにおい。

「本に焼き鳥って....、ど、どうなんですか??」

「どうもこうもあるもんかっ!においでお客を誘うって戦法だ。アンタのとこの自動ドアが壊れてるからにおいが余計にするけど、これでお客は来る!!助手にその仕事を任せてるんだ。ちゃんとうちわであおぎないよ!!」

「はっ、わかりました。」

「場所代も入るし、焼き鳥が売れたら何パーセントかは手数料を入れてやるから。」

「ま、まあ、お金が入るだけでも、気休めなん、で、す、が、ゴホッゴホッ。」

「これで地獄に行く必要もないわよ、アンタ。早く気づいてよかった...ゴホッ」

「ちょ、ちょっと、煙出しすぎて...ゴホッ、ゴホッ...ませんか? ゴホッ」

「ゴホッゴホッ...炭で焼くんだから仕方......ゴホッ。」

「ゴホッゴホッゴホッゴホッ」

「ゴホッゴホッゴホッゴホッ」

「ゴホッゴホッゴホッゴホッ」 





ニュースタイムリー22

メインキャスター
「えー、さて次なんですが、朝10時過ぎに車を走らせていた当スタッフが見たボヤ騒ぎのニュースですっ。偶然通りかかったところ、本屋が煙につつまれているのを目撃し、すぐにスタッフが現場に駆け寄り、あやうく惨事を免れたというんですが、その時に店内に1人、そして表に1人いたので取材したところ、地獄に落とされるとか、ホンネは信じないとかなんだかわけのわからないことを言っているそうですが、先生っ。焼き鳥書店のこの騒ぎ、どう考えますか。」


「これぞまさに地獄行きだ。次行きなさい。」

「.......................で、では次のニュースですが....」
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任せてちょうだい。

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2月1日記事「ズバリ言うわよ。」
2月5日記事「今日も来たわよ。」
2月9日記事「予約するわよ。」

を参考にするとにより、今記事への理解が深まります。


「 ( おっ、もうすぐ午前11時45分だ。仕事の15分に出社することは心にも ゆとりができて実に気持ちいいなあ。さてパートさん達はちゃんと本を棚に出してくれたかな。) 」



「おはようございます。みなさん。」

「おはよう。遅かったじゃないの。」

「ゲッ! あ、いや、お、おはようございます。」

「アンタ、何時だと思ってるの。」

「い、いや、まだ11時45分です。僕の仕事時間の15分前。理想ですよね。」

「ふざけるんじゃない!!」

「ひぇぇぇぇぇ。」

「社員が品出ししなくてどうするんだ!最も大切なところじゃないか。本のよしあしをよく知っているアンタも一緒に出さないでどうするのさっ!」

「あれぇ~、すいません。って、なんで先生がレジにいるんですか。いくら先生でもそれはダメですよ!」

「昨日アンタの店長に頼まれたのよ。店長、免許の切り替え忘れてたらしいの。それで私のところに言いに来たのよ。ズバリ、了解してやったわ。」

「ってことは店長は......、せ、先生ですかっ?」

「当たり前じゃないか!だから自らレジに立って接客してるんだ。任せなさい!」

「だ、だったらパートさんにレジはやってもらったらいいじゃないですか。」

「店の長が率先して現場に立たなくてどうするんだ!バカタレが。」

「は、はぁ、わかりました。あ、お客様が来店されましたよ。いらっしゃいませ!」

「ようこそ。よく来てくれたわねぇ。」

「せ、先生。お客様にはいらっしゃいませでお迎えを...」

「これが一番効果があるんだ。ほら、また来たわ。言いなさい。」

「よ、よう、ようこそ、きてく...れた....わね。」

「歯切れが悪いじゃないか!もっとしっかり言いなさい!!」

「は、はい。ようこそきてくれたわね。(????) 」

「そうよ、それが大事なのよ。よく覚えておきなさい。」

「は、はい。 あ、レジにお客様がきました。ようこそ..きて..くれたわね。」

お客
「はぁ、あのぉ、この本を取り寄せてほしいんですけど。」


「はい。しかし、2週間ぐらいかかるかもしれませ...」

「ちょっとお客さんいいかしら? 私に任せてちょうだい。私だったら2週間どころか明日あさってにも届くようにさせるから。」

「せ、先生!!それはいくらなんでも無茶じゃないですか!」

「私が言うんだ。間違いがあるものか。今から出版社に電話するから、よく聞いておきなさい。だいたい日時がはっきりするのが当たり前じゃないか。これが本当の仕事ってものよ。」

「........」

「もしもし、私だけどすぐに本を用意してちょうだ....」

電話
『ピンポンパンポ~ン。毎度ありがとうございます。当社の営業時間は朝10時から11時50分まで、昼は13時から16時までとなっております。ピンポンパンポン。』

「なんで昼休みなのさっ!おかしいじゃないか。注文センターは。」

「まあそれはわかるんですけど、とりあえず落ち着いて....」

「ふざけるんじゃないよ、アンタ。私が電話するんだ。こんな理不尽なのははじめてだ。ほんと悔しいじゃないか。アタシは、アタシャ~、アタシャ~ねぇ。」

「先生。それは浅香光代さんです。」

「アンタは何のためにいつも登場するのさっ!出てきてもいつも一言。この前は返却台に乗せられてケガさせられるし、その前だってポスターの字を間違えるし。何のためのアンタなのさっ!!帰りなさい!!」

「ひぇぇぇぇっ~、すみませーん。」


「あのぅ、ちゅ、注文の方は.......?」

「3週間以上よっ!!」

「せ、先生が一番曖昧じゃないですか!、もう無茶苦茶だ...」
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予約するわよ。

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2月1日記事「ズバリ言うわよ。」
2月5日記事「今日も来たわよ。」
を参考にするとにより、今記事への理解が深まります。





「 ( あ、また来た。今日はいちゃもんをつけられないように心掛けよう。) 」

「その後はどうなの。順調に事は運んでるのかしら。」

「いらっしゃいませ。だいぶ慣れてきました。でもまだ至らない点も...」

「まあ頑張りなさい。それと、修正したポスター送っといたけど貼ってあるの?」

「え、えぇ。言われたとおり、出口の前に。」

「これで万引きも激減する。私が言うんだ。間違いないわよ、アンタ。」

「はぁ、あ、ありがとうございます。」

「今日は本を予約しにきたのよ。有栖川有栖さんの『モロッコ水晶』。有栖川さん私はじめ女性だと思ってたけど、男性だったのね。ビックリしちゃったわよ。」

「あぁ、そうですか、わかりました。でも以前にも申しましたとおり、問屋にあれば約2~3日、なければメーカーからの取り寄せで10日~2週間でし.....。」

「それがアンタ、大丈夫なのよ。この本は3月上旬の発売だから、今から予約しておけば問題ないわよ。発売日当日に必ず来るわよ。」

「あ、いや、それはちょっと.....。」

「なにもぞもぞ言ってるのさ。男ならはっきり言いなさい!!」

「よ、予約はよろしいのですが、その...、当日入荷するかどうかは....。」

「なに辻褄のあわないこと言ってるんだ! まだ発売まで1ヶ月もあるじゃないか。すぐに電話するんだよ。」

「いや、そのですねぇ、最新刊というものはあらかじめ何冊入荷するかを問屋等が決めておりまして.....。」

「だったらすぐに問屋に電話するんだよ。」

「でも電話しても問屋自身が詳しくはわからないそうなんですよ。全国の書店の過去の売上実績で決められちゃってるものでどうしようもないものでして。それに出版社から送られてくる全冊数もわからないみたいで....」

「なんでそんな融通の効かないことで済ますんだ!甘えるんじゃないよ。そういうぬるま湯体質がアンタ達書店減少の原因だ。」

「はぁ、し、しかしですねぇ。」

「バカも休み休みにしろってんだ。私は読むと決めたんだ。どうしても無理だったら私の名前を使わせてやるから。それで相手もイチコロだ。」

「それじゃあお名前を...。」

「だからなんで私の名を知らないのさっ。」

「ああぁ、もうわかってます、わかってますから。」

「オビも漏れなく付けておきなさいよ。」

「は、はい。でも大丈夫かなぁ。」

「なんか言ったかしら?」

「いえいえいえ。なんでもございません。(文庫担当なんだけど、これ新書...)」

「話は変わるけどアンタ、困ってることあるんだって。」

「なんでご存知なんですか?」

「すべてお見通しって以前から言ってるじゃないのさぁ!!しかもポスター
にも書いてるだろ!何度も言わせるんじゃないよ。」


「すいません。実は、お客さんの立ち読みは大いに歓迎なんですが、読んだ本
を元の場所に戻してくれないというか、戻す場所がわからないんだと思うんですけど。」


「そうでしょ。以前からわかってたわ。だから今日はすばらしいモノを
用意したのよ。持ってきてちょうだい。


「ははっ!」

「これは便利そうな手押し車ですねぇ。」

「ほら、よく図書館なんかにあるじゃないの。返却台みたいなのが。それを用意したのよ。」

「ほぉ~。これはいいですねぇ。台車にも何か書いてますねぇ。『読み終えた本はこちらへお戻し下さい。』いいアイデアじゃないですか。」

「そうよ。これだと本が迷子になることもなく、アンタもあるはずの本がないなんて理不尽なこともなくなるわ。感謝しなさい。

「どうもありがとうございました。」

「ところでよく見るとアンタ、なかなかいい男じゃない。タイプよ。」

「えっ、そうですか。まあ、ありがとうございます。」

「店内を見させてもらうわ。エスコートしてちょうだい。」

「あ、はい。それでは。」

「わぁってビックリするじゃないの。あら、お姫様だっこしてくれるなんて過激なエスコートじゃない。でもそういうところが素敵だわよ。」

「どっこいしょ。よしっ。ではよろしくお願いします。」

「はいっ。かしこまりました。」

「ちょ、ちょっとアンタなにやってるの。なんで私が返却台に乗せられなきゃならないのさっ!降ろしなさいよっ!!」

「返却よろしくお願いします。」

「はい。では行きましょう。」

「私が返却されるってどういうことなのっ!!それにアンタ、助手じゃないの。おかしいじゃないか。」

「ご来店ありがとうございました。」

「降ろしなさい。アンタ。地獄行きよ。これがホントの地獄よ。この道、急な下り坂じゃないの!なんで私が地獄に行かなくちゃならないの!!あ~。
ああああぁぁぁぁぁぁ~。」


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今日も来たわよ。

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2月1日記事「ズバリ言うわよ。」を先に読んでいただくと理解が深まります。



「あっ、いらっしゃいませ。」

「ちゃんと棚を変更してるじゃない。うん。これでいいじゃないの。」

「はい。あれからいろいろ考えて、昨日の晩に徹夜で入れ替えをしました。」

「最初は常連さんもとまどうかもしれないけど、1週間もすれば納得してもらえるわよ。私が言うんだから間違いないはずだ。」

「この前ご予約下さった『殺意の青函トンネル』も今日入荷しました。」

「来た甲斐があったわ。入荷日がはっきりしないからどうかと思ったけど、私の予想通り、入荷日は今日だったのね。あとでいただくわ。」

「はい。ありがとうございます。」

「今日は中谷彰宏さんの『前向きになれる50のヒント』を買いに来たのよ。彼はの本は毎月出版されるからワクワクしちゃうわよ。え~っと、どこかしら?」

「先生のアドバイス通り、作者別にしました。ここが西村だからもっとこっちの方で....、並びかえたばかりでまだ慣れな...」

「冗談を言ってる場合じゃないんだよ!!」

「いえ、でもせめて初日ぐらいは....」

「あんた、全然わかってない。なんで西村京太郎とか梨木香歩と中谷彰宏を同じ棚に並べてしまうんだ。」

「でも先生のご指摘があったからこその棚作りです。お客様もきっと探しやすいかと。」

「全然わかってないじゃないか!....ということはもしや...、ちょっとあ行から見せてもらうわよ。」

「は、はぁ。」

「赤川次郎、浅田次郎...、ちょっとあんた、なんで浅田次郎の前にあさぎり夕があるのさ。コバルト文庫じゃないか!....ここもほら!築地俊彦は富士見ファンタジア文庫の作家だ。バカにも程がある!!」

「だって、先生が.....」

「いい、あんた。文庫にもブランドってものがあるの。それを無視して棚の入れ替えやって、恥の上塗りじゃないか! ほら、ここも。ハーレークインじゃないか!」

「じゃあどうすればいいんですか?」

「本には作者を超えるものもあるんだ。ブランドやジャンルがそうだ。小説の中にビジネス書とかはおかしいし、富士見やコバルトのオンリーファンもたくさんいるじゃないか。そういうマーケティングをあんた達書店はやったことあるのか?ないだろうよ。出版社になんでも頼るから頭が働かないんだ。」

「はぁ、気、気をつけます。」

「それとなんで文庫、新書、単行本と本の形で分けてしまうんだ。中谷彰宏の単行本コーナー、新書コーナー、文庫コーナーっておかしいじゃないか。一緒にしておしまいっ!!」

「えっ!一緒にするんですか? そんなことしたら本の大きさも違うし、見栄えだって悪く....」

「バカ野郎。見たくればかり言ってるんじゃいよ。それにまた楽しようとしてるでしょ。その手には乗らないわよ。」

「ズバリ、すいません。」

「勝手に人の言葉使うんじゃないよ。使い方がおかしいじゃないか。」

「すいません。」

「文庫と単行本のコラボレについては店長と腹を割って話し合いなさい。言っといてあげるから。」

「あ、はい。よろしくお願いします。」

「ちょっと聞くけど、あんた、悩み事あるんじゃないの。」

「はぁ。実は棚の入れ替えと同時に担当文庫の在庫金額を調べたら、5万円も足りないんです。100冊近くも。どうやら万引きにあっているみたいで....」

「そう思って今日はいいモノを持ってきてあげたわ。出して頂戴。」

「ははっ!」

「これ、特注で作らしたのよ。私のポスター。」

「こ、これは、先生のお顔のポスターじゃないですか!!」

「そうなのよ。これを出口に向かうお客にわかりやすく貼って頂戴。そしてほら、ポスターの下に言葉も印刷させたから読んでごらんなさい。」

「え~っと、  『ぜ ん ぶ お 見 通 し よ !!』」

「これで万引きは確実に減る。あんたのとこも苦しいんでしょ。それと、その下にも小さく印刷しといたわ。読みなさい。」


「どれどれ、『さ も な く ば 地 獄 に 落 と す わ よ』。
せ、先生が地獄に落とすんですか??」


「あんた、印刷間違ってるじゃないのさ!すぐに作り直しなさいっ!!」

「す、すいません。」

「..............................................................................................................。」

ズバリ言うわよ。

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青字....文庫担当者


「あんたが文庫担当者?」

「はぁ、そうですが。」

「あんたね、この棚見てちょうだい。私、実は西村京太郎のファンなのよ。」

「あ、そうですか。当店は著者の本は多数取り揃えています。どうぞご覧下さい。」

「そうじゃなくて、なんで彼の本を探すのにあちこち動き回らなくちゃいけないのよ。」

「いえ、出版社別の作者あいうえお順なもんで。」

「あんた、ちょっと言っていい?」

「文庫のことでしたらなんでも任せて下さい。いまだ敵なしですから。」

「じゃあ言うけどさぁ、なんで同じ作者の本をこんなに散りばめるのよ。一緒にした方がまとめ買いだってしやすいじゃないの。それに出版社別ってどういうことよ。」

「出版社別だとほら。見栄えがいいでしょ。きれいに並んでいてビジュアル的にもお客様にご好評でございます。」

「あんた、理由はそれだけじゃないでしょ。私に隠し事したって無駄。正直におっしゃい。」

「あとは新聞広告にあわせて出版社は固めた方がいいと思って...。」

「この大バカヤロウが。私を誰だと思ってるのさ。全部お見通しなのよ。」

「.......」

「あんた、楽してるでしょ。出版社別に注文書があるからそれにあわせて本が並んでたら商品入れ替えるの簡単だし、確かに効率いいわよ。でもそれってお客のこと全然考えてないじゃないの。」

「いや、出版社で探して、作者で探して、タイトルで探して。」

「出版社を第一基準にして本を探すのはクロウトだけだ。しかも、全国の2分の1しか毎月本を読まないんだ。あとの連中はなにかないと本屋に来ない世の中なんだからそんな連中が出版社別に探すはずがないだろ。それに本を読む中でもよほどの常連じゃないとそんな探し方はしないんだ。だから作者別にしろっていってるんだよ。」

「じゃあ、今月の新刊は広告にそって出版社別においてもいいのですよね。」

「なにもわかってやしない。楽をするなと言ったところじゃないか。あんたの本屋は新刊文庫が発売日にすべて確実に入荷するのか? そんなわけないだろう。

「じゃあどう置くのがいいのですか?」

「例えば作者別に背表紙置きにしている文庫棚と一緒にして、新刊だけを表表紙を見せて陳列する。そうすれば逆によく目立つし、オビがいい役割を果たしてくれるのよ。」

「それじゃあせっかくの新刊の平台に置くものがなくなるじゃないですか!」

「甘えたことばかり言うんじゃない!そこが書店員の見せ所じゃないか!フェアに使うんだよ。坂本龍馬を扱った文庫集とか、北海道が舞台の物語集とかあるじゃないかよ。そんなこと私に言わせるんじゃないよ。」

「すみません。」

「謝ってすむんなら私なんていらないよ。新刊の発売日だってすべての出版社が毎月決まった日に出さないんだ。ハヤカワ文庫とか創元文庫は月2~3回に分けて発売するんだ。どうするよ、あんた。」

「はぁ...」

「ところで西村京太郎の『殺意の青函トンネル』がないじゃないの。」

「はぁ。うちは祥伝社文庫は置いていないもんで。」

「ほらみろ。そういう融通の利かないところも出版社別志向の間違いだ。しょうがないなぁ、じゃあ予約する。置いといて。」

「ありがとうございます。ではこちらにお名前を」

「バカも休みやすみにしろ。私を誰だと思ってるんだ!!恥をしれ!!」

「ひぇぇぇぇ、すいませ~ん。」

「まあそれはいいわ。ところで、いつ入荷するの?」

「問屋にあれば多分2~3日、なければ出版社からの取り寄せで10日から2週間ぐらいかなと。」

「なんで入荷日がはっきりわからないんだ。そんなことだからダメなんだ。ずばり言っていいかしら。言うわよ。」

「え、ええ。」

「地獄に落ちるわよ。」