転機の一打

テーマ:

中日ドラゴンズの荒木選手が通算2000本安打に到達しました。

 

おめでとうございます。

 

その荒木選手が会見で思い出のヒットを問われた時、

2000本の中の一本ではなく、オープン戦で打ったヒットを上げました。

 

スイッチヒッター挑戦をやめて久しぶりに右投手から右打席で打ったヒットでした。

 

その答えを聞いた時にふと思い出したことがあります。

 

現在は東京ヤクルトスワローズの福地寿樹コーチのことです。

 

カープ在籍当時、俊足を生かすためにと福地コーチもスイッチヒッターに挑戦しました。

 

決して器用なタイプの選手ではなかったのですが、一生懸命にバットを振りました。

 

それでも、なかなか左打席ではよい結果が残りませんでした。

 

でも、顔を合わすたびに両手で握手すると、バットのグリップを握る辺りがどんどん固くなっていくのを私は感じていました。

 

その努力は少しずつでも福地選手を成長させていました。

 

ある日、広島東洋カープ由宇練習場に取材に行くと、福地選手は、笑顔を浮かべながら、「石原さん。昨日、やっと左打席でもやっていける手ごたえを感じるスリーベースが打てたんですよ。どうしても打てなかった左打席のインサイドがきれいに振り抜けて、強い打球でスリーベースが打てたんですよ」。

本当にうれしそうでした。

 

福地コーチに「思い出の一本は?」と聞いたことはないので、本人にとっての思い出の一打ではないかもしれませんが、私の記憶の中では素晴らしい笑顔とともに記憶に残った一本のエピソードです。

 

その後、福地選手はライオンズへトレードされ、俊足・両打ちの一番打者として成績を上げていき、FA保障選手としてスワローズでも活躍したのは皆さんご存じのとおりです。

 

スイッチヒッター挑戦をやめた直後のオープン戦での一打を挙げた荒木選手。

ある種、その逆だった福地選手。

 

おそらく挑戦した選手にしかわからない決断の瞬間ではないでしょうか。

 

そんなことが頭をよぎった会見でした。

 

改めて、荒木選手、2000本安打おめでとうございます。