さあさあ、やってきました。この季節。
6月よりあるじことオレの体調を食い物にしてきたこの"夏バテ"という
脂っこい"病"。朝晩ビショビショの毎日だ。これで汗として出た塩分が
体重減少につながってくれることを期待しながら体重計とのにらめっこ。
いまのところ、オレが笑いっぱなしだ。174センチの身長にふさわしい
体重は骨組みなども考慮すると63キロが妥当だと信じており、現状で4キロ
増しというのは今夏最大の課題だ。増加分が顔とウエストにきていることは
明白だ。皮ベルトの穴は目一杯。
ワールドカップによる夜更かしと早起きはすっかり黄ばんだ顔、黒ずんだ目下を
創作する。自分の意志でつくったわけじゃぁないのに創作だ。
あ~こりゃこりゃ。


人間の体力をジワッを奪うに最適なこの季節は出版の世界では「直木賞の季節」
でもある。年2回のこのイベントもすっかり一般人の魅力の外に追いやられた。
理由は明白。一億総中流の時代は終焉を向かえ、各々がそれぞれの生活にあった
スタイルを追求する時代なのだ。それなのに「大衆文学」という枠で大賞を決め、
みんなが右に倣って
「ああ、面白かった。」

ということもなかろうに....。

しかし実は当ブログは元来「本と本屋と図書館に魅せられて」というタイトルの
改訂版だ。いくら森羅万象を書き綴ろうとしても得手不得手というものがある。
元書店員かつ仕入担当者としてはなにが賞を獲得するかという話題は書店の売上に
かかわる。間違っても候補作止まりの作品を仕入れて売上に貢献させた記憶は経験上
ない。よって理想の中の理想は、あらかじめ予想を自分なりに、あるいは出版社あたりに
探りを入れながら立てておいて、事前に店頭に陳列しておく必要がある。
賞が発表された瞬間、我が書店には受賞作が山積みというプランだ。


 135回直木賞候補作


「砂漠」             伊坂幸太郎  実業之日本社  
伊坂 幸太郎
砂漠

「安徳天皇漂海記」        宇月原晴明  中央公論新社
宇月原 晴明
安徳天皇漂海記

「遮断」             古処誠二   新潮社

古処 誠二
遮断



「愚行録」            貫井徳郎   東京創元社

貫井 徳郎
愚行録

「まほろ駅前多田便利軒」     三浦しをん  文藝春秋

三浦 しをん
まほろ駅前多田便利軒



「風に舞いあがるビニールシート」 森絵都    文藝春秋


森 絵都
風に舞いあがるビニールシート

上記の赤字に注目しよう。この3冊、現在のところ「出版社在庫なし」
の作品だ。つまりは出版社としても候補作に選ばれたからと調子に乗ってほいほいと増刷したあげく、
受賞は見送りになりました、ではとんだ不良在庫を抱えることになってしまう。
この場合、いずれは廃棄せざるをえず、しかるべき業者を通じ、古本業界にどっと押し寄せる
恐れもある。
出版社としては受賞の知らせを聞いて初めて増刷の運びとなるだろう。

その意味では残りの3冊には在庫がある。
理由としては人気作家の伊坂幸太郎については彼というブランドを見越して選出前から多めに
印刷していた結果だろう。もしくは売れ残りの可能性もある。
森絵都の作品は実のところ選考対象である12月~5月発売分のうち、5月31日に発売された
という締め切りギリギリの時期だった。在庫が余っているのは当然だ。
貫井徳郎の作品については事情がもうひとつわからないが、個人的にまさか選出されるとは
思わなかった。 

直木賞は文藝春秋が母体の新人作家・新鋭作家による大衆文学NO1を選ぶ賞だ。
今風にいうならば、文藝春秋からの出版が「ホーム」、その他の出版社は「アウェー」である。

実際、過去の大賞は4回連続文藝春秋からの出版作品だ。

134回 東野圭吾 「容疑者Xの献身」 文藝春秋
133回 朱川湊人 「花まんま」    文藝春秋
132回 角田光代 「対岸の彼女」   文藝春秋
131回 奥田英朗 「空中ブランコ」  文藝春秋
131回 熊谷達也 「邂逅の森」    文藝春秋 

今回「ホーム」の恩恵を受けた2作品は 


三浦しをん  「まほろ駅前多田便利軒」     2回ぶり2度目    
森絵都    「風に舞いあがるビニールシート」 2回ぶり2度目 

文藝春秋という「冠」は確かに有利だ。しかも圧倒的だ。しかし、ふるいに落とされる条件
というものがある。 

文藝春秋社から受賞する作家の初選出出版社は文藝春秋社である。 

逆に言うなら、よそで選出されたのならよそから選ばれろということだ。 
三浦しをんの初選出は 幻冬舎 
森絵都の初選出は   角川書店 

幻冬舎だと例がなく、角川書店だと今選考委員の林真理子まで遡り、しかも彼女は
3回連続候補作に選ばれながら、受賞を逃し、4度目でようやく受賞を果した。文芸春秋社からだった。
20年以上前の話である。読者のみんなは果たして生まれていただろうか..... 


どうやら身内受賞の連続記録は今回でストップすることになりそうだ。
公平な判断という点から考えてもいいかげんそうした方がよい。となると、
残り4作品に受賞のチャンスが到来する。 



次回へ続く.... 
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